核心解説
この問題は、在宅療養中の患者に生じた
褥瘡 (Pressure Injury)のアセスメントに用いる
DESIGN-Rツールの目的を理解しているかを問うています。在宅看護論の領域で頻出であり、褥瘡ケアの質を担保する上で、ツールの正しい使用目的を把握することは
根拠に基づく看護 (Evidence-Based Nursing, EBN)の実践に直結します。
1.
核心概念の分析 (Key Concept):
DESIGN-Rは、褥瘡の
治癒過程 (Wound Healing Process)を多面的に評価し、その重症度と治癒傾向を経時的に追跡するための
最重要!スケールです。単なる「重症度分類」ではなく、「治癒しているか、悪化しているか」という
変化 (Change over time)を数値化する点が最大の特徴です。
2.
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! 選択肢5「褥瘡の治癒経過を客観的に評価する」が正解です。DESIGN-Rは
深さ (Depth)、
滲出液 (Exudate)、
大きさ (Size)、
炎症/感染 (Inflammation/Infection)、
肉芽組織 (Granulation tissue)、
壊死組織 (Necrotic tissue)、
ポケット (Pocket)の頭文字をとった評価ツールであり、これら7項目を合計スコア化します。定期的にスコアを比較することで、創傷の治癒が順調か、停滞しているか、あるいは悪化しているかを「客観的」かつ「経時的」に評価することが可能になります。これは、在宅という環境下で多職種が統一した視点で褥瘡の状態を共有し、ケアの質を向上させるために不可欠です。
3.
誤答の分析 (Distractor Analysis):
- 選択肢1:
混同注意! 患者の栄養状態の評価には、
血清アルブミン (Serum Albumin)値や
プレアルブミン (Prealbumin)値の血液検査、食事摂取量の評価、
主観的包括的栄養評価 (Subjective Global Assessment, SGA)などを用います。DESIGN-Rは創傷そのものの状態を評価するツールです。
- 選択肢2:
混同注意! 褥瘡の「発生リスク」を評価するのは、
ブレーデンスケール (Braden Scale)や
OHスケール (OH Scale)です。これらは褥瘡が「まだできていない」患者に使用し、将来の発生予測を行います。DESIGN-Rは、既に「できてしまった」褥瘡の評価に用いる点が根本的に異なります。
- 選択肢3: 被覆材(ドレッシング材)の選択は、DESIGN-Rの評価結果(特に滲出液の量や壊死組織の有無、深さ)を踏まえて、
創傷治癒理論 (Wound Healing Theory)に基づき看護師や医師が判断するプロセスです。ツール自体が被覆材を直接決定する機能は持ちません。
- 選択肢4: 介護者のケア負担度を測定する尺度としては、
Zarit介護負担尺度 (Zarit Burden Interview, ZBI)など、介護者の心理的・身体的負担に焦点を当てた別の評価ツールが存在します。
4.
関連概念の整理 (Related Concepts): 在宅褥瘡ケアでは、DESIGN-Rによる客観的評価に加え、
体圧分散寝具 (Pressure Redistribution Support Surface)の選定、
スキンケア (Skin Care)、
栄養管理 (Nutritional Management)、
ポジショニング (Positioning)を包括的にマネジメントする
褥瘡対策チーム (Pressure Injury Prevention Team)の視点が重要です。DESIGN-Rのスコア変化は、これらのケア介入の効果を客観的に示すアウトカム指標ともなります。
概念整理
| 評価の種類 | 使用するツール | 対象と目的 |
|---|
| 発生リスク評価 | ブレーデンスケール (Braden Scale) OHスケール (OH Scale) | 褥瘡のない患者に対し、将来の褥瘡発生リスクを予測する |
| 重症度・治癒過程評価 | DESIGN-R | 既に発生した褥瘡の状態を経時的に評価し、治癒経過を客観的に把握する |
一目で比較!
混同注意! DESIGN-R(治癒経過の
Dynamic評価) vs
ブレーデンスケール(発生
Beforeリスク評価)と覚えましょう。「D」は既に「D」きてしまった褥瘡の治癒の「D」ynamics(変化)、「B」は褥瘡ができる「B」efore(前)のリスク評価と連想すると混同しにくくなります。
看護過程ポイント
-
アセスメント (Assessment): 在宅訪問時にDESIGN-Rを用いて褥瘡の状態をスコア化し、写真記録と合わせて経時的変化を追跡する。
-
看護診断 (Nursing Diagnosis): 「皮膚統合性障害 (Impaired Skin Integrity)」「組織完全性障害 (Impaired Tissue Integrity)」など。
-
計画 (Planning): DESIGN-Rの各項目の改善を目標に含める(例:「1週間後に滲出液スコアをe0からe1に改善する」)。
-
実施 (Implementation): 評価結果に基づき、体圧分散、スキンケア、栄養指導などの具体的ケアを提供する。
-
評価 (Evaluation): 定期的なDESIGN-Rの再評価を行い、スコアの変化からケアプランの有効性を判定し、必要に応じて修正する。
暗記のコツ
「DESIGN-R」のアルファベットを覚える語呂合わせ:
D(深さ)、
E(滲出液)、
S(大きさ)…
で (D) え (E) す (S) ごろう (IGが弱いので「Rで締める」と覚える)。
「褥瘡を
デザインして治す」というイメージを持つと、治癒経過を見るツールだと記憶に残りやすくなります。
国試頻出ポイント
DESIGN-Rとブレーデンスケール(またはOHスケール)の用途の違いを問う問題は、在宅看護論および老年看護学で毎年のように出題されています。両者の「対象」と「目的」の違いを明確に区別して理解しておくことが合格への鍵です。
出題パターン注意!
状況設定問題(事例問題)では、「DESIGN-Rの評価結果から、次に行うべき看護介入はどれか」という形で、評価と実施を結びつける応用力が問われます。スコアの高い項目(悪化している項目)に着目し、優先すべきケアを判断できるようにしておきましょう。