MyMerci › 過去問 › さまざまな状況にある小児と家族への看護
こんな問題があと475問 挑戦 ›
さまざまな状況にある小児と家族への看護
大規模な地震が発生し、避難所で生活する小学2年生の女児が、母親に「トイレに行きたいけど、暗くて怖い」と訴えている。この女児への看護師の対応として最も適切なのはどれか。
1
女児の気をそらすためにお菓子を与える
2
女児と一緒にトイレに行き、付き添う
✓ 正解
3
トイレの場所を地図で教える
4
「トイレは我慢しなさい」と伝える
5
母親に「自分で行かせなさい」と指導する
解説
災害時は環境の変化や不安から、特に幼い子どもは退行現象を示すことがある。恐怖を訴える子どもに対しては、安全を確保し安心感を与えるために、看護師が付き添うことが最も適切な対応である。放置や叱責は子どもの不安を増強させる。
同じテーマの次の問題 災害発生時に、小児のトリアージにおいて最優先で治療が必要と判断される状態はどれか。 この問題が収録された問題集 小児看護学 KRW 12,900
核心解説
この問題は、災害時における小児への心理的ケア 、特に退行現象 (Regression) を理解しているかを問うています。大規模災害という非日常的な環境下で、小学2年生(7~8歳)の女児が「トイレが怖い」と訴えている状況は、安全 (Safety) と 安心感 (Security) の喪失による情緒不安定の現れです。この年齢の子どもは、通常であれば一人でトイレに行ける発達段階ですが、ストレス下ではより幼い頃の行動(甘え、依存)に退行することがあります。
1. 核心概念の分析 (Key Concept) : この問題の核心は、災害時看護における小児のストレス反応 と心理的応急処置 (Psychological First Aid, PFA) の原則です。子どもの「怖い」という訴えは、単なるわがままではなく、安全が脅かされた環境に対する正常な適応反応 です。看護師は、まず子どもの感情を受け止め、安全を確保することで、安心感を提供する必要があります。
2. 正解の根拠 (Answer Rationale) : ②番「女児と一緒にトイレに行き、付き添う 」が最も適切です。これは、最重要! 子どもの恐怖に共感し、物理的に安全を保障する具体的な行動です。暗い避難所という環境で、信頼できる大人が寄り添うことで、子どもは「守られている」という安心感を得られ、情緒が安定します。これは心理的応急処置 (PFA) の基本である「安全と安心の提供」に合致します。
3. 誤答の分析 (Distractor Analysis) :
- ①番:混同注意! お菓子で気をそらすことは、一時的な対症療法に過ぎず、子どもの不安の根本的な解決にはなりません。また、避難所では物資が限られている可能性が高く、お菓子の使用は不適切な場合もあります。
- ③番:地図で場所を教えることは、発達段階を考慮すると不十分です。小学2年生でも暗闇への恐怖は強く、認知的な情報(地図)よりも、情緒的な安心感(付き添い)が優先されます。
- ④番:「我慢しなさい」と伝えることは、子どもの感情を否定し、不安や恐怖を増強 させる可能性があります。看護師の対応として不適切です。
- ⑤番:母親に指導することは、母親を責めていると受け取られる可能性があり、親子関係を悪化させる恐れがあります。また、母親自身も被災者であり、ストレス下にあることを考慮する必要があります。看護師が直接子どもに関わるべきです。
4. 関連概念の整理 (Related Concepts) : 災害時には、小児だけでなく高齢者もせん妄 (Delirium) や 認知症症状の悪化 を起こしやすいため、注意が必要です。また、小児の災害時ストレス反応としては、夜泣き、指しゃぶり、おねしょ(夜尿症の再発)、無表情、食欲低下などが挙げられます。これらの症状は、ほとんどの場合、安全な環境が確保されれば自然に改善しますが、長引く場合は専門的なケアが必要です。
概念整理 : 小児の災害時ストレス反応 と心理的応急処置 (PFA)
- 退行現象 (Regression) : 既に獲得した発達課題が、ストレスによって一時的に失われること。例:一人でトイレに行けていたのに「怖い」と言う。
- 心理的応急処置 (PFA) の原則 : Look(観察)、Listen(傾聴)、Link(つなぐ)。まずは子どもの安全を確保し、話を聞き、必要な支援につなげる。
- 優先順位 : 感情の受容と安全の保障(②) > 情報提供(③) > 気そらし(①) > 否定や叱責(④、⑤)
一目で比較! :
対応 子どもの心理状態 評価
付き添う(正解) 「怖い」を受け止めてもらえた → 安心 適切(安全と信頼の提供)
お菓子を与える 一時的に気が紛れるが、不安は解消されない 不適切(対症療法)
地図で教える 「場所は分かったけど、やっぱり怖い」 不適切(認知面のみのアプローチ)
我慢させる/母親を指導 「自分は悪い子だ」 → 不安増強 不適切(感情の否定)
看護過程ポイント :
- アセスメント : 子どもの発達段階(小学2年生)、普段の排泄自立度、被災後の行動変化(退行の有無)、母親のストレス状態、避難所の環境(明るさ、トイレの場所、安全性)。
- 看護診断 (Nursing Diagnosis) : 不安 (Anxiety) 関連因子:未知の環境、暗闇、母親の分離。または 恐怖 (Fear) 関連因子:具体的な脅威(暗いトイレ)。
- 計画 (Planning) : 短期的目標:女児が安心してトイレに行ける。長期的目標:避難所環境に適応し、退行症状が改善する。
- 実施 (Implementation) : 共感の言葉がけ(「暗くて怖いよね、一緒に行こうか」)、物理的付き添い、トイレの照明確保(懐中電灯の準備)。
- 評価 (Evaluation) : 女児の表情が穏やかになったか、一人でトイレに行けるようになったか。
暗記のコツ :
災害時の小児ケアの合言葉は 「まず安心、安全第一」 。「情報提供(地図)」や「気そらし(お菓子)」は、安心が確保された後のステップです。子どもが「怖い」と言ったら、まずは「一緒に行く」と覚えましょう。
国試頻出ポイント :
災害看護は近年の国試で頻出テーマです。特に小児と高齢者への心理的ケアは、High Yield です。単に「付き添う」だけでなく、その根拠(PFA、退行現象)を説明できるようにしておきましょう。
出題パターン注意! :
状況設定問題(事例問題)では、「避難所で夜泣きをする幼児」「落ち着かない高齢者」など、具体的な患者像が提示されます。どのような言葉がけが適切か、どのような環境調整が必要か、多角的に考えられるように訓練しましょう。
臨床実践ガイド - 臨床シナリオ (Clinical Scenario) : あなたは被災地に派遣された看護師です。避難所の一角で、小学2年生の女の子が母親のそばで泣いています。母親は疲れ切った様子で、娘を叱ろうとしています。女の子は「トイレに行きたいけど、体育館が暗くて怖い」と話します。あなたはどう対応しますか? - 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment) : 1. 観察 : 女児の表情、声のトーン、母親との関係性、避難所の照明状況、トイレまでの距離と安全性を観察します。 2. アセスメント : 女児は恐怖と不安から退行現象を起こしています。母親も被災によるストレスで余裕がなく、適切な対応ができていません。 3. 報告 : 緊急の医療処置を要する状態ではないため、チームリーダーへの報告は任意ですが、避難所の環境調整(照明の増設)が必要であれば、運営スタッフに連絡します。 4. 介入 : 女児に「暗くて怖いね、一緒に行こうか?」と優しく声をかけ、手をつないでトイレに付き添います。トイレ内の明るさを確認し、安全を確保します。母親には「お子さんは怖がっているだけなので、一緒に行ってあげると安心しますよ」と穏やかに伝え、母親自身も休めるように促します。 5. 評価 : 女児がトイレを済ませ、落ち着いた表情で戻ってきたか確認します。以後、同じ訴えが続くか、改善するかを観察します。 - 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions) : - 転倒予防 : 避難所は段差や物が散乱している可能性があります。付き添う際は足元に注意し、懐中電灯を活用します。 - 感染対策 : 避難所のトイレは衛生状態が悪化しやすいため、手指消毒剤を持参し、使用後は必ず手洗いを促します。 - 二次受傷予防 : 看護師自身も被災者である可能性があります。無理をせず、チームでケアを分担することが重要です。
看護プロトコル :- 観察項目 : 子どもの表情・行動・発言、排泄状況、睡眠状況、食欲、親子の相互作用。 - 報告基準(SBAR) : - S (Situation) : 「○○避難所で、小学2年生の女児がトイレに行くのを怖がっています。」 - B (Background) : 「被災後2日目、母親も疲弊しています。女児に特記すべき既往歴はありません。」 - A (Assessment) : 「退行現象による不安が考えられます。環境調整と付き添いが必要です。」 - R (Recommendation) : 「一緒にトイレに付き添い、避難所の照明を増やすことを提案します。」 - 記録のポイント : 対応前後の女児の状態(表情、発言)、行ったケアの内容、母親への関わり、経過を客観的に記録します。
先輩看護師の一言 :「災害時は、大人も子どももみんなが不安です。特に子どもは言葉でうまく表現できないから、『怖い』『眠れない』って行動で示すんです。そんな時は、頭ごなしに叱るんじゃなくて、まずは『そうだよね、怖いよね』って気持ちに寄り添ってあげてください。たったそれだけで、子どもの安心感は全く違います。国試の勉強でも、知識だけでなく『患者さんの気持ちを考える』という看護の原点を忘れないでくださいね!」
心理的応急処置 — 災害直後から提供される、被災者の心理的安定と回復を支援するための実践的な支援方法。Look(観察)、Listen(傾聴)、Link(つなぐ)の3原則に基づく。退行現象 — 既に獲得した発達段階が、強いストレスや不安によって一時的に後退し、より幼い頃の行動パターンを示す現象。例:一人でトイレに行けていた子どもが「怖い」と訴える。災害時看護 (Disaster Nursing) — 自然災害や人為的災害が発生した際に、被災者の生命を守り、健康を回復・維持するために行われる看護活動。トリアージ、応急処置、避難所ケア、心理的支援などが含まれる。ストレス反応 (Stress Response) — 身体的・心理的なストレスに対して生体が示す様々な反応。小児では、退行、夜泣き、食欲不振、無表情、身体症状(頭痛、腹痛)などとして現れる。安心感の提供 (Providing Security) — 災害時看護において最も基本的かつ重要なケアの一つ。被災者の恐怖や不安を軽減し、情緒的安定を取り戻すために、安全な環境と信頼できる関係性を構築すること。
同じテーマの問題
MyMerciで看護師国家試験を完全対策
過去問と詳しい解説を無料で。弱点を分析し、進捗を管理してより効率的に学習しましょう。
無料で始める
学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。