地震発生後、避難所で生後8か月の乳児がミルクを吐き戻し、機嫌が悪い。母親は「ミルクを買いに行けなかった。水で薄めて飲ませ… | MyMerci
さまざまな状況にある小児と家族への看護
問題

地震発生後、避難所で生後8か月の乳児がミルクを吐き戻し、機嫌が悪い。母親は「ミルクを買いに行けなかった。水で薄めて飲ませても良いか」と看護師に相談した。看護師の対応として最も適切なのはどれか。

解説
災害時であっても、乳児の栄養は適切な濃度のミルクで与える必要がある。薄めたミルクは栄養不足を引き起こし、成長に影響を与える。看護師は備蓄されている粉ミルクや哺乳瓶を提供し、適切な調整方法を指導する責任がある。

詳細解説

核心解説 この問題は、災害時(避難所)における乳児栄養管理(Infant Nutrition Management)と看護師の役割を問うています。災害時は通常の生活環境が制限されますが、乳児の成長・発達に必要な栄養は適切な濃度で確保することが看護の基本原則です。薄めたミルクはカロリー不足・電解質異常(低ナトリウム血症など)を引き起こし、最重要!乳児の脱水や発育遅延、哺乳力低下のリスクを高めます。避難所では備蓄品を活用し、感染管理(哺乳瓶の消毒が困難な場合の対応も含む)を指導する必要があります。 正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 選択肢①:粉ミルクと哺乳瓶を提供し、適切な濃度で調整して与えるよう指導する。
これは災害時看護の基本であり、乳児の栄養・水分・電解質バランスを適切に保つための必須対応です。避難所には備蓄粉ミルクや哺乳瓶(または紙コップ・スプーンなど代替品)が用意されていることが多く、看護師はその在庫状況を把握し、必要な家庭に届ける調整役も担います。また、適切な濃度(粉ミルクのメーカー指定のスプーンと水の量)を母親に伝え、安全に調乳できるよう支援することが優先されます。 誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ②番:「粉ミルクと哺乳瓶が不足しているため、そのまま飲ませるよう伝える」→ 間違い。粉ミルクが不足している状況でも、薄めたミルクやそのままのミルクを「そのまま飲ませる」という指示は不適切です。まずは備蓄の確認・調達を試みるべきであり、不可能な場合は代替栄養方法(母乳推進・医療機関への連絡など)を検討します。
③番:「砂糖水を与えるよう勧める」→ 間違い。砂糖水はカロリーは確保できるものの、タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルが不足し、長期的な栄養バランスを崩します。緊急時の短期的な脱水予防には使われることがありますが、栄養源として推奨できません。
④番:「ミルクを吐くのは異常ではないので、そのまま様子を見るよう伝える」→ 間違い。生後8か月の乳児がミルクを吐き戻すことは生理的なこともありますが、今回は「ミルクを買いに行けず水で薄めて飲ませたい」という母親の訴えが背景にあり、栄養不足や脱水のリスクが高い状況です。単なる「様子見」では危険です。
⑤番:「水で薄めたミルクを与えても良いと伝える」→ 間違い。薄めたミルクは栄養不足と低ナトリウム血症(水中毒)を引き起こす可能性があり、禁忌行為に近いです。絶対に推奨してはいけません。 関連概念の整理 (Related Concepts)
- 災害時の乳児栄養ガイドライン:WHO/UNICEFの「乳児のための緊急時栄養ガイドライン」では、母乳育児の継続を最優先し、母乳が得られない場合は粉ミルク(適切な濃度)の供給を推奨。哺乳瓶消毒ができない場合はカップ・スプーン哺乳(Cup Feeding)を指導します。
- 混同注意! 通常時の哺乳トラブル(溢乳・吐乳)と災害時の栄養不足の鑑別:通常時の溢乳は生理的ですが、災害時は栄養不足・脱水・感染症のリスクが高いため、より積極的な介入が必要です。
- 避難所での感染管理:哺乳瓶の消毒が困難な場合、使い捨ての紙コップとスプーンを用いた哺乳法(Cup Feeding)は、哺乳瓶より感染リスクが低く推奨されます。
概念整理
カテゴリ内容
対象生後8か月乳児(離乳食開始期だが、ミルクが主栄養源)
問題の核心災害時における乳児の栄養・水分・電解質バランス維持
看護師の役割備蓄品の提供・適切な調乳指導・感染管理・栄養アセスメント
禁忌行為薄めたミルク(低栄養・低ナトリウム血症リスク)、砂糖水のみの栄養
一目で比較!
状態対応理由
ミルク不足備蓄粉ミルク・哺乳瓶提供 / 母乳推進適切な栄養・電解質バランス確保
哺乳瓶消毒不可カップ・スプーン哺乳指導感染予防(特に下痢・嘔吐感染症)
脱水疑い経口補水液(ORS)優先 / 医療機関受診電解質補正・重症化防止
看護過程ポイント
- アセスメント:哺乳量・回数・体重減少の有無・脱水徴候(口渇・皮膚ツルゴール低下・尿量減少・大泉門陥没)・感染兆候(発熱・下痢)を評価。
- 看護診断:【栄養摂取量不足リスク (Risk for Imbalanced Nutrition: Less Than Body Requirements)】、【感染リスク (Risk for Infection)】、【育児不安 (Anxiety related to infant care)】
- 計画・介入:①備蓄粉ミルクの適切な濃度での調乳指導、②カップ・スプーン哺乳の指導、③母親への心理的支援(「薄めて良いか」という質問は育児不安の表れ)、④避難所の衛生状態の確認と感染対策。
- 評価:乳児が適切な量のミルクを摂取できているか、体重減少が改善しているか、感染兆候がないか。 暗記のコツ
「災害時乳児栄養3つのキーワード」
1. 「薄めない!」 → 低栄養・低Na血症予防
2. 「備蓄を確認!」 → 看護師は災害備蓄品の在庫と配布責任あり
3. 「カップ・スプーン!」 → 哺乳瓶消毒不可時の代替哺乳法 国試頻出ポイント
災害看護(在宅看護論・看護の統合と実践)のテーマで頻出。特に「乳児・高齢者・妊婦・障害者」の要配慮者(Vulnerable Population)への対応が出題されやすい。また、経口補水液 (ORS) の使用可否や、粉ミルクの保存・調乳時の衛生管理(70℃以上のお湯で溶解・殺菌)も併せて押さえると良い。 出題パターン注意!
単純知識問題:「乳児に薄めたミルクを与えるのはなぜ危険か?」→ 状況設定問題:「避難所で母親からミルクの相談を受けた。あなたならどう対応するか?」へ発展。さらに「哺乳瓶消毒ができない場合の指導内容」「災害備蓄品の整備に関する看護管理者の役割」など、多角的な問われ方に対応できるよう、病態生理・栄養学・感染管理・災害看護の統合的理解が必要。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario)
震災翌日、避難所で巡回中のあなた(看護師)のところに、生後8か月の女児の母親が泣きそうな表情で近づいてきました。「昨日からミルクを買いに行けなくて…水で薄めて飲ませても大丈夫ですか?」と不安げに尋ねます。お母さんは乳児を抱っこしており、乳児はぐずついて顔色がやや不良、口唇が乾燥しているように見えます。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
観察(Observe):まず乳児の全身状態を迅速に評価します。バイタルサイン(体温・脈拍・呼吸数)の測定、皮膚ツルゴール、大泉門の状態、尿量(おむつの湿り具合)、哺乳状況を母親に確認します。避難所の備蓄品リストを確認し、粉ミルク・哺乳瓶・消毒用グッズの有無を把握します。
アセスメント(Assess):薄めたミルクは栄養不足と低Na血症のリスク大。また、母親の「薄めても良いか」という質問は、育児不安と情報不足の現れです。乳児の脱水リスク(口渇・皮膚ツルゴール低下・尿量減少)を評価します。
報告(Report by SBAR):S(状況)「避難所で生後8か月乳児が薄めたミルクでの栄養不足リスクあり」、B(背景)「母親がミルク不足で薄めて飲ませようとしている」、A(アセスメント)「低栄養・低Na血症・脱水のリスク高い」、R(提案)「備蓄粉ミルクの提供と適切な調乳指導、必要なら医療機関受診」
介入(Intervene)最重要! ①粉ミルク(備蓄品)と哺乳瓶(または紙コップ・スプーン)を提供し、適切な濃度(メーカー指定のスプーンと水の量)を説明。②水は必ず沸騰させて冷ましたものを使用するよう指導(感染予防)。③哺乳瓶消毒ができない場合は、カップ・スプーン哺乳法(Cup Feeding)を実演指導。④母親の不安に寄り添い、「大丈夫ですよ、一緒にやりましょう」と声かけ。
評価(Evaluate):乳児がミルクを飲めたか、吐き戻しがないか、その後バイタルサインが安定しているかを再評価。母親が正しい調乳方法を理解・実践できているか確認。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
- 最重要! 薄めたミルクは絶対に許可しない。低ナトリウム血症による痙攣・意識障害のリスク。
- 哺乳瓶消毒ができない場合、カップ・スプーン哺乳は感染リスクが低く、WHOも推奨する方法。ただし、乳児が誤嚥しないよう、少量ずつゆっくり与える指導が必要。
- 避難所では下痢・嘔吐の集団感染が発生しやすい。乳児の嘔吐・下痢症状があれば、経口補水液(ORS)の投与と医療機関受診を優先。
- 母親の精神的ケアも重要。「薄めても良いか」と聞く背景には、罪悪感(栄養を与えられない自分への苛立ち)がある可能性。責めるのではなく、共感と支援を示す。
看護プロトコル
- 観察項目:哺乳量・回数・体重減少・脱水徴候(皮膚ツルゴール・大泉門・口渇・尿量)・感染兆候(発熱・下痢・嘔吐)・母親の精神状態
- 報告基準(SBAR):上記参照
- 記録のポイント:相談内容・提供した物品・指導内容・乳児の状態・母親の反応・経過観察結果
- 家族への説明の留意点:専門用語を避け、「薄めると赤ちゃんに必要な栄養が足りなくなってしまい、危険な状態になることがあります。必ず決められた濃さで作りましょう。一緒に作り方を確認しましょうね」と優しく具体的に伝える。 先輩看護師の一言
「災害時は情報も物資も足りなくて、お母さんは本当に不安です。『薄めても良いか』という質問の裏には『どうすれば良いかわからない』というSOSが隠れています。国試でも出るこの場面では、単に『ダメ』と言うだけでなく、『何を提供し、どう指導するか』まで考えられる看護師になりましょう。備蓄品の在庫確認や、カップ・スプーン哺乳の知識も、現場で役立つ大切なスキルですよ!」

重要概念

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