看護学のコア解説
この問題は、
子宮頸管無力症 (Cervical incompetence)と診断され、
子宮頸管縫縮術 (Cervical cerclage)を予定している妊婦の術前看護における
最優先の看護介入 (Priority nursing intervention)を問うています。
重要概念の分析 (Key Concept)
子宮頸管無力症とは、痛みを伴わずに子宮頸管が開大し、妊娠中期に流産や早産を引き起こす状態です。その治療法である
子宮頸管縫縮術は、子宮頸管を糸で縫い縮めて閉鎖を補強する手術です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
ここがポイント! 子宮頸管縫縮術を行うための絶対的な前提条件は、「
子宮収縮や陣痛が起こっていないこと」です。もし術前に
早産徴候 (Signs of preterm labor)(規則的な子宮収縮、頸管の進行性の開大・展退、破水など)が認められた場合、手術は禁忌となります。なぜなら、子宮収縮が起こっている状態で頸管を縫合すると、子宮内の感染リスクが高まり、縫合糸による損傷の危険性があるからです。したがって、術前の最も重要な看護介入は、
早産の徴候を注意深くアセスメントすることです。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
① 予防的抗菌薬の投与:感染予防は重要ですが、手術が適応かどうかを判断するための評価が最優先です。評価後に医師の指示に基づいて実施します。
② トレンデレンブルグ位での絶対安静:子宮頸管無力症の管理では安静が指示されることがありますが、「トレンデレンブルグ位での絶対安静」は必ずしも術前の必須条件ではありません。また、体位よりも先に、手術が可能な状態かどうかの評価が不可欠です。
④ 全身麻酔の準備:子宮頸管縫縮術は、通常、母体と胎児への影響が少ない
混同注意! 脊椎麻酔 (Spinal anesthesia) や硬膜外麻酔 (Epidural anesthesia) などの局所麻酔下で行われます。全身麻酔は一般的ではありません。この選択肢は、手術方法に関する知識を問う誤答です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
・ 手術適応のタイミング:通常、妊娠12〜14週以降、早産のリスクが高まる前に実施されます。22週という妊娠週数は、適切な時期です。
・ 術後の看護:感染徴候の観察、安静度の遵守、破水や出血の有無の確認が重要です。
・ 縫合糸の抜去時期:通常、妊娠37週頃、または陣痛が始まった時点で抜去されます。
概念のまとめ
子宮頸管縫縮術の術前看護で最も重要なのは、「
手術の禁忌状態(早産徴候)がないことを確認するためのアセスメント」です。これが安全な手術実施の大前提となります。
一目で比較!
| 項目 | 子宮頸管縫縮術 (Cervical cerclage) | 一般的な産科手術前看護 |
|---|
| 最優先評価 | 早産徴候の有無(子宮収縮、破水) | 全身状態、麻酔リスク、アレルギー歴 |
| 麻酔方法 | 主に脊椎麻酔・硬膜外麻酔 | 手術内容により全身麻酔も多い |
| 禁忌 | 活動性の陣痛、破水、子宮内感染、出血 | 麻酔禁忌、重度の全身合併症 |
解剖生理と薬理のポイント
・
子宮頸管の役割:妊娠中は「栓」として機能し、子宮内容物を保持し、上行感染を防ぎます。子宮頸管無力症ではこの機能が不全です。
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手術の機序:子宮頸部を糸(通常は太めの不吸収糸)で縫い縮め、物理的に閉鎖力を補強します。
・
薬物:術前・術後に子宮収縮抑制剤(リトドリンなど)が使用されることがあります。
暗記のコツとゴロ合わせ
「
縫う前に、収縮チェック」
子宮頸管を「縫う(縫縮術)」前に、最も確認すべきは「子宮収縮」の有無です。このフレーズで優先順位を覚えましょう。
国試頻出ポイント
子宮頸管縫縮術に関する問題では、以下の点が繰り返し出題されます:
1. 手術の適応となる病態(子宮頸管無力症)。
2.
術前の絶対的評価事項(早産徴候の有無)。
3. 手術の禁忌(破水、感染、出血)。
4. 術後の注意すべき合併症(破水、感染、縫合糸の切断)。
国試出題パターンの変化に注意!
「最も重要な看護介入は?」という優先順位を問う問題(今回)の他に、「手術が禁忌となる状況は?」や「術後に観察すべき合併症は?」といった形でも出題されます。いずれも「
早産・陣痛・破水・感染」がキーワードになります。