核心解説
この問題は、
血友病A (Hemophilia A)と診断された幼児の母親に対する生活指導の適切な内容を問うています。血友病Aは、
第VIII因子 (Factor VIII)の先天的な欠乏または活性低下により、
血液凝固障害 (Coagulation Disorder)を来すX連鎖劣性遺伝疾患です。幼児期は歩行開始や活動量の増加に伴い、
最重要! 関節内出血 (Hemarthrosis)や皮下出血、筋肉内出血のリスクが高まります。看護師は、出血を予防しつつ、子どもの発達を阻害しない生活指導を行う必要があります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
選択肢①「関節内出血を予防するため、コンタクトスポーツは避けるよう指導する」が適切です。
血友病では、関節内に繰り返し出血すると、滑膜の肥厚や関節軟骨の破壊を来し、血友病性関節症 (Hemophilic Arthropathy)へと進行します。これを予防するため、ラグビーやサッカー、柔道などの身体接触が激しいコンタクトスポーツは避けるべきです。ただし、過度に活動を制限するのではなく、水泳や自転車など非コンタクトスポーツを推奨し、適度な運動と筋力維持を図ることが重要です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ②番:転倒を恐れて歩行開始を遅らせることは、運動発達の遅れを招き、適切ではありません。安全な環境を整え、自然な発達を促すことが大切です。
③番:出血時には
冷罨法 (Cold Compress)が原則で、温罨法は出血を増悪させるため禁忌です。温罨法は血腫吸収期に行います。
④番:止血後も一定期間(24〜48時間程度)の安静と関節の保護が必要です。すぐに通常の活動に戻すと再出血のリスクが高まります。
⑤番:第VIII因子製剤の予防的投与は、重症例や関節症の進行を防ぐ目的で週2〜3回行われますが、全ての症例で毎日の自己注射が推奨されるわけではありません。軽症例では出血時補充が基本です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
血友病A(第VIII因子欠乏)と血友病B(第IX因子欠乏)の区別、
フォン・ヴィレブランド病 (von Willebrand Disease)との鑑別も重要です。治療は
補充療法 (Replacement Therapy)が主体で、出血時は第VIII因子製剤を
30〜50 IU/kg投与します。インヒビター(抗体)の出現に注意が必要です。
概念整理:
血友病A (Hemophilia A) =
第VIII因子欠乏による凝固障害 → 関節内出血・筋肉内出血 → 血友病性関節症予防が重要。治療は
補充療法、予防はコンタクトスポーツ回避 + 適度な運動。
一目で比較!:
| 状態 | 適切なケア | 不適切なケア |
|---|
| 出血時 | RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上) + 補充療法 | 温罨法、マッサージ |
| 止血後 | 24〜48時間の安静、その後リハビリ開始 | すぐに通常活動へ戻す |
| 日常生活 | 非コンタクトスポーツ(水泳)推奨 | コンタクトスポーツ(ラグビー)禁止 |
看護過程ポイント:
アセスメント:出血の部位・程度、バイタルサイン、関節腫脹・可動域制限、疼痛の有無。過去の出血歴と補充療法の効果。
看護診断:「出血リスク状態」「身体可動性障害」「非効果的健康維持」
計画・介入:保護者への出血予防教育(安全な遊び環境の整備、転倒防止)、出血時の初期対応指導(RICE + 医療機関受診)、補充療法の管理(投与量・速度・副作用観察)、心理的サポート(疾患受容、過保護・過干渉の防止)。
暗記のコツ: 「血友病(Hemophilia)」の「Hemo」= 血液、「philia」= 愛する → 出血を愛する(しやすい)病気!覚え方は
8(第VIII因子) =
A(血友病A)、
9(第IX因子) =
B(血友病B)。
国試頻出ポイント: 血友病の遺伝形式(X連鎖劣性)、出血時の看護(RICE + 補充療法)、関節内出血予防(コンタクトスポーツ禁止)、インヒビター出現時の対応、保護者指導の優先順位を問う出題が頻出です。特に「幼児期の母親への指導」というテーマはよく出ます。