核心解説
この問題は、
乳幼児の疼痛評価における評価尺度の選択を問うています。特に生後8か月の乳児は、
言語による自己報告が不可能であるため、
行動観察に基づく評価尺度を選択する必要があります。看護師は、患者の発達段階に応じた適切な評価ツールを選択することが求められます。
1.
核心概念の分析 (Key Concept): この問題の核心は、
乳児の疼痛アセスメントにおける評価尺度の適応です。
最重要! 乳幼児(特に新生児から3歳未満)は、痛みを言語で表現できないため、
行動指標(Action Indicators)と
生理学的指標(Physiological Indicators)を組み合わせた観察評価が不可欠です。
2.
正解の根拠 (Answer Rationale): 正解は
行動評価スケール(FLACC)です。FLACCは、
Face(顔の表情)、
Legs(脚の動き)、
Activity(活動)、
Cry(啼泣)、
Consolability(慰めやすさ)の5項目を0~2点で評価する行動観察尺度です。生後8か月の乳児はこの尺度の適応範囲(0~7歳)であり、言語能力が未発達なため行動観察が最も有効です。
3.
誤答の分析 (Distractor Analysis):
- ②
混同注意! 視覚アナログスケール(VAS)は、患者が自分の痛みを線上の印で示す自己報告式尺度です。乳児には理解不能で使用できません。成人や学童以上の小児に用います。
- ③
小児用疼痛質問票(PPQ)は、主に学童期(6~12歳)以上の小児が自分の痛みを言語的に回答する質問紙です。乳児には使用できません。
- ④
数値評価スケール(NRS)は、患者が0~10の数値で痛みを自己報告する尺度です。乳児には理解できません。
- ⑤
顔の表情によるスケール(Face Scale)(例:Wong-Baker FACESスケール)は、笑顔から泣き顔までの6つの顔のイラストから患者自身が選択する自己報告式尺度です。通常3歳以上の小児に用いられ、乳児には使用できません。自己報告が前提のため、言語指示が理解できない乳児には不適切です。
4.
関連概念の整理 (Related Concepts):
混同注意! 乳幼児の疼痛評価には、FLACCの他に
NIPS(Neonatal Infant Pain Scale、新生児乳児疼痛尺度)や
CRIES(Crying, Requires O2, Increased VS, Expression, Sleeplessness)などがあります。NIPSは主に新生児(0~1歳)に、CRIESは早産児~新生児に用いられます。FLACCは0~7歳と幅広い年齢層に使用可能な点が特徴です。
概念整理: 小児の疼痛評価は発達段階に応じて使い分ける。
・新生児~乳児(言語表現不可):行動観察尺度(FLACC, NIPS, CRIES)
・幼児~学童前期(3~7歳):自己報告式(Face Scale)+行動観察の併用
・学童期~思春期(8歳以上):自己報告式(VAS, NRS, Face Scale)が主体
一目で比較!:
| 評価尺度 | 適応年齢 | 評価方法 | 自己報告/観察 |
| FLACC | 0~7歳 | 5項目の行動観察(Face, Legs, Activity, Cry, Consolability) | 観察 |
| VAS | 学童期~成人 | 10cmの直線上に印をつける | 自己報告 |
| Face Scale | 3歳以上 | 顔の表情イラストから選択 | 自己報告 |
| NRS | 学童期~成人 | 0~10の数値を口頭で回答 | 自己報告 |
看護過程ポイント:
最重要! 術後の乳児の疼痛アセスメントでは、バイタルサイン(心拍数、呼吸数、血圧の上昇)の変動と行動観察(顔のゆがみ、体の硬直、泣き声の質)を組み合わせて評価する。鎮痛薬投与後は、30分以内に再評価し効果と副作用を確認する。
暗記のコツ: FLACCの5項目は「
Face
Legs
Activity
Cry
Consolability」の頭文字で覚える。日本語では「顔・脚・活動・泣き・慰めやすさ」と対応させる。
国試頻出ポイント: 小児の疼痛評価尺度の適応年齢と評価方法は毎年出題される。特に「乳児(0~1歳)には自己報告式尺度は使用できない」という点が必ず問われる。