核心解説
この問題は、患者の
急変対応 (Emergency Response)における
チームアプローチ (Team Approach)と、看護師の
初期行動 (Initial Action)の優先順位を問うています。急変は「時間との戦い」であり、
最重要! 組織的な
蘇生チーム (Resuscitation Team)や
Rapid Response System (RRS)の概念が基盤となります。
1. 核心概念の分析 (Key Concept)
急変時の対応原則は「一人で判断・行動しない」ことです。看護師は発見者として、第一に
状況のアセスメント (Assessment)を行い、患者の状態(意識レベル、気道、呼吸、循環)を瞬時に評価します。同時に、または直後に、
最重要! 応援要請、すなわち必要なメンバー(医師、リーダー看護師、他のスタッフ)の
招集 (Activation)を行います。これは、質の高い心肺蘇生や迅速な治療介入を可能にするための、最初の決定的な一歩です。
2. 正解の根拠 (Answer Rationale)
選択肢1: 状況を判断し、必要なメンバーを招集する
これが
正解です。急変対応のアルゴリズム(BLS/ACLS)では、「安全確認」「反応の確認」に続き、「応援を呼ぶ/救急対応システムを起動する」ことが最優先行動の一つとして明確に位置づけられています。看護師は、自らの
臨床判断 (Clinical Judgment)に基づき、院内急変対応システム(コードブルーなど)を発動し、チームとしての対応体制を整えることが最も重要です。
3. 誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 誤答は、急変時の基本原則を誤解している典型的な例です。
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選択肢2: 急変の原因を一人で究明する →
禁忌! 急変時は原因究明よりも、まず生命維持のための
初期評価 (Primary Assessment)と介入(気道確保、呼吸・循環補助)が優先されます。一人での判断は遅延や誤りのリスクを高め、チーム医療の原則に反します。
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選択肢3: 患者の家族に連絡する → 家族への連絡は重要な業務ですが、
急変時の最優先事項ではありません。 生命の危機的状況にある患者への直接的対応が先です。家族対応は、チームの他のメンバーが役割分担して行うことが望ましいです。
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選択肢4: 医師の到着を待ってから指示を仰ぐ →
最も危険な待機姿勢です。 医師到着までの間にも、看護師の判断で開始できる
一次救命処置 (BLS: Basic Life Support)(胸骨圧迫、AED使用、バッグバルブマスク換気など)があります。指示待ちによる「空白の時間」は患者の転帰を悪化させます。
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選択肢5: 他の患者の対応を優先する →
論外です。 急変患者は生命の危機に瀕しており、トリアージの観点から最優先で対応すべきです。他の患者への対応は、応援要請後に到着した他のスタッフに依頼します。
4. 関連概念の整理 (Related Concepts)
Rapid Response System (RRS)(院内迅速対応システム)の起動基準(コーリングクライテリア)や、
SBAR(状況・背景・評価・提案)を用いた簡潔で正確な情報伝達の重要性も併せて理解しておきましょう。チームが到着したら、発見者は状況報告を行い、リーダーの指示のもとで役割を遂行します。
概念整理
| 概念 | 説明 |
|---|
| Rapid Response System (RRS) | 院内で急変した患者に対し、専門チームが早期に介入することで、心停止や予期せぬICU入室を防ぐシステム。 |
| 一次救命処置 (BLS) | 医療器具や薬剤を使わずに、または最小限の器具(AED、バッグバルブマスク)を用いて行う救命処置。胸骨圧迫と人工呼吸、AEDによる除細動が中心。 |
| 臨床判断 (Clinical Judgment) | 患者の状態を観察・解釈し、優先順位を決定して適切な介入を選択する思考過程。急変時の初期行動の根幹をなす。 |
一目で比較!
| 比較項目 | 正しい初期対応 | 誤った初期対応 |
|---|
| 主体 | チーム (Team) | 個人 (Individual) |
| 行動 | アセスメント → 応援要請 → 協働 | 一人で原因究明・処置 / 指示待ち |
| 優先順位 | 急変患者の生命維持 (BLS/ACLS) | 家族連絡 / 他の患者対応 |
| 結果 | 迅速な治療介入、生存率向上 | 治療開始の遅延、転帰悪化 |
看護過程ポイント
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アセスメント: 意識(JCS/GCS)、気道、呼吸(数・深さ・SpO2)、循環(脈拍・血圧・皮膚色)、体温を瞬時に評価。
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看護診断: 「非効果的気道クリアランス」「非効果的呼吸パターン」「心拍出量減少」「ガス交換障害」などがリスクとして急浮上。
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計画: コードブルー要請、救急カート・除細動器の準備、BLSの開始、チーム内での役割分担(記録係、投薬係など)。
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実施: 発見者は状況報告(SBAR)を行い、リーダーの指示のもと胸骨圧迫や補助換気を交代で実施。静脈路確保の準備や薬剤投与の介助。
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評価: 心拍再開の有無、バイタルサインの変化、チームの連携状況を継続的に評価し、次の治療方針(二次救命処置 (ACLS))へつなげる。
暗記のコツ
「急変時のAは、Assessment & Activation(アセスメントと応援要請)」と覚えましょう。患者を見たら、まず評価し、すぐに人を呼ぶ。この2つが「急変対応の二大原則」です。一人で抱え込まず、組織の力で患者を救うという考え方が、質の高い医療安全文化の基本です。
国試頻出ポイント
第112回〜第113回看護師国家試験では、
RRSの定義や
コードブルー時の看護師の役割に関する出題が増えています。「急変時の家族対応」や「蘇生を行わない指示 (DNAR)」と組み合わせた倫理的問題も頻出です。状況設定問題では、具体的な臨床場面を想像しながら優先順位を考える練習が必須です。
出題パターン注意!
単純な知識問題だけでなく、「受け持ち患者の意識レベルが突然低下した。最も優先すべき看護師の行動はどれか」といった状況設定問題で、
「応援を呼ぶ」という選択肢を正答として選べるかが試されます。他の魅力的な選択肢(バイタルサイン測定、気道確保、医師への報告)よりも、
最初にチームを招集することの優先度が高い点を理解しておきましょう。