看護学のコア解説
この問題は、小児に多い皮膚感染症である
伝染性膿痂疹 (Impetigo)の特徴的な臨床症状を問うています。看護師は、皮膚所見から疾患を鑑別し、適切な感染予防策とケアを計画する能力が求められます。
重要概念の分析 (Key Concept)
伝染性膿痂疹 (Impetigo)は、主に黄色ブドウ球菌 (Staphylococcus aureus) や化膿レンサ球菌 (Streptococcus pyogenes) によって引き起こされる、表皮の浅い部分の細菌感染症です。小児、特に乳幼児に多く、掻爬(そうは)によって容易に他の部位や他者へ伝染するため、集団生活の場では注意が必要です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
ここがポイント! 伝染性膿痂疹の最も特徴的な皮疹は、
「蜂蜜色(はちみつ色)の痂皮(かひ)を伴う病変」です。初期には水疱(すいほう)や膿疱(のうほう)が形成されますが、これらが破れて滲出液が出ると、その液が乾燥して黄色~黄褐色の厚いかさぶた(痂皮)になります。この外観が「蜂蜜のよう」と表現されるのです。病変の周囲には、炎症による
紅斑 (Erythema)が見られます。したがって、選択肢②「周囲に紅斑を伴う蜂蜜色の痂皮病変」が正解です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 他の選択肢は、異なる皮膚疾患の特徴です。
①「触ると痛みを伴う透明な液体で満たされた水疱」:これは
単純ヘルペス (Herpes simplex)や
水痘 (Chickenpox)など、ウイルス性の水疱性疾患でよく見られる所見です。伝染性膿痂疹の水疱は通常、痛みを伴わず、すぐに膿疱化して破れます。
③「境界明瞭な隆起した鱗屑(りんせつ)性の局面」:これは
尋常性乾癬 (Psoriasis vulgaris)や
貨幣状湿疹 (Nummular eczema)などの慢性炎症性皮膚疾患で見られる所見です。
④「紫色で硬く、圧痛のない結節」:これは
結節性紅斑 (Erythema nodosum)や、ある種の血管炎など、より深い皮膚・皮下組織の炎症を示唆する所見です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
伝染性膿痂疹には、水疱が目立つ「水疱性膿痂疹」と、厚い痂皮が目立つ「痂皮性膿痂疹」の2つのタイプがありますが、国試では「蜂蜜色の痂皮」という特徴的な所見が頻出です。看護ケアのポイントは、
①抗生物質の外用(または内服)の確実な実施、②局所の清潔保持、③爪を短く切り掻爬を防ぐ、④タオルや寝具の共用を避けるなどの接触感染予防です。
概念のまとめ
・伝染性膿痂疹:小児に多い表在性の細菌感染症。
・原因菌:黄色ブドウ球菌、化膿レンサ球菌。
・特徴的所見:
蜂蜜色の痂皮と周囲の紅斑。
・感染経路:接触感染。掻爬による自家接種に注意。
・看護ケア:抗菌薬療法、清潔保持、感染予防。
一目で比較!
| 疾患 | 特徴的な皮疹 | 原因 |
|---|
| 伝染性膿痂疹 (Impetigo) | 蜂蜜色の痂皮、紅斑 | 細菌(黄色ブドウ球菌など) |
| 水痘 (Chickenpox) | 紅斑→水疱→痂皮の各段階が混在する「石鹸の泡」様 | ウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス) |
| 接触皮膚炎 (Contact dermatitis) | 境界明瞭な紅斑、浮腫、小水疱、掻痒感が強い | アレルギーまたは刺激物質 |
解剖生理と薬理のポイント
皮膚は表皮、真皮、皮下組織の3層からなります。伝染性膿痂疹は、最も表層の
表皮 (Epidermis)、特に角層直下で感染が起こります。細菌が産生する毒素(表皮剥脱毒素など)が、皮膚細胞間の接着を破壊し、水疱を形成します。治療の第一選択は、
ムピロシン軟膏 (Mupirocin ointment)などの抗菌外用薬です。広範囲の場合は経口抗菌薬が用いられます。
暗記のコツとゴロ合わせ
「イチゴ(Impetigo)はハチミツ色」
「イチゴ」と「Impetigo」をかけ、その特徴である「蜂蜜色の痂皮」をセットで覚えましょう。
国試頻出ポイント
伝染性膿痂疹は、
「特徴的な皮疹」「感染予防策」「小児の看護」の3点セットで出題されることが非常に多いです。皮疹の写真を見て鑑別する問題もよく出題されますので、蜂蜜色の痂皮の画像を確認しておきましょう。
国試出題パターンの変化に注意!
単に皮疹の特徴を問う問題から、
「この患児の兄弟への感染予防として最も適切なのは?」「保育園への登園の可否は?」といった、家族や社会生活を含めた総合的な看護判断を求める問題へと発展しています。感染症法における登園基準(抗菌薬治療開始後24~48時間経過し、全身状態が良ければ登園可能)も合わせて確認が必要です。