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在宅療養者の状態・状況にあわせた看護
大腿骨頸部骨折の術後、自宅退院に向けて訪問リハビリテーションを計画している。訪問看護師が、療養者の転倒リスクを評価するために使用するアセスメントツールとして最も適切なものはどれか。
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1
Fall Risk Assessment Tool (Morse Scale)
✓ 正解
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2
Functional Independence Measure (FIM)
-
3
Pain Assessment in Advanced Dementia (PAINAD)
-
4
Mini-Mental State Examination (MMSE)
-
5
Barthel Index (バーセルインデックス)
解説
Morse Scaleは転倒リスク評価に特化したツールであり、転倒歴、歩行状態、認知状態などを評価する。在宅でのリハビリテーション期において、転倒予防は最も重要な安全対策の一つである。MMSEは認知機能評価、Barthel IndexとFIMはADL評価、PAINADは認知症高齢者の疼痛評価に用いられる。
同じテーマの次の問題脳梗塞の既往がある75歳の男性が、自宅で訪問リハビリテーションを開始することになった。訪問看護師が初回訪問時に最も優先して評価すべき項目はどれか。この問題が収録された問題集在宅看護論、地域・在宅看護論KRW 12,900
核心解説
この問題は、在宅看護論 (Home Health Nursing) における転倒予防 (Fall Prevention) のアセスメントを問うています。大腿骨頸部骨折の術後患者さんにとって、再転倒は致命的な合併症につながるため、適切なリスク評価が極めて重要です。
核心概念の分析 (Key Concept): 大腿骨頸部骨折 (Femoral Neck Fracture) の術後は、疼痛、筋力低下、歩行補助具への不慣れ、自宅環境のバリアなど、複合的な転倒リスクを抱えています。アセスメントツールは、単なるADL評価や認知機能評価ではなく、最重要! 転倒という特定のリスクを多角的に評価できるものを選択する必要があります。
正解の根拠 (Answer Rationale): Morse転倒リスクアセスメントスケール (Morse Fall Scale, MFS) は、①転倒歴、②二次的診断の有無、③歩行補助具の使用、④静脈路確保や点滴、⑤歩行能力、⑥精神状態の6項目を評価する、国際的に広く用いられている転倒リスクに特化した評価ツールです。特に「転倒歴」と「歩行状態」に重み付けがなされており、本症例のような整形外科術後患者の評価に最適です。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! ②と⑤はADL(日常生活動作)の評価ツールであり、転倒リスクの直接評価には不向きです。③は認知症高齢者の疼痛評価、④は認知機能スクリーニングが目的です。これらは全て重要なアセスメントですが、本問で問われている「転倒リスク」に焦点化されたツールではありません。
関連概念の整理 (Related Concepts): 在宅復帰においては、Morse Scaleで評価したリスクに基づき、環境調整(手すり設置、段差解消、整理整頓)や運動療法(筋力強化、バランス訓練)を含む多面的な介入計画を立案します。転倒リスク評価と環境評価はセットで考えましょう。
概念整理
| アセスメントツール | 評価目的 | 主な使用場面 |
|---|
| Morse Scale (MFS) | 転倒リスク | 入院時、転院時、在宅復帰時、状態変化時 |
| FIM / Barthel Index | ADL (日常生活動作) | リハビリテーションの効果判定、介護度の査定 |
| MMSE / HDS-R | 認知機能 | 認知症スクリーニング、せん妄の評価補助 |
| PAINAD | 認知症患者の疼痛 | 表情や言動から痛みを客観的に評価 |
一目で比較!
大腿骨頸部骨折の術後アセスメントで重要な3つの評価軸
1. 転倒リスク: Morse Scale → 再骨折予防に直結
2. ADL: Barthel Index, FIM → どの動作に介助が必要か明確化
3. 疼痛: NRS, VAS, PAINAD(意思疎通困難な場合) → 早期離床の阻害因子を評価
看護過程ポイント
アセスメント: Morse Scaleで「高リスク」と判定された場合、転倒スコア45点以上を目安に、具体的な防止策を立案します。
看護診断: 移動能力障害に関連した身体的損傷リスク
計画: 退行前訪問指導で自宅内の動線確認、手すり設置の提案、夜間トイレ対策を具体化する。
評価: 介入後、実際に転倒なく生活できているか、リスクスコアが改善したかを再評価する。
暗記のコツ
「モールス信号」と語呂合わせ! Morse Scaleは、転倒という「SOS」をキャッチするためのツールです。「モ」ビリティ(移動能力)を重点的に評価すると覚えましょう。
国試頻出ポイント
在宅看護論の状況設定問題で、退院支援計画の一環として「看護師が使用すべきアセスメントツールはどれか」という形で頻出します。各ツールの評価目的を正確に区別できることが得点の鍵です。
出題パターン注意!
単純なツール名の暗記ではなく、「大腿骨頸部骨折の術後」や「パーキンソン病で在宅療養中」といった具体的な事例の中で、優先すべきアセスメントを選択させる問題に発展します。事例の状況(術後、認知症あり、独居など)から必要な評価を導き出す練習が必須です。
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario): 「80歳女性、左大腿骨頸部骨折で人工骨頭置換術 (Bipolar Hip Arthroplasty, BHA) を施行。術後2週間、歩行器での歩行訓練中。自宅は築30年の和式住宅で、トイレと浴室に段差あり。退院前に訪問看護師が自宅を訪問し、Morse Scaleで『高リスク』と評価しました。さて、あなたはどのような具体的な環境調整を提案しますか?」
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):- 1観察Morse Scaleで「歩行補助具の使用(歩行器15点)」「歩行能力(不安定20点)」「転倒歴(直近あり25点)」が高スコアであることを把握。
- 2アセスメント和式トイレでのしゃがみ込み動作と、浴室の跨ぎ動作が最も転倒リスクの高い動作と判断。
- 3介入福祉用具専門相談員と連携し、レンタル可能なポータブルトイレやシャワーチェアの導入、手すりの設置を提案します。家族には、夜間の移動経路にセンサーライトを設置するよう助言します。
- 4報告ケアマネジャーに「Morse Scale 65点、トイレ・浴室動作に介助と環境整備が必要」とSBARで報告し、担当者会議での情報共有を依頼。
看護プロトコル- 1観察項目Morse Scaleの経時的変化、履物の種類、同居家族の介護力
- 2報告基準Morse Scaleが45点以上(高リスク)または前回評価より悪化した場合
- 3記録のポイント点数だけでなく、どの項目が悪化したか(例:歩行状態が「不安定」から「要介助」に変化)を具体的に記録
- 4家族指導「転倒させてはいけない」というプレッシャーではなく、具体的な環境調整の方法と、万が一の時の起こし方・連絡方法を指導する
先輩看護師の一言
「退院おめでとう!」と送り出した患者さんが、翌日に自宅で転倒して再入院…というケースは、看護師として最も胸が痛む瞬間の一つです。Morse Scaleは、その悲劇を防ぐための強力な武器です。点数を出すだけでなく、なぜその点数になったのかを患者さんや家族と共有し、一緒に解決策を考えることで、安全な在宅生活への第一歩を築いてください。
- Morse Fall Scale (Morse転倒リスクアセスメントスケール) — 転倒歴や歩行状態など6項目から転倒リスクを点数化する国際的な標準評価ツール。高リスクは45点以上が目安。
- Functional Independence Measure — 運動項目と認知項目の計18項目で構成されるADL評価法。介助量を細かく点数化し、リハビリの効果判定に用いる。
- Pain Assessment in Advanced Dementia — 重度の認知症で言語的コミュニケーションが難しい患者の疼痛を、呼吸、発声、表情、ボディランゲージなど5項目で客観的に評価する尺度。
- Mini-Mental State Examination — 国際的に最も普及している認知機能検査。見当識や記銘力など11項目を30点満点で評価し、23点以下で認知症の疑いとされる。
- バーセルインデックス (Barthel Index) — 食事や更衣、トイレ動作など10項目の基本的ADLを評価する尺度。自立度の評価が簡便で、介護保険認定調査などで広く利用されている。
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