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乳児の健康増進のための看護
問題

生後1か月の乳児の健康診査で、母親が「授乳後によく吐きます。量も多いように感じます」と話した。体重増加は順調である。看護師の対応として最も適切なのはどれか。

解説
生後1か月頃の乳児は噴門括約筋が未熟なため、授乳後に少量吐くことは生理的な現象である。体重増加が順調であれば問題ない。げっぷをさせて胃内の空気を抜き、上半身を高くすることで逆流を防ぐことができる。
同じテーマの次の問題生後3か月の乳児を持つ母親が「最近、子どもがよく笑うようになりました。何か意味があるのですか」と質問した。この発達に関する看護師の説明で正しいのはどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、新生児・乳児の消化管生理 (Gastrointestinal Physiology in Infants) と、溢乳(Regurgitation) に対する適切な対応を問うています。生後1か月の乳児では、噴門括約筋 (Cardiac Sphincter / Lower Esophageal Sphincter) の筋緊張が未熟 であり、さらに胃の容量が小さいため、授乳後に空気を飲み込みやすく、乳汁が胃から食道へ逆流しやすい状態です。これを生理的溢乳(Regurgitation)と呼びます。問題では「体重増加は順調」であり、病的な嘔吐(胆汁性嘔吐、噴水状嘔吐など)を疑う所見はないため、基本的なケアで対応可能です。 正解の根拠 (Answer Rationale) 体重増加が順調で機嫌も良い状態であれば、生理的な溢乳と判断します。最重要! 最も基本的な対応は、授乳後に確実にげっぷ(排ガス)をさせて胃内の空気を抜くこと、そして 上半身を少し高く(約30度)した姿勢で寝かせること です。これにより胃内容物の食道への逆流を物理的に防ぎ、溢乳を軽減できます。 誤答の分析 (Distractor Analysis) ① 哺乳びんの乳首の穴を大きくするよう指導する:穴を大きくすると、乳汁の流出速度が速くなり、乳児がむせたり、より多くの空気を飲み込む原因となり、溢乳を悪化させる可能性があります。混同注意! ② ミルクの種類を変えるよう勧める:体重増加が順調で、ミルクアレルギー(消化器症状や皮膚症状など)を疑う所見がない場合、ミルクの種類変更は不要です。 ④ すぐに小児科を受診するよう勧める:生理的溢乳の範囲であり、体重増加が順調であるため、緊急受診の必要はありません。ただし、体重増加不良や噴水状嘔吐、胆汁性嘔吐があれば受診勧奨の対象となります。 ⑤ 授乳量を半分に減らすよう指導する:体重増加が順調であるため、授乳量を減らす必要はありません。むしろ、適切な栄養摂取を阻害する可能性があります。 関連概念の整理 (Related Concepts) 生理的溢乳(Regurgitation)と病的な 嘔吐(Vomiting) を鑑別することが重要です。病的嘔吐の徴候として、噴水状嘔吐(幽門狭窄症の疑い)胆汁性嘔吐(緑色、腸閉塞の疑い)、体重増加不良、元気がない、哺乳力低下などがあります。
概念整理: 生後1か月の生理的溢乳は、噴門括約筋未熟と胃内空気による。体重増加順調なら安心でよい。
一目で比較!:
特徴生理的溢乳病的嘔吐
機嫌・元気良好不良
体重増加順調不良
嘔吐の勢い口元からたら~と噴水状
嘔吐物の色乳汁(白色)胆汁(緑色)や血液

看護過程ポイント: アセスメント:体重増加曲線、哺乳状況(量・間隔)、嘔吐の性状と頻度、全身状態(機嫌・活気)の観察。 計画・実施:授乳後の排ガス(げっぷ)と頭部挙上姿勢の指導。 評価:溢乳の頻度減少、体重増加の継続。
暗記のコツ: 「生理的溢乳=体重増加○+げっぷ+頭部挙上」とセットで覚えましょう。病的嘔吐は「噴水」「胆汁」「体重増加×」がキーワードです。
国試頻出ポイント: 新生児・乳児の消化管の解剖生理(噴門括約筋の未熟性)と、生理的現象と病的状態の鑑別は頻出です。特に「体重増加」が正常かどうかが判断の決め手となります。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario) 3か月健診で、体重増加が順調な乳児の母親が「最近、授乳のたびにミルクを吐き戻すようになりました。洋服がすぐに汚れてしまって…」と相談してきました。機嫌は良く、活発に動いています。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment) 1. 観察・アセスメント:母子健康手帳の成長曲線を確認し、体重増加が順調であることを伝え、安心させます。同時に、嘔吐の勢い(噴水状か)、嘔吐物の色、哺乳後の時間、機嫌、腹部の状態(膨満の有無) を確認します。 2. 具体的な指導:授乳後は必ず縦抱きにして背中をトントンと優しく叩き、げっぷをさせてから、ベッドの頭側を少し高くして(枕やバスタオルを敷く)寝かせるよう具体的に指導します。「赤ちゃんの上半身が少し高い姿勢になるようにしてあげてくださいね」と伝えます。 3. 経過観察の指示:生理的溢乳は成長とともに改善しますが、もし噴水状の嘔吐や体重増加不良が見られたら、すぐに受診するよう伝えます。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions) 最重要! 誤嚥のリスク:仰臥位で寝かせる場合は、吐いたミルクが気管に入らないよう、顔を横向きにするか、頭部を挙上します。窒息予防が最優先です。
看護プロトコル: 観察項目:体重、哺乳量、嘔吐の性状と量、機嫌、哺乳力、腹部所見。 報告基準(SBAR):「S:生後1か月の乳児で、授乳後の吐き戻しが気になるという母親の相談。 B:体重増加は順調で、全身状態は良好。 A:生理的溢乳と考えられるが、病的嘔吐の可能性も否定できない。 R:母親への指導内容を確認したい。」 記録のポイント:指導内容と母親の反応、経過観察の指示を確実に記載する。
先輩看護師の一言:「お母さんは吐くたびに『病気なんじゃないか』と心配になります。まずは体重が増えていること、元気なことを伝えて安心させてあげてください。そして『げっぷと姿勢』という具体的なケアを教えることで、お母さん自身も自信を持って育児ができるようになります。生理的溢乳はほとんどが自然に治るものですが、誤嚥や病的嘔吐のサインを見逃さない観察眼も大切ですよ!」

重要概念

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