核心解説
この問題は、
在宅看護における褥瘡感染のアセスメントと、訪問看護師としての優先対応を問うています。
褥瘡 (Pressure Injury) 管理中の
最重要! 感染徴候 (Signs of Infection) である「緑色膿」と「臭気増強」を正しく評価し、
訪問看護 (Home-Visit Nursing) の役割範囲内で最優先すべき行動を判断する必要があります。
1. 核心概念の分析 (Key Concept)
緑膿菌 (Pseudomonas aeruginosa) 感染を疑う特徴的な所見です。褥瘡が感染すると、
創傷治癒遅延 (Delayed Wound Healing)、
蜂窩織炎 (Cellulitis)、
骨髄炎 (Osteomyelitis)、さらには
敗血症 (Sepsis) へと進行するリスクが高まります。在宅では、医師の直接指示がない状況での看護師の判断が求められますが、明らかな感染徴候の出現は、医師の診察と治療(培養検査、抗菌薬投与、外科的デブリードマンなど)が必須の状態です。
2. 正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 選択肢5「
主治医に報告し、受診を調整する」が最優先です。感染が疑われる場合、
訪問看護指示書の範囲を超えた医療処置(抗菌薬の全身投与など)が必要となるため、
迅速な医師への報告と受診調整は看護師の重要な役割です。これは
保健師助産師看護師法に定められた「療養上の世話」および「診療の補助」の範囲を逸脱せず、患者安全を最優先する行動です。
3. 誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 選択肢1~4は、いずれも褥瘡管理において必要なケアですが、
医師の診断と治療方針の決定前に行うべき優先事項ではありません。
① 抗菌作用のある被覆材に変更する: 細菌の種類や感染深度が不明な段階で、看護師の独断で特定の抗菌被覆材を選択・変更することは、適切な治療を遅らせる可能性があります。
② 訪問回数を週3回から毎日に増やす: 訪問頻度を増やすことは有効ですが、原因療法(抗菌薬など)が開始されなければ、洗浄と被覆材交換を繰り返すだけとなり、根本的な解決になりません。
③ 栄養補助食品の摂取を勧める: 栄養状態の改善は創傷治癒の基本ですが、急性感染期においては、まず感染制御が優先されます。
④ 創部の洗浄方法を再度指導する: 洗浄方法の再指導は重要ですが、感染が進行している状態では、専門的な治療が先決です。
4. 関連概念の整理 (Related Concepts)
在宅褥瘡管理では、
DESIGN-R® などのツールを用いた経時的な状態評価が不可欠です。特に、
感染を示唆するサイン(膿の色や性状の変化、悪臭、創周囲の熱感・発赤・腫脹、疼痛の増強、発熱、CRP上昇など)を見逃さない観察力が求められます。本症例は、単なる局所管理の見直しではなく、
全身管理への移行が必要なサインと捉えることが重要です。
| 項目 | 主な特徴と看護介入 |
| 局所感染徴候 | 緑色・黄色の膿、悪臭、創周囲の発赤・熱感・腫脹、疼痛の増強 (これらを観察したら医師へ報告) |
| 全身感染徴候 | 発熱、頻脈、倦怠感、食欲不振、CRP上昇、白血球増多 (敗血症への移行に注意) |
| 看護師の役割 | 異常の早期発見、医師への迅速な報告(SBAR)、受診調整、培養検査の準備・介助、指示に基づく局所処置 |
概念整理
褥瘡感染の徴候(特に緑色膿=緑膿菌疑い)は、局所ケアのみでは改善しない。看護師は「いつもと違う」所見を医師に報告し、診療につなげる役割を担う。
一目で比較!
局所処置の変更 vs 医師への報告: 創部の状態が悪化した場合、看護師が独断で処置内容を変更するのは法的範囲を超える。まずは報告と受診調整が優先される。
看護過程ポイント
アセスメント: 創部の状態変化(色、臭い、浸出液の量と性状)と全身状態の観察
看護診断: 感染リスク状態 / 皮膚組織完全性の障害
計画: 医師の診察を受け、新たな治療計画を立案する
実施: 受診調整、診察時の情報提供(経過サマリーの作成)
評価: 感染兆候の改善、創傷治癒の進行
暗記のコツ
「褥瘡に緑膿、臭い増強」を見たら、
「緑膿菌感染疑い → すぐに主治医へ報告!」と覚えましょう。
国試頻出ポイント
在宅看護における異常の早期発見と報告、看護師の法的業務範囲、感染徴候のアセスメントは頻出です。状況設定問題として、「主治医への報告」が正解となるパターンを押さえましょう。
出題パターン注意!
単純な知識問題ではなく、具体的な在宅事例の中で「優先順位」を問う問題がよく出題されます。看護師が単独で判断できることと、医師の指示が必要なことの線引きを理解しておくことが重要です。