核心解説
この問題は、
DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)に基づく
配偶者暴力相談支援センターの役割と業務範囲を問うています。
配偶者暴力相談支援センターは、DV被害者(主に女性)が安全に生活を再建できるよう、ワンストップで支援を提供する中核機関です。看護師も医療現場でDV被害を疑った場合、このセンターの存在を理解し、適切に情報提供や連携ができることが求められます。
最重要! このセンターの業務はあくまで「被害者の保護と支援」であり、加害者への処罰や司法判断(刑事罰の決定、接近禁止命令の発令など)は含まれません。行政と司法の役割分担を明確に理解することが鍵です。
1.
核心概念の分析 (Key Concept):
この問題の核心は「配偶者暴力相談支援センター」と「裁判所」や「警察・検察(司法機関)」の権限の違いです。DV防止法は、被害者保護のための民事介入(保護命令)と、加害者処罰のための刑事手続きを別々に規定しています。センターは行政の立場から被害者に寄り添い、相談から自立支援までの継続的なケアを提供します。
2.
正解の根拠 (Answer Rationale):
正解は③番です!③「相談・カウンセリング・情報提供・一時保護・自立支援」は、DV防止法第3条に定められた配偶者暴力相談支援センターの業務そのものです。
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相談及びカウンセリング: 被害者の心理的ケアと情報整理
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情報提供: 医療機関、福祉制度、法的支援機関などの紹介
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一時保護: 緊急に安全を確保するための施設保護(実際の実施は婦人相談所が行うが、センターが連絡・調整する)
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自立支援: 就業支援、住宅確保、生活資金貸付などの情報提供と支援
これらはすべて、被害者が暴力から離れて自立した生活を送るための包括的支援です。
3.
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! 各誤答は司法権限と行政権限を混同しやすいポイントです。
①「加害者への刑事罰の決定と拘留処分の実施」→ これは
裁判所・検察の司法権限です。センターには刑事罰を決定する権限はありません。
②「加害者への接近禁止命令の発令と監視業務」→
接近禁止命令(保護命令)は裁判所が発令します。警察がその遵守を監視しますが、センターが発令や監視を直接行うことはありません。
④「被害者の一時保護施設への入所決定と費用徴収」→ 一時保護の入所決定は
婦人相談所(各都道府県に設置)が行います。センターは相談・情報提供・連絡調整が主な役割であり、入所決定や費用徴収(原則無料または低額)は行いません。
⑤「被害者に対する医療費の全額無償提供と住宅確保」→ センターは
医療費や住宅を直接提供する機関ではありません。情報提供や関係機関(医療機関、住宅支援団体)への橋渡しを行います。医療費の全額無償提供は法制度上なく、公的医療保険や生活保護、各自治体の支援制度が活用されます。
4.
関連概念の整理 (Related Concepts):
DV防止法における各機関の役割を整理します。
| 機関 | 主な業務 |
|---|
| 配偶者暴力相談支援センター | 相談・カウンセリング・情報提供・一時保護のための連絡調整・自立支援 |
| 婦人相談所 | 一時保護の実施・入所決定・母子生活支援施設への入所措置 |
| 裁判所 | 保護命令(接近禁止命令・退去命令)の発令 |
| 警察 | 被害届の受理・加害者の検挙・保護命令の履行確保(監視・警告)・ストーカー規制法との連携 |
| 検察 | 刑事事件としての起訴・処罰請求 |
看護師は、DV被害が疑われる患者に遭遇した場合、まず安全確認と傾聴を行い、必要に応じて「配偶者暴力相談支援センター」の連絡先を提供することができます(報告は本人の同意が必要な場合が多いため、慎重な対応が求められます)。
概念整理:
配偶者暴力相談支援センターの業務=被害者支援のワンストップ窓口。相談・情報提供・一時保護調整・自立支援。司法判断(刑事罰・保護命令)は一切行わない。
一目で比較!:
| 行政(センター) | 司法(裁判所) |
|---|
| 被害者の保護・支援・相談 | 加害者の処罰・権利制限命令 |
| 連絡・調整・情報提供 | 逮捕・起訴・判決・保護命令発令 |
看護過程ポイント:
アセスメント:身体的外傷(打撲、骨折、やけど)・精神的症状(うつ、不安、過度な警戒心)・パートナーの過度な同席。
介入:安全確認(「お1人でお話しできますか?」)・情報提供(「相談できる場所がありますよ」)・記録(客観的事実のみ)。
評価:被害者が適切な支援機関につながったか。
暗記のコツ: 「センターは
相・カ・情・保・自(相談・カウンセリング・情報提供・一時保護調整・自立支援)。裁判所は
命令(保護命令)。警察は
逮捕 と
監視。」と語呂合わせで覚えましょう。
国試頻出ポイント: 各機関の業務の「線引き」を問う問題が頻出。特に「保護命令を出すのは裁判所」「一時保護の決定は婦人相談所」という区別は毎年狙われます。また、看護師の「通報義務」(児童虐待では義務、DVでは努力義務)の違いも合わせて確認しておきましょう。
出題パターン注意!: 近年は「事例問題」として出題されることが増えています。「外来に打撲傷のある女性が来院。付き添いの夫が過度に同席したがる。看護師の対応として最も適切なのはどれか。」といった形で、法律知識を臨床判断に応用する問題が出ます。