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さまざまな状況にある小児と家族への看護
災害発生時に、小児のトリアージにおいて最優先で治療が必要と判断される状態はどれか。
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1
四肢に複数の擦過傷があるが、バイタルサインは安定している
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2
意識は清明で、前腕に裂傷があるが出血はコントロールされている
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3
閉塞性ショックの兆候があり、橈骨動脈の触知ができない
✓ 正解
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4
軽度の頭痛を訴えているが、神経学的所見に異常はない
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5
歩行可能であり、泣いているが明らかな外傷はない
解説
災害時のトリアージでは、生命の危険が差し迫っている状態が最優先(赤タグ)となる。閉塞性ショックや橈骨動脈触知不可は循環不全の重篤な兆候であり、緊急処置が必要である。歩行可能で泣いている小児や軽度の外傷のみの場合は、相対的に優先度は低い。
同じテーマの次の問題大規模地震発生後、避難所で生活する2歳の幼児に見られる可能性が高い反応はどれか。この問題が収録された問題集小児看護学KRW 12,900
核心解説
この問題は、災害時トリアージ (Disaster Triage) における 小児 (Pediatrics) の優先順位決定の原則を問うています。特に、生命の危険が差し迫った状態 を見極める判断力が重要です。
トリアージでは、限られた医療資源の中で最大多数の救命効果を得るために、治療の緊急性と可能性に基づいて患者を分類します。最優先(一般的に赤タグ:即時治療群)と判断されるのは、気道・呼吸・循環 (Airway, Breathing, Circulation: ABC) に重大な問題があり、迅速な介入なしでは生命維持が困難な状態です。
選択肢③の「最重要! 閉塞性ショック (Obstructive Shock) の兆候」と「橈骨動脈触知不可 (Absent Radial Pulse)」は、まさに 重度の循環不全 (Severe Circulatory Failure) を示す所見であり、緊急処置(例:心タンポナーデの穿刺ドレナージ、緊張性気胸の減圧など)を要する最優先群に該当します。
正解の根拠 (Answer Rationale)
災害トリアージの分類では、以下の優先順位が一般的です。
1. 最優先(赤/即時): 生命を脅かす重症だが、迅速な処置で救命可能。気道閉塞、ショック(閉塞性・出血性など)、重症呼吸不全など。
2. 優先(黄/準緊急): 重症だが、短時間の待機が可能。大きな骨折、中等度の熱傷など。
3. 待機(緑/軽症): 軽傷で歩行可能。擦過傷、軽度の裂傷、泣いているが全身状態は安定。
4. 死亡(黒/救命困難): 明らかな死亡または救命が不可能な重篤状態。
選択肢③は循環不全によるショック状態であり、即時介入が必要な「赤」に該当します。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①番: 混同注意! 「四肢の擦過傷と安定したバイタルサイン」は、全身状態が安定している軽症であり、優先度は低い(緑タグ)。
②番: 「前腕裂傷だが出血コントロールされている」は、止血が完了しているため緊急性は低く、準緊急~軽症(黄~緑)の範囲です。
④番: 「軽度の頭痛、神経学的異常なし」は、意識清明で局所神経所見がないため、緊急性は低いです。ただし、経過観察は必要です。
⑤番: 「歩行可能で泣いているが明らかな外傷なし」は、典型な軽症(緑タグ)です。泣いていること自体は、気道確保や循環不全の直接的な兆候ではありません。
概念整理: 災害トリアージは「最大多数の最善」の原則に基づく。小児では解剖学的・生理学的特性から、同じ受傷機転でも成人より重症化しやすいため、呼吸・循環の評価を特に慎重に行う必要がある。トリアージタグの色と優先度(赤>黄>緑>黒)を正確に理解することが重要。
一目で比較!:
| トリアージカテゴリ | 代表的所見 | 処置の優先度 |
| 赤(即時) | 閉塞性ショック、橈骨動脈触知不可、気道閉塞 | 最優先 |
| 黄(準緊急) | 大きな骨折、中等度熱傷、コントロール不能な出血 | 2番目 |
| 緑(軽症) | 擦過傷、裂傷(止血済み)、歩行可能、泣いている | 待機可能 |
| 黒(死亡) | 心肺停止、明らかな死亡兆候 | 救命困難 |
看護過程ポイント: アセスメント: 小児ではバイタルサイン(特に呼吸数、心拍数、毛細血管再充満時間)と意識レベルの迅速評価が鍵。ショック徴候(冷たく湿った皮膚、頻脈、血圧低下は遅れて出現)を見逃さない。看護診断: 「組織灌流低下 (Decreased Tissue Perfusion)」に関連する「非効果的循環 (Ineffective Cardiopulmonary Perfusion)」が優先される。計画・実施: 酸素投与、静脈路確保、医師への迅速報告(SBAR使用)、トリアージタグの正しい装着。評価: 処置後の循環動態の改善(脈拍の触知、血圧上昇、意識レベルの改善)を継時的に評価する。
暗記のコツ: トリアージの優先順位は「赤信号(危険・すぐ止まれ!)」→「黄信号(注意・準備)」→「青信号(進んでOK)」と連想すると覚えやすい。小児では「泣いている=緑(軽症)」と覚えると、ショック時(ぐったり、無反応)との対比で理解しやすい。
国試頻出ポイント: 災害看護分野では、トリアージの分類(赤/黄/緑/黒)と具体的な状態のマッチングが頻出。特に「ショック徴候(橈骨動脈触知不可、頻脈、血圧低下)」と「歩行可能で泣いている小児」の対比は定番問題。状況設定問題(事例)で、多数の傷病者が同時に発生した場合の優先順位を問われることも多い。
出題パターン注意!: 単純な「赤タグはどれか」だけでなく、「複数の傷病者が同時に搬送された場合、最初に診察すべき患者は誰か」という応用問題や、「小児特有のトリアージ基準(JumpSTARTなど)を考慮した判断」を問う発展問題にも注意。
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario): 震度6強の地震発生後、避難所に設置された救護所に、負傷した複数の小児が搬送されてきました。看護師としてトリアージを実施する状況を想定してください。5歳の男児が、顔面蒼白で呼びかけに反応が鈍く、橈骨動脈が触知できません。母親が「倒れてきた本棚の下敷きになった」と話します。一方で、8歳の女児は泣きながら歩いており、右手に擦過傷がある程度です。看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):1. 観察とアセスメント: まずはABC評価。男児は気道(A)は開通しているが、呼吸(B)は浅く速い(頻呼吸)。循環(C)は橈骨動脈触知不可、毛細血管再充満時間(CRT)は4秒以上(正常2秒以下)、皮膚は冷たく湿潤。ショック状態とアセスメントし、赤タグ(最優先)を装着します。女児はABC安定、歩行可能、泣いているが全身状態は良好。緑タグ(軽症)と判断します。2. 報告と介入: 赤タグの男児に対して、医師へ「SBAR」で報告(S: 5歳男児、本棚下敷き、橈骨動脈触知不可。B: 呼吸数35回/分、SpO2 90%。A: ショック疑い。R: 緊急処置が必要)。直ちに酸素投与(リザーバーマスク10L/分)、静脈路確保の準備、心電図モニター装着を開始します。3. 継続評価: 処置後、橈骨動脈の触知が可能になったか、血圧は上昇したか、意識レベルは改善したかを評価します。患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions):- 最重要! 小児のバイタルサインは正常値が年齢により異なるため、基準値を確認しておく(例:5歳児の正常心拍数は約80~120回/分、呼吸数は約20~30回/分)。- ショックの初期症状(頻脈、皮膚灌流低下)は、血圧低下よりも先行して出現するため、血圧だけに頼らないアセスメントが必要。- トリアージでは「見逃し」が最も危険。一見軽症に見えても、遅発性のショックや頭部外傷の可能性を考慮し、経過観察を徹底する。- 二次災害(余震による落下物など)から自身と患者を守る安全確保も常に意識する。
先輩看護師の一言: 「災害現場では、『誰から診るか』の判断が多くの命を分けます。国試では知識として覚えていれば解ける問題もありますが、現場では『この子は赤か黄か』を数秒で判断しなければなりません。普段からバイタルサインと全身状態(特に顔色、活気、呼吸の仕方)を観察するクセをつけておくと、いざという時に役立ちますよ!」
- トリアージ — 災害時などに、限られた医療資源を最大限有効に活用するために、傷病者の緊急度と重症度に基づいて治療の優先順位を決定すること。
- 閉塞性ショック — 心タンポナーデや緊張性気胸など、心臓や大血管への物理的圧迫により心拍出量が低下するショック状態。
- 橈骨動脈触知不可 — 橈骨動脈の拍動が触れない状態で、収縮期血圧が60mmHg以下であることを示す重篤な循環不全の徴候。
- 小児のトリアージ — 小児(特に8歳以下)に適用される改変トリアージシステムで、呼吸パターンや末梢脈拍の有無を重視する。
- SBAR — 医療現場での情報伝達を効率的かつ正確に行うためのフレームワーク。Situation(状況)、Background(背景)、Assessment(評価)、Recommendation(提案)の頭文字。
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