看護学のコア解説
この問題は、
子宮頸管無力症 (Cervical incompetence)と診断され、
子宮頸管縫縮術 (Cervical cerclage)の予定がある妊婦さんに対する、術前の優先度の高い看護介入について問うています。
重要概念の分析 (Key Concept)
子宮頸管無力症は、子宮頸管が妊娠中期に痛みもなく開大し、破水や流早産を引き起こす状態です。その治療法である
子宮頸管縫縮術は、子宮頸管を糸で縫い縮める処置です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
ここがポイント! 子宮頸管縫縮術の絶対的禁忌は「
進行中の陣痛 (Active labor)」です。陣痛が始まっている状態で処置を行うと、子宮収縮を悪化させたり、頸管を損傷したり、感染のリスクを高めたりする可能性があります。したがって、術前の最優先事項は、処置が安全に行える状態かどうかを確認するため、
切迫早産の徴候 (Signs of preterm labor)(規則的な子宮収縮、破水、性器出血、骨盤圧迫感など)をアセスメントすることです。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
② 予防的抗菌薬の投与:処置後の感染予防のために重要ですが、禁忌状態の確認よりも優先度は低いです。
③ インフォームドコンセントの取得:倫理的・法的に必須のプロセスですが、処置の適応があるか(禁忌がないか)を確認した「後」に行うべき段階です。
④ トレンデレンブルグ体位:処置中や術後に頸部の圧力を軽減するために用いられることがありますが、術前の優先介入ではありません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
子宮頸管縫縮術後は、安静指示(ベッドレストの程度)、感染徴候の観察(発熱、膿性帯下)、破水や出血の有無の確認が重要な術後管理となります。また、縫合糸は通常、妊娠37週前後または分娩開始時に除去されます。
概念のまとめ
子宮頸管無力症の治療である頸管縫縮術の「術前」では、処置の絶対的禁忌である「進行中の陣痛」がないことを確認することが最優先の看護介入です。
一目で比較!
| 術前の優先事項 | その他の重要な介入(優先度は低い) |
|---|
| 切迫早産・陣痛の徴候のアセスメント | インフォームドコンセントの取得 |
| (処置の安全性確認) | 予防的抗菌薬の投与 |
| 患者の不安への精神的サポート |
| 基本的な術前準備(バイタルサイン測定など) |
解剖生理と薬理のポイント
子宮頸管は、妊娠中は閉鎖して子宮内容を支える「栓」の役割を果たします。子宮頸管無力症ではこの機能が不全となり、子宮内圧に耐えられずに無痛性に開大します。縫縮術は物理的にこの「栓」を補強する処置です。予防的抗菌薬は、腟内常在菌による上行性感染(絨毛膜羊膜炎など)を防ぐ目的で投与されます。
暗記のコツとゴロ合わせ
「
縫う前に、陣痛チェック」と覚えましょう。頸管を「縫う」処置の前に、それを妨げる「陣痛」がないか確認する、という流れです。
国試頻出ポイント
子宮頸管縫縮術に関する問題では、「禁忌(陣痛、破水、子宮内感染、出血)」と「術前・術後の看護(安静、感染徴候の観察)」がセットで出題されます。優先順位を問う問題では、常に「安全の確認(禁忌の有無)」が最上位に来ると考えてください。
国試出題パターンの変化に注意!
同じ「子宮頸管縫縮術」でも、術後の看護(安静度の説明、感染徴候の観察、抜糸の時期)や、適応となる疾患(子宮頸管無力症)そのものを問う問題もあります。基本となる病態生理を理解しておけば、どのパターンにも対応できます。