核心解説
この問題は、
気分障害(うつ病)の診断補助に用いられる検査の知識を問うものです。うつ病は、主に臨床症状(気分の落ち込み、興味・喜びの喪失など)と経過から診断されますが、一部の検査が診断補助や病態解明に役立ちます。
1.
正解の根拠 (Answer Rationale): 正解は①番の
デキサメタゾン抑制試験(DST)です。DSTは、うつ病患者でしばしば認められる
視床下部-下垂体-副腎系(HPA axis)の機能異常を評価する検査です。デキサメタゾン(合成副腎皮質ステロイド)を投与した後、血中コルチゾール濃度を測定します。正常ではコルチゾール分泌が抑制されますが、うつ病患者ではこの抑制が低下(非抑制)することがあります。診断特異度は高くないため、あくまで
診断補助として用いられ、治療効果の指標となることもあります。
2.
誤答の分析 (Distractor Analysis):
- ②番の
頭部MRI:主に
混同注意!脳腫瘍、脳梗塞、萎縮など
器質性精神障害の鑑別に用います。うつ病の診断補助としては第一選択ではありません。
- ③番の
脳血流シンチグラフィ:主に認知症(特に
アルツハイマー型認知症)や脳血管障害の評価に用います。うつ病では特異的な所見は乏しいです。
- ④番の
髄液検査:髄膜炎やくも膜下出血などの診断に必須ですが、うつ病の診断補助としては用いません。
- ⑤番の
脳波(EEG):てんかん、意識障害、せん妄などの鑑別に有用です。うつ病では特異的な異常は認められません。
3.
関連概念の整理 (Related Concepts): DSTはあくまで補助的検査であり、現在の診断基準(DSM-5やICD-10)では臨床症状が最優先されます。うつ病と
混同注意!鑑別が必要な疾患として、
双極性障害(Bipolar Disorder)(躁病エピソードの有無)、
適応障害(ストレス因の存在)、
身体疾患による気分障害(甲状腺機能低下症など)があります。これらはDSTでは鑑別できません。
概念整理: うつ病の診断補助検査である
デキサメタゾン抑制試験(DST)は、
HPA軸機能異常を評価します。非抑制(コルチゾール分泌が抑制されない)が陽性所見ですが、特異度は高くないため、単独診断には用いられません。
一目で比較!:
| 検査 | 主な適応疾患 |
|---|
| DST | うつ病(診断補助) |
| 頭部MRI | 脳腫瘍、脳梗塞、器質性精神障害の鑑別 |
| 脳血流シンチ | 認知症(特にアルツハイマー型)、脳血管障害 |
| 髄液検査 | 髄膜炎、くも膜下出血 |
| 脳波(EEG) | てんかん、せん妄、意識障害 |
国試頻出ポイント: 国試では「うつ病の診断補助検査はどれか」という単純な知識問題として出題されます。近年は補助的な位置づけであることも問われるため、「特異度は高くない」「診断確定にはならない」という点も覚えておきましょう。
出題パターン注意!: 状況設定問題では、「うつ病患者に頭部MRIが施行された理由は?」という形で、器質性精神障害の鑑別目的であることを問われる可能性があります。単独の知識問題から、臨床判断へ発展させて学習してください。