在宅療養中の慢性関節リウマチ患者に対し、日常生活活動の低下予防を目的とした訪問看護師の指導で正しいのはどれか。 | MyMerci
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在宅療養者の状態・状況にあわせた看護
問題

在宅療養中の慢性関節リウマチ患者に対し、日常生活活動の低下予防を目的とした訪問看護師の指導で正しいのはどれか。

解説
慢性関節リウマチでは、関節の変形予防と機能維持のために装具の使用が有効である。安静の徹底は関節拘縮を招き、適度な運動は必要である。入浴は関節のこわばり軽減に有効。
同じテーマの次の問題在宅で療養中の80歳女性、脳梗塞後遺症で左片麻痺があり、妻が主介護者である。訪問看護師が日常生活活動の低下予防を目的に評価する項目として最も優先度が高いのはどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、関節リウマチ (Rheumatoid Arthritis, RA) 患者に対する在宅での日常生活活動 (Activities of Daily Living, ADL) 低下予防のための指導を問うています。RAは関節の炎症が持続することで軟骨や骨が破壊され、関節変形 (Joint Deformity) や機能障害を引き起こす進行性の疾患です。そのため、看護の目標は「炎症を抑え、関節を保護しながら、残存機能を最大限に活かしてADLを維持・向上させる」ことです。安静と活動のバランス、関節保護の具体的な方法(装具、自助具、動作の簡略化)、温熱療法の活用などを病態生理に基づいて理解することが重要です。 1. 核心概念の分析 (Key Concept) 慢性関節リウマチの看護で最も大切なのは、関節保護 (Joint Protection) の考え方です。炎症が強い急性期には安静が必要ですが、慢性期に過度な安静を続けると関節拘縮 (Joint Contracture) や筋萎縮を招き、かえってADLを低下させます。そのため、変形を予防しつつ関節への負担を軽減する装具 (Orthosis / Splint) の使用は、機能を維持しながら日常生活を営む上で非常に有効な手段です。 2. 正解の根拠 (Answer Rationale) 最重要! 選択肢3の「関節の変形を予防するため装具を勧める」が正解です。 RAでは、炎症によって弛んだ靭帯や腱が関節を不安定にし、亜脱臼や変形(尺側偏位、スワンネック変形など)を引き起こします。安静時や作業時にスプリント(副子)やコルセットなどの装具を装着することで、関節を機能的良肢位(正しい位置)に保ち、変形の進行を予防し、痛みを軽減する ことができます。これは、残存機能を守りながらADLを維持するための科学的根拠に基づいた指導です。 3. 誤答の分析 (Distractor Analysis)手指の運動は控えるよう指導する: 混同注意! 急性期の炎症が強い時期は過度な運動を控えますが、慢性期には関節可動域を維持するための穏やかな自動運動 が拘縮予防に必須です。全く控えるよう指導するのは誤りです。 ② 全ての家事は家族が行うよう指導する: 過剰な介護は患者の「できること」まで奪い、廃用症候群 (Disuse Syndrome) や自尊感情の低下を招きます。家事は作業療法 (Occupational Therapy) の一環として、関節に負担の少ない動作(手関節ではなく肘でバッグをかける、軽いものを座って用意するなど)や自助具 (Self-help Device) を活用しながら、本人が行うよう促します。 ④ 関節痛がある場合は安静を徹底する: 混同注意! 「痛みがあるから動かない」はRAのリハビリテーションで最も避けるべき悪循環です。関節痛がある場合でも、関節に負荷をかけない運動(等尺性運動) や、痛みのない範囲での関節可動域訓練 (Range of Motion Exercise) を継続し、朝のこわばり(morning stiffness)を軽減することがADL低下予防につながります。安静を徹底すると拘縮が進行します。 ⑤ 入浴は避け、清拭のみとする: 混同注意! 入浴はむしろ推奨されるケアです。温熱作用には疼痛閾値を上昇させる(痛みを感じにくくする)効果、筋スパズムを緩和する効果、膠原線維の伸張性を高めて関節のこわばりを軽減する効果 があります。安全に入浴できる環境整備(手すり、滑り止めマット、椅子の設置)を指導することが看護師の役割です。 4. 関連概念の整理 (Related Concepts) 概念整理
項目急性期(炎症期)慢性期(安定期)
安静度関節の安静を保つ過度な安静を避け、活動を促す
運動療法他動的ROM訓練、等尺性運動自動ROM訓練、レジスタンストレーニング
関節保護装具による固定作業時のスプリント装着、自助具の活用
温熱・寒冷急性炎症には冷罨法こわばり軽減に温罨法(入浴、パラフィン浴)

一目で比較! 混同注意! 変形性関節症 (Osteoarthritis, OA)関節リウマチ (RA) の看護介入の違い:
項目RA(関節リウマチ)OA(変形性関節症)
好発部位手関節、MP関節、PIP関節(対称性)膝、股関節、腰椎などの荷重関節
朝のこわばり1時間以上と顕著30分以内と短い
安静時痛強い弱い(運動時痛が主体)
看護の重点全身性炎症のコントロールと関節変形予防体重管理と過負荷の回避

看護過程ポイント - アセスメント: 疼痛の部位・程度(VAS, フェイススケール)、朝のこわばりの持続時間、関節可動域(ROM)、ADLの自立度(FIM, BI)、抑うつ状態の有無を評価。 - 看護診断: 「関節変形に関連した身体的移動能力の低下」「慢性疼痛に関連したセルフケア不足」「進行性の機能障害に関連した自尊感情の低下」など。 - 看護計画: TP(Target Patient): ADLを可能な限り自立させる。OP(Outcome Plan): 1. 疼痛の軽減を図る(温罨法、薬剤調整の医師への報告)。2. 関節保護の方法を習得し実施できる(装具・自助具の選択と使用方法)。3. 残存機能を活かしたADLの工夫ができる(家具の配置転換、動作の簡略化)。 - 実施: 看護師は単に「装具を使ってください」と伝えるのではなく、なぜその装具が今の関節に必要なのか、どのように日常生活に取り入れるのか を患者と共に考え、実践を支援する(コンプライアンス向上)。
暗記のコツRAのADLは “温・装・動” で守る!」 - : 温罨法(お風呂)で朝のこわばりを和らげる。 - : 装具(スプリント)で変形を防ぎながら動く。 - : 動かせる範囲で動かす(安静は天敵!)。 この「安静=善」という短絡的な思考を国試では狙われやすいため、必ず「RAにおいて慢性期の過度な安静は拘縮を招く」とセットで覚えましょう。
国試頻出ポイント 関節リウマチは、「安静と活動のバランス」「温熱療法の目的」「装具の装着目的」 が頻出テーマです。特に「痛みがあるから安静にする」という誤った選択肢が毎回のように登場します。また、朝のこわばりのメカニズム(夜間の関節包内浮腫貯留)とそれに対する温罨法の効果もセットで問われます。
出題パターン注意! 状況設定問題では、「朝、手のこわばりが強く、家事ができないと訴えるRA患者」への対応として、自助具(レバー式ドアノブ、太柄のスプーン)の提案や、入浴後の家事実施を勧める看護計画が問われます。単なる知識問題から、具体的な指導計画を立案させる問題に発展します。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド - 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 「60代女性、慢性関節リウマチで通院治療中。朝のこわばりが強く、朝食の準備に時間がかかり、最近では台所に立つのが億劫になってきたと外来で看護師に訴えました。手指には軽度の尺側偏位がみられます。『もう何もできない』と落ち込む患者に対し、訪問看護師としてどのように関わりますか?」 - 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 1. 観察: まず、具体的にどの動作が困難かを傾聴します(包丁を持つ、鍋を持つ、水道の蛇口をひねるなど)。朝のこわばりの程度と持続時間を評価します。 2. アセスメント: 「何もできない」という発言は、機能低下だけでなく、うつ状態 (Depression) や自尊感情の低下が背景にある可能性が高いとアセスメントします。 3. 介入: - 環境調整: 朝のこわばりが強い時間帯を避け、入浴後や昼間に調理をまとめて行う「作り置き」を提案します。 - 自助具の導入: 握力が弱くても安全に使える「ロッカー式包丁」や「滑り止めマット」、「レバー式水栓」を紹介し、実際に触って試せるよう作業療法士(OT)との連携を図ります。 - 心理的支援: 「包丁が握れない=料理ができない」ではなく、「自助具を使えば料理が続けられる」という視点で、残存機能を肯定的に捉えられるよう支援します。 - 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 装具を導入する際は、皮膚の圧迫や発赤の有無 を観察します。特に高齢者では皮膚が脆弱なため、装具の装着時間や固定位置の調整が必須です。また、入浴を勧める際は、床の滑り止めマットや手すりの設置状況を確認し、転倒・転落予防(医療安全)に細心の注意を払います。滑膜炎が強い急性期に温罨法を行うと炎症が悪化するため、医師の指示と局所の状態確認が重要です。
看護プロトコル - 観察項目: 関節の腫脹・熱感・発赤・疼痛(急性炎症の4徴)、関節可動域、変形の進行度、ADL自立度(Barthel Index)。 - 報告基準(SBAR): 「S: 朝のこわばりが2時間続き、スプーンを持てない。O: 右手MP関節に腫脹と熱感あり、VAS 7/10。A: 関節炎の急性増悪が疑われる。B: 薬剤調整の要否についてご判断いただきたい。」 - 記録: 介入前後のADL変化を具体的に記載する(例:「自助具導入後、自力で食事摂取が可能となった」)。 - 家族への説明: 過剰な介護(全部やってあげること)が患者の機能低下を早めることを丁寧に説明し、「見守り」「待つ」ことの重要性を理解してもらう。
先輩看護師の一言 「リウマチの患者さんは、慢性的な痛みと戦いながら生活しています。『動かすのが怖い』という気持ちに寄り添いつつ、『正しく動かせばまだ大丈夫』と自信を持ってもらえるように、具体的な道具や方法を一緒に探してあげてくださいね。看護師のアイデアひとつで、患者さんの世界は驚くほど広がります!」

重要概念

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