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周産期にある人と家族の看護
問題

妊娠30週の妊婦。健診で子宮底長28cm、腹囲90cm。胎児は頭位で推定体重1500g。この妊婦にみられる生理的愁訴とその対応の組み合わせで正しいのはどれか。

解説
妊娠後期の下肢静脈瘤には弾性ストッキングの着用が有効である。腰痛には腹帯の使用や側臥位での休息が推奨される。便秘には食物繊維の摂取や適度な運動が有効であり、カフェインは逆効果である。胸やけは就寝前の食事を避け、少量頻回食とする。頻尿に対しては水分摂取制限はせず、感染予防のために十分な水分摂取が必要である。
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詳細解説

核心解説 この問題は、妊娠後期(妊娠週数30週)における代表的な生理的愁訴と、その適切な看護ケア・生活指導の組み合わせを問うています。妊娠後期は子宮が著明に増大し、周囲の臓器を圧迫することで様々な愁訴が出現します。これらの愁訴は病的なものではなく生理的なものですが、日常生活の質(QOL)を低下させるため、看護師は正しい知識に基づいた適切な指導・支援を行うことが求められます。 正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 妊娠後期の下肢静脈瘤 (Varicose Veins of Lower Extremities)は、増大した子宮による骨盤内静脈の圧迫と、妊娠に伴う血流増加・静脈壁の弛緩により発症します。弾性ストッキング(弾性ストッキング (Elastic Stockings))の着用は、下肢の静脈を外部から圧迫することで静脈還流を促進し、静脈のうっ滞を軽減させるため、症状の緩和と進行予防に効果的です。そのため、④の「下肢静脈瘤 - 弾性ストッキングの着用」が正解の組み合わせです。 誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①「便秘 - カフェインの積極的摂取」:誤り。カフェインには利尿作用があり、体内水分を減少させて便を硬くするため、便秘を悪化させます。便秘には食物繊維の豊富な食事、適度な運動、十分な水分摂取が推奨されます。
②「頻尿 - 水分摂取制限」:誤り。妊娠後期の頻尿は、増大した子宮が膀胱を圧迫することで生じる生理現象です。水分摂取制限は脱水や尿路感染症(UTI)のリスクを高めるため、決して行ってはいけません。感染予防のためにも十分な水分摂取を促します。
③「胸やけ - 就寝前の食事摂取」:誤り。胸やけ(心窩部灼熱感 (Heartburn))は、プロゲステロンの作用による下部食道括約筋の弛緩と、増大子宮による胃の圧迫で胃内容物が逆流することで生じます。就寝前に食事を摂ると胃内に食物が長時間留まり、逆流を促進するため避けるべきです。少量頻回食と就寝前2〜3時間の食事回避が有効です。
⑤「腰痛 - 腹臥位での安静」:誤り。妊娠後期の腰痛は、増大した子宮と胎児の重量により重心が前方に移動し、腰椎前弯が強まることで生じます。腹臥位(うつ伏せ)は子宮と胎児を圧迫するため禁忌です。腰痛には、腹帯(マタニティベルト)の着用、側臥位での休息、適度な運動(骨盤傾斜運動など)が推奨されます。 関連概念の整理 (Related Concepts)
妊娠後期の愁訴は、大きく「機械的圧迫によるもの」と「ホルモン変化によるもの」に分類できます。機械的圧迫による愁訴には、下肢静脈瘤、頻尿、腰痛、胸やけ、息切れ(横隔膜挙上)などがあります。ホルモン変化(特にプロゲステロン (Progesterone))による愁訴には、便秘(腸管蠕動低下)、胸やけ(下部食道括約筋弛緩)、静脈瘤(静脈壁弛緩)などが挙げられます。これらの鑑別と病態理解が、適切なケアの根拠となります。 概念整理: 妊娠後期愁訴は、増大子宮による圧迫とホルモン変化が主な原因です。看護師はこれらの愁訴を「生理的範囲」とアセスメントしつつ、症状緩和と合併症予防のための具体的な生活指導を行います。 一目で比較!:
愁訴原因(病態生理)適切な対応
下肢静脈瘤子宮圧迫・静脈壁弛緩弾性ストッキング、下肢挙上
便秘プロゲステロンによる蠕動低下食物繊維・水分摂取、適度な運動
胸やけ下部食道括約筋弛緩・胃圧迫少量頻回食、就寝前食事回避
腰痛重心前方移動・腰椎前弯腹帯、側臥位、適度な運動
看護過程ポイント: アセスメント:愁訴の出現時期、程度、日常生活への影響を評価。下肢静脈瘤では発赤・熱感・硬結(血栓性静脈炎の兆候)の有無も確認。看護診断 (Nursing Diagnosis):例)「下肢静脈瘤と関連した不快感」「便秘と関連した不安」「胸やけと関連した睡眠パターン障害」計画・実施:個々の生活様式に合わせた具体的な指導。安全で実現可能なセルフケア行動を共に考える。 暗記のコツ: 「妊婦の愁訴ケア=『圧迫を避け、還流を促す』」と覚えましょう。下肢静脈瘤は弾性ストッキングで「圧迫」、胸やけは就寝前の食事を「避ける」、腰痛は腹臥位(子宮圧迫)を「避ける」、頻尿は水分制限(感染リスク)を「避ける」、便秘はカフェイン(便硬化)を「避ける」というように、多くのケアが「~を避ける」「~を促す」の2パターンで整理できます。 国試頻出ポイント: 妊娠期の愁訴とその対応は、母性看護学の頻出分野です。特に「正しい対応」と「禁忌となる対応」の組み合わせを問う問題が多く出題されます。単に「弾性ストッキングが良い」と暗記するのではなく、「なぜ弾性ストッキングが下肢静脈瘤に有効なのか(静脈還流促進)」という病態生理を理解しておくことが、類似問題への応用力を高めます。 出題パターン注意!: 本問は単純な知識問題ですが、応用として「事例問題」が出題されることもあります。例えば「妊娠36週の妊婦が下肢の痛みを訴えている。看護師の対応として適切なのはどれか。1. 弾性ストッキングの着用を勧める 2. 安静臥床を指示する 3. 下肢のマッサージを行う 4. 温罨法を行う」のように、禁忌行動(深部静脈血栓症のリスクからマッサージは禁忌)を含んだ選択肢で問われることがあります。下肢静脈瘤が重症化した場合の血栓性静脈炎 (Thrombophlebitis)のリスクも併せて覚えておくと、より深い理解につながります。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario)
産科外来。妊娠32週の初産婦さんが健診に来院しました。診察の最後に「最近、夕方になると足がパンパンにむくんで、血管が浮き出てきて気になるんです。何かできることはありますか?」と看護師に相談してきました。下肢を観察すると、下腿から足背にかけて軽度の浮腫と、伏在静脈の拡張が認められます。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 観察とアセスメント:まず、静脈瘤の程度(皮膚の色、発赤、熱感、硬結の有無)を確認します。最重要! 疼痛を伴う発赤や硬結がある場合は、血栓性静脈炎 (Thrombophlebitis)を疑い、直ちに医師へ報告(SBAR:Situation「妊婦に下肢静脈瘤があり発赤・硬結あり」、Background「妊娠32週初産婦」、Assessment「血栓性静脈炎の可能性」、Recommendation「エコー検査の検討」)する必要があります。本ケースでは、発赤や熱感、硬結はなく、生理的な静脈瘤とアセスメントします。 2. 指導とケア:弾性ストッキングの着用を勧めます。具体的な装着方法(朝、下肢を挙上した状態で履く、一日中着用し就寝時に脱ぐ)、サイズ選択のポイントを指導します。また、長時間の立位・座位を避け、こまめに足を組み替える、下肢を挙上して休む、適度な歩行運動(ふくらはぎの筋肉ポンプ作用促進)を指導します。 3. 評価:次回健診時に症状の変化を確認します。弾性ストッキングの着用状況や、新たな症状(疼痛、発赤、熱感)の出現がないか確認します。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
禁忌! 下肢静脈瘤部位の強いマッサージや、血栓のある部位への直接的な圧迫は、血栓を遊離させ肺血栓塞栓症 (Pulmonary Thromboembolism)の原因となるため禁忌です。また、弾性ストッキングが強すぎる場合、血流を阻害する可能性があるため、適切なサイズ選択と装着指導が重要です。妊娠中は深部静脈血栓症 (DVT)のリスクが高いため(妊娠中の凝固能亢進)、異常所見を見逃さない観察力が求められます。 先輩看護師の一言: 「妊婦さんの愁訴は、どれも『赤ちゃんのためだから仕方ない』と我慢してしまいがちです。でも、ちょっとしたケアで日常生活の質は大きく変わります。弾性ストッキング一つとっても、『どうして効果があるのか』を説明できると、患者さんも納得して実践してくれますよ。国試の知識は、まさに現場で活きる武器です!」

重要概念

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