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在宅における医療管理を必要とする人と看護
在宅療養中の患者に生じた褥瘡のアセスメントにおいて、DESIGN-Rツールを使用する目的として正しいのはどれか?
-
1
患者の栄養状態を判定する
-
2
褥瘡の発生リスクを数値化する
-
3
使用する被覆材の種類を決定する
-
4
介護者のケア負担度を測定する
-
5
褥瘡の治癒経過を客観的に評価する
✓ 正解
解説
DESIGN-Rは、褥瘡の深さ、滲出液、大きさ、炎症/感染、肉芽組織、壊死組織、ポケットの7項目を評価し、経時的な変化をスコア化することで治癒経過を客観的に評価するためのツールである。発生リスクの評価にはブレーデンスケールやOHスケールが用いられる。
同じテーマの次の問題在宅で療養中の寝たきり高齢者に仙骨部の褥瘡(深さは皮下組織まで達している)が認められた。訪問看護師が行う褥瘡のアセスメントで最も優先すべき項目はどれか。この問題が収録された問題集在宅看護論、地域・在宅看護論KRW 12,900
核心解説
この問題は、在宅療養中の患者に生じた褥瘡 (Pressure Injury)のアセスメントに用いるDESIGN-Rツールの目的を理解しているかを問うています。在宅看護論の領域で頻出であり、褥瘡ケアの質を担保する上で、ツールの正しい使用目的を把握することは根拠に基づく看護 (Evidence-Based Nursing, EBN)の実践に直結します。
1. 核心概念の分析 (Key Concept): DESIGN-Rは、褥瘡の治癒過程 (Wound Healing Process)を多面的に評価し、その重症度と治癒傾向を経時的に追跡するための最重要!スケールです。単なる「重症度分類」ではなく、「治癒しているか、悪化しているか」という変化 (Change over time)を数値化する点が最大の特徴です。
2. 正解の根拠 (Answer Rationale): 最重要! 選択肢5「褥瘡の治癒経過を客観的に評価する」が正解です。DESIGN-Rは深さ (Depth)、滲出液 (Exudate)、大きさ (Size)、炎症/感染 (Inflammation/Infection)、肉芽組織 (Granulation tissue)、壊死組織 (Necrotic tissue)、ポケット (Pocket)の頭文字をとった評価ツールであり、これら7項目を合計スコア化します。定期的にスコアを比較することで、創傷の治癒が順調か、停滞しているか、あるいは悪化しているかを「客観的」かつ「経時的」に評価することが可能になります。これは、在宅という環境下で多職種が統一した視点で褥瘡の状態を共有し、ケアの質を向上させるために不可欠です。
3. 誤答の分析 (Distractor Analysis):
- 選択肢1: 混同注意! 患者の栄養状態の評価には、血清アルブミン (Serum Albumin)値やプレアルブミン (Prealbumin)値の血液検査、食事摂取量の評価、主観的包括的栄養評価 (Subjective Global Assessment, SGA)などを用います。DESIGN-Rは創傷そのものの状態を評価するツールです。
- 選択肢2: 混同注意! 褥瘡の「発生リスク」を評価するのは、ブレーデンスケール (Braden Scale)やOHスケール (OH Scale)です。これらは褥瘡が「まだできていない」患者に使用し、将来の発生予測を行います。DESIGN-Rは、既に「できてしまった」褥瘡の評価に用いる点が根本的に異なります。
- 選択肢3: 被覆材(ドレッシング材)の選択は、DESIGN-Rの評価結果(特に滲出液の量や壊死組織の有無、深さ)を踏まえて、創傷治癒理論 (Wound Healing Theory)に基づき看護師や医師が判断するプロセスです。ツール自体が被覆材を直接決定する機能は持ちません。
- 選択肢4: 介護者のケア負担度を測定する尺度としては、Zarit介護負担尺度 (Zarit Burden Interview, ZBI)など、介護者の心理的・身体的負担に焦点を当てた別の評価ツールが存在します。
4. 関連概念の整理 (Related Concepts): 在宅褥瘡ケアでは、DESIGN-Rによる客観的評価に加え、体圧分散寝具 (Pressure Redistribution Support Surface)の選定、スキンケア (Skin Care)、栄養管理 (Nutritional Management)、ポジショニング (Positioning)を包括的にマネジメントする褥瘡対策チーム (Pressure Injury Prevention Team)の視点が重要です。DESIGN-Rのスコア変化は、これらのケア介入の効果を客観的に示すアウトカム指標ともなります。
概念整理
| 評価の種類 | 使用するツール | 対象と目的 |
|---|
| 発生リスク評価 | ブレーデンスケール (Braden Scale) OHスケール (OH Scale) | 褥瘡のない患者に対し、将来の褥瘡発生リスクを予測する |
| 重症度・治癒過程評価 | DESIGN-R | 既に発生した褥瘡の状態を経時的に評価し、治癒経過を客観的に把握する |
一目で比較!
混同注意! DESIGN-R(治癒経過のDynamic評価) vs ブレーデンスケール(発生Beforeリスク評価)と覚えましょう。「D」は既に「D」きてしまった褥瘡の治癒の「D」ynamics(変化)、「B」は褥瘡ができる「B」efore(前)のリスク評価と連想すると混同しにくくなります。
看護過程ポイント
- アセスメント (Assessment): 在宅訪問時にDESIGN-Rを用いて褥瘡の状態をスコア化し、写真記録と合わせて経時的変化を追跡する。
- 看護診断 (Nursing Diagnosis): 「皮膚統合性障害 (Impaired Skin Integrity)」「組織完全性障害 (Impaired Tissue Integrity)」など。
- 計画 (Planning): DESIGN-Rの各項目の改善を目標に含める(例:「1週間後に滲出液スコアをe0からe1に改善する」)。
- 実施 (Implementation): 評価結果に基づき、体圧分散、スキンケア、栄養指導などの具体的ケアを提供する。
- 評価 (Evaluation): 定期的なDESIGN-Rの再評価を行い、スコアの変化からケアプランの有効性を判定し、必要に応じて修正する。
暗記のコツ
「DESIGN-R」のアルファベットを覚える語呂合わせ:
D(深さ)、E(滲出液)、S(大きさ)… で (D) え (E) す (S) ごろう (IGが弱いので「Rで締める」と覚える)。
「褥瘡をデザインして治す」というイメージを持つと、治癒経過を見るツールだと記憶に残りやすくなります。
国試頻出ポイント
DESIGN-Rとブレーデンスケール(またはOHスケール)の用途の違いを問う問題は、在宅看護論および老年看護学で毎年のように出題されています。両者の「対象」と「目的」の違いを明確に区別して理解しておくことが合格への鍵です。
出題パターン注意!
状況設定問題(事例問題)では、「DESIGN-Rの評価結果から、次に行うべき看護介入はどれか」という形で、評価と実施を結びつける応用力が問われます。スコアの高い項目(悪化している項目)に着目し、優先すべきケアを判断できるようにしておきましょう。
臨床実践ガイド- 臨床シナリオ (Clinical Scenario)80代女性、アルツハイマー型認知症 (Alzheimer's Disease)。在宅療養中に仙骨部に褥瘡が発生し、訪問看護が導入されました。初回訪問時、看護師がDESIGN-Rを用いて評価したところ、深さ(d2:真皮までの損傷)、滲出液(e1:少量)、炎症(i1:発赤のみ)といった所見でした。2週間後の訪問では、創の大きさは縮小したものの、滲出液が増加(e2:中等量)し、一部に黄色壊死組織が出現(n1)していました。看護師はこのDESIGN-Rスコアの変化から、どのような看護介入の修正を検討すべきでしょうか。
- 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
- 1観察とアセスメントDESIGN-Rの「滲出液」と「壊死組織」のスコア悪化から、創部に感染またはクリティカルコロニゼーションが生じている可能性、あるいは創傷治癒が停滞している状態をアセスメントします。創部の細菌培養検査 (Wound Culture)の必要性も検討します。
- 2介入の修正滲出液の増加に対しては、吸収力の高い被覆材への変更を検討します。壊死組織の出現に対しては、デブリードマン (Debridement)の適応を医師と協議します。また、栄養状態の再評価(食事摂取量、体重減少の有無など)を行い、低栄養が治癒遅延の原因であれば、管理栄養士との連携や経口栄養補助食品 (Oral Nutritional Supplement, ONS) の導入を検討します。
- 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)在宅では医療資源が限られるため、感染徴候の悪化(発熱、膿性滲出液の増加、悪臭、周囲の蜂窩織炎)を早期に発見し、速やかに主治医へ報告・相談する判断が特に重要です。ポジショニングの再評価により、創部への持続的な圧迫が再び加わっていないかも確認します。
看護プロトコル- 1観察項目創部の状態(DESIGN-R各項目)、周囲皮膚の状態、疼痛、発熱の有無、食事摂取量、体重、排便・排尿の状態。
- 2報告基準 (SBAR)Situation(褥瘡の滲出液増加と壊死組織出現)、Background(もともとd2レベルの褥瘡で経過観察中だったこと)、Assessment(創部の治癒遅延、または感染の可能性)、Recommendation(被覆材変更の指示依頼、培養検査の提案、栄養介入の相談)を医師に簡潔に伝えます。
- 3記録のポイントDESIGN-Rのスコアを必ず経時的記録に残し、写真も添付することで視覚的な変化も共有します。
先輩看護師の一言
「DESIGN-Rは、訪問看護にとって、いわば『褥瘡の通信簿』のようなものです。このツールを使うことで、『なんとなく良くなっている気がする』ではなく、『スコアが改善しているからこのケアで合っている』と自信を持ってケアを継続できます。逆にスコアが悪化した時は、ケアを見直すための重要なアラームになります。ツールを正しく使いこなして、在宅でも質の高い褥瘡ケアを提供できる看護師を目指してください!」
- DESIGN-R — 褥瘡の深さ、滲出液、大きさ、炎症/感染、肉芽組織、壊死組織、ポケットの7項目を評価し、治癒経過を客観的にスコア化するツール。
- ブレーデンスケール (Braden Scale) — 褥瘡の発生リスクを予測するための評価ツール。知覚の認知、湿潤、活動性、可動性、栄養状態、摩擦とずれの6項目で評価する。
- 滲出液 — 創傷から染み出る液体成分。量や性状(漿液性、血性、膿性)は創傷の状態や感染の有無を示す重要な指標となる。
- 肉芽組織 (Granulation tissue) — 創傷治癒の過程で形成される、新生毛細血管や線維芽細胞に富んだ赤色の組織。良好な治癒の指標となる。
- デブリードマン — 創傷治癒を妨げる壊死組織や異物を除去する処置。外科的、酵素的、自己融解などの方法がある。
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