在宅で療養中の要介護高齢者に生じた褥瘡の管理について、訪問看護師が最初に評価すべき項目はどれか? | MyMerci
在宅における医療管理を必要とする人と看護
問題

在宅で療養中の要介護高齢者に生じた褥瘡の管理について、訪問看護師が最初に評価すべき項目はどれか?

解説
在宅における褥瘡管理では、原因である圧迫を除去することが最も重要である。最初に評価すべきは、褥瘡発生部位に対する除圧(体位変換、マットレス、クッションなど)が適切に行われているかどうかである。創部の評価や栄養状態の評価は、除圧の確認と並行またはその後に実施する。

詳細解説

核心解説 この問題は、在宅療養中の要介護高齢者に発生した褥瘡 (Pressure Injury) の管理における、訪問看護師の初期アセスメントの優先順位を問うています。褥瘡ケアの基本原則は「原因の除去」であり、最重要! まず評価すべきは、褥瘡発生の直接的原因である「圧迫」が適切に除去されているかどうかです。 核心概念の分析 (Key Concept) 褥瘡は、局所的な圧迫による虚血性壊死 (Ischemic Necrosis due to Pressure) です。そのため、創部の状態評価も重要ですが、それ以上に「なぜ褥瘡が発生したのか」「現在も圧迫が持続していないか」という原因へのアプローチが最優先となります。在宅環境では、病院と異なり医療機器や介護力が限られるため、現状のケア環境を評価し、改善することが急務です。 正解の根拠 (Answer Rationale) 最重要! 正解は「褥瘡発生部位の除圧方法の適切性」です。褥瘡治療の大原則は「圧迫の除去と分散」です。どれほど高価な創傷被覆材を使用しても、根本的な除圧が不十分であれば褥瘡は改善しません。訪問看護師は、現在行われている体位変換の頻度と方法、使用している体圧分散寝具(マットレスやクッション)の種類とその適切性を最初に評価し、不適切であれば即座に改善を指導する必要があります。 誤答の分析 (Distractor Analysis) ①褥瘡の大きさと深さの測定:創部のアセスメントは必須ですが、治療の前提として除圧が最優先されるため、最初の評価項目ではありません。混同注意! 病院の褥瘡回診では最初に創部を評価することが多いですが、在宅では環境評価が先行します。 ②全身の栄養状態と食事摂取量:栄養状態は創傷治癒に大きく影響するため非常に重要ですが、急性期の初期対応としては「圧迫除去」の評価に次ぐ優先順位です。 ③介護者の褥瘡ケア技術の習得度:技術指導は看護師の重要な役割ですが、「現在の除圧が適切か」という事実確認が先です。技術不足の結果として不適切な除圧が行われている可能性を評価します。 ④創部の細菌培養検査の結果:培養検査は感染が疑われる場合に医師の指示のもと行いますが、在宅の初回訪問時に最初に行うべき評価は、より根本的な「除圧」です。 関連概念の整理 (Related Concepts) 在宅褥瘡ケアでは、DESIGN-R® (褥瘡状態評価スケール) を用いた創部評価とともに、ブレーデンスケール (Braden Scale) などによるリスクアセスメントが重要です。特に在宅では「活動性」「可動性」「栄養状態」「摩擦とずれ」の項目に着目し、限られたリソースで最大の効果を得るためのマネジメントが求められます。
概念整理 - 褥瘡発生のメカニズム: 外的要因(圧迫・ずれ・摩擦)+ 内的要因(低栄養・浮腫・加齢による皮膚の脆弱化)
- 治療の大原則: 圧迫除去 → 創面環境の調整(湿潤環境維持) → 全身状態の改善(栄養管理)
- 在宅アセスメントの特徴: 生活の場であるため、病院以上に「環境」「介護力」「経済状況」を考慮した現実的なプラン立案が必要。
一目で比較!
項目病院での褥瘡ケア在宅での褥瘡ケア
初期焦点創部のアセスメントと治療計画除圧環境の評価と改善
使用物品エアマット、各種被覆材が豊富介護保険レンタル品、市販品の活用
評価者皮膚・排泄ケア認定看護師など専門チーム訪問看護師が単独で判断する場合が多い
介入の主体看護師・医師家族・介護者(看護師は指導・支援)

看護過程ポイント - アセスメント: 発生部位の圧迫源の特定、体圧分散寝具の使用状況、体位変換の方法と頻度、皮膚の観察、栄養摂取量、介護者の理解度と負担感。
- 看護診断: 「身体の圧迫部位における皮膚組織の完全性へのリスク」「褥瘡に伴う皮膚組織の損傷」「介護者の知識不足」など。
- 計画: 利用可能な介護保険サービス(福祉用具貸与)の提案を含めた、具体的な除圧スケジュールとケア方法の立案。
- 評価: 褥瘡の改善度(DESIGN-R® スコアの変化)だけでなく、介護者が確実にケアを継続できているかのアドヒアランス評価が極めて重要。
暗記のコツ 在宅褥瘡ケアの優先順位は「Pressure relief(除圧) → Wound care(創ケア) → Nutrition(栄養) → Skin care(スキンケア)& Education(教育)」の頭文字をとって「PWNSE(パウンス)」と覚えましょう。まずは圧(P)を抜くことがすべての始まりです。
国試頻出ポイント 在宅看護論や老年看護学の状況設定問題で、褥瘡の写真や症例が提示され、看護師の初期対応や指導内容の優先順位を問う問題が頻出です。「なぜそのケアが最優先なのか」という根拠(除圧が不十分だと治癒が望めない)を明確に説明できるようにしましょう。
出題パターン注意! 状況設定問題では、DESIGN-R® の具体的なスコアや創部の状態(滲出液の性状、壊死組織の有無など)が与えられ、「この状態で最も適切な被覆材はどれか」「訪問看護師の介護者への指導で最も優先されるのはどれか」といった形で出題されます。いずれの場合も「原因除去(除圧)」がケアの根底にあることを忘れないでください。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario) 80代女性、要介護3。脳梗塞後遺症で左片麻痺があり、寝たきり状態で在宅療養中。娘夫婦と同居し、主介護者は娘。初回の訪問看護で、仙骨部に発赤を伴う褥瘡 (Pressure Injury) を発見しました。娘さんは「市販の円座クッションを使っているが、最近赤くなってきた」と話しています。看護師が確認すると、クッションはすでにへたっており、仙骨部が直接座面に接触している状態でした。また、おむつ交換は1日3回で、時々湿ったままになっていることがあるとのことです。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment) 1. 観察とアセスメント: まず、現在の除圧方法が全く機能していないと即断します。最重要! 「円座クッション」は仙骨部に圧力を集中させ、むしろ褥瘡を悪化させる禁忌物品です。また、湿潤環境も皮膚の脆弱性を高めています。 2. 報告と介入: 医師へ報告するとともに、娘さんに円座クッションの危険性を丁寧に説明し、即座に使用を中止します。代わりに、体圧分散マットレスやウレタンフォームのクッションを福祉用具貸与で導入する手配を、ケアマネジャーに連携して依頼します。 3. 指導と再評価: 体位変換の具体的な方法(30度側臥位の保持、小まめな除圧)と、おむつ交換の頻度を増やし皮膚を清潔・乾燥に保つスキンケアの重要性を指導。次回訪問時に、除圧環境が改善されたか、褥瘡の進行がないかを再評価します。
看護プロトコル - 観察項目: 褥瘡部位の圧迫源(寝具、衣服のしわ、点滴ラインなど)、体圧分散寝具の種類と状態、体位変換の間隔と実際の姿勢、皮膚の湿潤状態(失禁の有無)、ADLと可動域。 - 報告基準 (SBAR): S(状況): 仙骨部に褥瘡を発見。B(背景): 円座クッション使用、オムツ交換不足。A(アセスメント): 不適切な除圧と湿潤による褥瘡発生と悪化のリスクあり。R(提案): 体圧分散寝具の導入指示、および皮膚保護剤の使用可否について。 - 記録のポイント: 褥瘡の部位、サイズ、深達度、滲出液、周囲皮膚の状態をDESIGN-R® でスコアリングし、写真も添付。介護者への指導内容とその反応、ケアマネジャーへの連絡内容も詳細に記録。
先輩看護師の一言 在宅の現場では、病院のように「除圧」がシステム化されていないことがほとんどです。だからこそ、私たち訪問看護師が「なぜこのクッションがダメなのか」「なぜこの姿勢が良いのか」を、専門知識に基づいて優しく、しかし確実に伝えることが、患者さんの尊厳と健康を守ることに直結します。褥瘡は「治す」より「予防する」ことが何より大切です。あなたのアセスメントが、その第一歩になりますよ。

重要概念

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