精神保健福祉法に基づく「応急入院」について正しいのはどれか。 | MyMerci
精神保健医療福祉の歴史と法制度
問題

精神保健福祉法に基づく「応急入院」について正しいのはどれか。

解説
応急入院は、精神障害のために緊急に入院が必要と認められるが、指定医による診察が行えない場合に、病院管理者の判断で行われる。入院期間は72時間に限られており、その間に指定医の診察を受け、医療保護入院や措置入院などの適切な入院形態に切り替える必要がある。

詳細解説

核心解説 この問題は、精神保健福祉法 (Act on Mental Health and Welfare for the Mentally Disabled) における応急入院 (Emergency Admission) の法的要件と手続きを問うています。最重要! 応急入院は、精神障害のために自身または他者を害するおそれが高く、緊急入院が必要であるにもかかわらず、指定医による診察を受ける時間的余裕がない場合に認められる特例的な制度です。この制度の最大の特徴は、入院期間が最長72時間と厳格に制限されている 点であり、その間に必ず指定医の診察を行い、医療保護入院や措置入院などの適切な形態に切り替える必要があります。 正解の根拠 (Answer Rationale) 正解は ⑤ 入院期間は最長72時間である です。応急入院は、文字通り「応急(緊急)の措置」であり、長期の入院を目的としていません。精神保健福祉法第33条の3 に規定されており、病院管理者の判断で行うことができますが、その効力は最大72時間に限られます。この72時間の間に、精神保健指定医による診察を受け、適切な入院形態に移行するか、退院するかの判断が下されます。 誤答の分析 (Distractor Analysis) - 混同注意! ①番の「本人の同意が常に必要である」は誤りです。応急入院は、精神症状が重篤で同意能力が著しく低下している状況を想定しており、同意が必須ではありません。むしろ、同意が得られないからこそ、この特例的な制度が必要となります。同意を前提とするのは任意入院 (Voluntary Admission) です。 - ②番の「病院管理者の判断で最大2週間まで延長できる」は誤りです。応急入院に延長の規定はありません。入院期間は最長72時間で絶対的であり、これを超えて継続する場合は、必ず指定医の診察に基づく他の入院形態へ切り替える必要があります。 - ③番の「都道府県知事の命令によって行われる」は誤りです。これは混同注意! 措置入院 (Involuntary Admission by Prefectural Governor) の説明です。応急入院は、病院管理者(院長など)の判断で開始されます。知事の関与は、その後の適切な入院形態への移行や、応急入院の報告を受ける段階で行われます。 - ④番の「指定医の診察は不要である」は誤りです。応急入院の最大の特徴は、入院時に指定医による診察を省略できるという点ですが、入院後72時間以内に必ず診察を受けなければならないという義務があります。診察が不要なわけではありません。 関連概念の整理 (Related Concepts) 精神保健福祉法における主な入院形態を比較して整理しましょう。
入院形態主な特徴同意の要否指定医診察
任意入院本人の同意に基づく自由な入院必須不要(診察は受ける)
医療保護入院本人の同意が得られないが、家族等の同意で入院不要(家族等の同意)必須
措置入院都道府県知事の命令で強制的に入院不要必須(原則2名の指定医)
応急入院緊急時、病院管理者判断で72時間以内の暫定的入院不要入院時は不要。72時間以内に必須

概念整理: 応急入院 は、精神科救急の「つなぎ」の制度です。緊急度が高く、指定医がすぐに来られない夜間や休日などに活用されます。鍵となるのは「病院管理者の判断」と「72時間以内の指定医診察義務」です。
一目で比較!: 混同注意! 「応急入院」と「措置入院」は、どちらも非自発的な入院ですが、開始の主体が異なります。応急入院は病院管理者、措置入院は都道府県知事です。また、期間の制限も応急入院は72時間と明確ですが、措置入院には当初から期間の上限がありません(定期的な診察による継続審査あり)。
看護過程ポイント: 応急入院で搬送されてきた患者さんに対しては、まず安全確保が最優先です。アセスメントでは、興奮・攻撃性の有無、自傷他害のリスク、服薬状況、身体的健康状態を迅速に評価します。看護診断としては「暴力リスク状態」「非効果的対処」などが挙げられます。看護介入では、静かで刺激の少ない環境を提供し、傾聴を心がけます。絶対に患者さんを刺激するような言動は避け、スタッフの安全にも配慮した対応が必要です。
暗記のコツ: 「応急 = 72時間」とゴロで覚えましょう。「応援が来るまで72時間!その間にちゃんと診察してね!」というイメージです。
国試頻出ポイント: このテーマは、精神保健福祉法の中でも最重要頻出です。各入院形態の「誰が」「どのような条件で」「どのくらいの期間」入院させるのか、という3点を必ず整理しておきましょう。特に「応急入院」と「医療保護入院」の違いは頻出です。応急入院は「指定医の診察が間に合わない緊急時」、医療保護入院は「本人の同意はないが家族の同意がある場合」と覚えておきましょう。
出題パターン注意!: 単純な知識問題に加えて、「夜間、興奮状態の患者が家族に連れられて来院した。指定医が到着するまでに時間がかかる。この場合の適切な対応はどれか」といった状況設定問題で出題されることがあります。応急入院の開始基準と、その後の72時間以内の流れを理解しておくことが重要です。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): あなたは精神科救急病棟に勤務する看護師です。22時、警察官に伴われて、40代男性が搬送されてきました。男性は大声で叫び、周囲に対して攻撃的な言動が見られます。家族からは「以前から精神科に通院していたが、最近服薬を中断しており、今夜突然暴れ出した」と情報があります。当直の医師は別の急患対応中で、すぐに診察ができません。病院管理者(院長)が応急入院の適用を判断しました。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 1. 観察 (Observation): まず、患者さんの興奮度、攻撃性のレベル(言葉の暴力、物を投げる、身体攻撃の有無)、バイタルサイン、明らかな外傷の有無を観察します。同時に、他の患者さんやスタッフの安全も確保します。 2. アセスメント (Assessment): 応急入院が開始されたことを確認します。患者さんは興奮状態で、同意能力が著しく低下していると判断されます。自傷他害のリスクが非常に高い状態です。 3. 報告 (Report/SBAR): 医師に状況を報告(SBAR)。
Situation: 応急入院開始の40代男性、興奮状態。
Background: 服薬中断歴あり、今夜暴れて警察官が搬送。
Assessment: 自傷他害リスク高、同意能力低下。
Recommendation: 安全な環境での隔離と、可能であれば鎮静薬の準備。 4. 介入 (Intervention): スタッフ複数名で対応し、患者さんを刺激しないよう、静かな個室へ案内します。興奮が強い場合は、身体拘束の適応について医師と相談します。傾聴を心がけ、「ここは安全な場所です」「あなたを守るために入院が必要です」と伝えます。 5. 評価 (Evaluation): 患者さんの興奮が鎮静化したか、バイタルサインに異常はないか、服薬の必要性を評価します。72時間以内に指定医の診察が確実に行われるよう、スケジュールを確認します。
看護プロトコル: 応急入院の患者さんには、入院手続きの際に、家族への説明と同意書類(応急入院の趣旨、期間の制限、後の診察の必要性)を必ず説明します。記録には、入院時の状態(興奮の程度、他害行為の有無)、医師への報告内容と指示、実施したケア、患者さんの反応を詳細に記載します。72時間の経過時間を厳守するため、タイムリミットを明確に記録しておくことが重要です。
先輩看護師の一言: 「応急入院の患者さんは、文字通り『崖っぷち』の状態で搬送されてきます。だからこそ、私たち看護師が最初の安全な『受け皿』になることが大切です。法律の知識はもちろん必要ですが、それ以上に『この患者さんをどう守るか』という視点を忘れないでくださいね。72時間はあっという間です。指定医の診察が確実に行われるよう、チームで連携することが看護師の重要な役割です!」

重要概念

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