核心解説
この問題は、
介護保険制度 (Long-Term Care Insurance System) における
要支援1 の給付対象サービスを問う、
制度理解の基本問題です。
予防給付 (Preventive Benefits) の対象範囲を正しく把握しているかが問われています。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 要支援1・要支援2に該当する方は、
状態の維持・改善 を目的とした
予防給付 が中心です。予防給付の対象サービスには、
介護予防福祉用具貸与(車椅子、歩行器、特殊寝台など)が含まれます。これは、日常生活動作 (ADL) の維持・向上を目的として、必要な福祉用具をレンタルできる制度です。したがって、選択肢①の「福祉用具の貸与(車椅子など)」は正しいです。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 各選択肢の誤りを分析します。
- ②通所介護(デイサービス):
混同注意! 要支援者に対しては「通所介護」ではなく、「
介護予防通所介護」が給付対象です。単なる「通所介護(デイサービス)」は、要介護1以上の方が利用する「介護給付」のサービスです。予防給付と介護給付のサービス名を混同しないようにしましょう。
- ③訪問介護(身体介護中心):
要介護1以上が対象です。要支援者に対する訪問サービスは「
介護予防訪問介護」ですが、これは身体介護ではなく、主に掃除・洗濯・買い物などの
生活援助(家事援助)が中心です。身体介護(入浴介助、排泄介助など)は、要介護者向けのサービスとなります。
- ④住宅改修(手すりの設置など):
混同注意! 住宅改修は、要支援・要介護の区分にかかわらず、
全区分で給付対象ですが、問題文は「給付対象となるサービスとして正しいもの」を問うています。住宅改修は確かに給付対象ではありますが、
「福祉用具の貸与」は予防給付の代表的なサービスであり、かつ「要支援1で最も一般的なサービス」として国試では頻出です。本問では、より直接的に要支援1の予防給付として位置づけられる①が正解となります。
- ⑤訪問看護(医師の指示が必要):
原則として予防給付の対象外です。要支援者が訪問看護を利用する場合は、
医療保険(主治医の指示に基づく)での利用となります。介護保険の予防給付では、訪問看護は含まれません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
概念整理: 介護保険の給付は、
予防給付(要支援1・2) と
介護給付(要介護1~5) に大別されます。予防給付のサービス名には「介護予防」が付くのが特徴です(例:介護予防通所介護、介護予防訪問介護)。また、
福祉用具貸与 と
住宅改修 は、予防給付・介護給付の両方で利用できる共通サービスです。
一目で比較!
| サービス | 要支援1・2(予防給付) | 要介護1以上(介護給付) |
| 通所サービス | 介護予防通所介護(対象) | 通所介護(対象) |
| 訪問サービス | 介護予防訪問介護(生活援助中心) | 訪問介護(身体介護・生活援助) |
| 福祉用具貸与 | 対象 | 対象 |
| 住宅改修 | 対象(限度額20万円) | 対象(限度額20万円) |
| 訪問看護 | 原則対象外(医療保険で利用) | 対象(要介護状態の悪化防止目的) |
看護過程ポイント: 高齢者の退院調整やケアマネジメントにおいて、患者の要介護認定区分を正しく把握し、利用可能なサービスをアセスメントすることは看護師の重要な役割です。特に、
要支援者に対する予防的視点(状態維持・改善)と、
要介護者に対する支援的視点(生活の質の維持・向上)を使い分けることが求められます。
暗記のコツ: 「予防給付=サービス名に『介護予防』が付く」「福祉用具貸与と住宅改修は全区分で使える」「訪問看護は予防給付では基本使えない(医療保険)」の3点をセットで覚えましょう。
国試頻出ポイント: 介護保険制度の問題は毎年必出です。特に「要支援・要介護の違い」「予防給付と介護給付のサービスの違い」「福祉用具貸与・住宅改修の共通性」は、選択肢の組み合わせ問題で頻出します。事例問題では、「この患者さんは要支援2だが、どのサービスが利用できるか」という形で出題されます。
出題パターン注意!: 単純な知識問題(「要支援1で利用できるサービスは?」)から、
状況設定問題へ発展します。「退院後、要支援1と認定された80代女性。独居でADLはほぼ自立だが、買い物や掃除に不安がある。ケアマネジャーとして、どのサービスを優先して提案すべきか」→ 正解は「介護予防訪問介護(生活援助)」や「福祉用具の貸与(歩行器)」など、予防給付のサービスを選ぶ必要があります。