核心解説
この問題は、高齢者の低栄養評価に用いる適切なスクリーニングツールの知識を問うています。看護師国家試験では、各評価尺度の目的を正確に把握しておくことが重要です。特に、高齢者では低栄養が
サルコペニア (Sarcopenia) や
フレイル (Frailty) のリスクを高め、ADL低下や予後不良に直結するため、適切なスクリーニングが看護ケアの第一歩となります。
1.
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! Mini Nutritional Assessment (MNA) は、高齢者を対象に開発された栄養状態評価ツールです。スクリーニング(MNA-SF:Short Form)とアセスメント(Full MNA)の両方に使用でき、
食事摂取量の変化、体重減少、移動能力、精神的ストレス、神経精神的問題、BMI などを評価します。高齢者の低栄養リスクを早期に発見するためのゴールドスタンダードとして広く用いられています。
2.
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意!
- ②番
Glasgow Coma Scale (GCS):意識レベル(開眼、言語反応、運動反応)の評価に用いられます。栄養評価とは無関係です。
- ③番
Morse Fall Scale:転倒リスクの評価に用います。栄養評価とは無関係です。
- ④番
Braden Scale:褥瘡(床ずれ)発生のリスク評価に用います。知覚、湿潤、活動、可動性、栄養、摩擦・ずれの6項目を評価しますが、栄養はサブ項目であり、低栄養を総合的にスクリーニングするためのツールではありません。
- ⑤番
Hasegawa Dementia Scale (HDS-R):認知機能(見当識、記憶、計算など)の評価に用います。栄養評価とは無関係です。
3.
関連概念の整理 (Related Concepts):
最重要! 高齢者の栄養評価には、MNAの他に
簡易栄養状態評価表(CONUT:Controlling Nutritional Status) や、血清アルブミン値・総リンパ球数などを用いる方法もあります。また、低栄養の原因となる
嚥下障害 (Dysphagia) や
誤嚥性肺炎 (Aspiration Pneumonia) のリスク評価(反復唾液嚥下テスト:RSST、フードテストなど)も併せて学習しておくと良いでしょう。
概念整理: 高齢者低栄養のスクリーニングには
Mini Nutritional Assessment (MNA) が最適。その他のスケールは目的が異なるため、名称と目的をしっかり関連付けて覚えましょう。
一目で比較!:
| スケール名 | 評価目的 | 主な評価項目 |
|---|
| MNA | 高齢者の栄養状態 | 食事摂取量、体重減少、BMI、移動能力、ストレス |
| GCS | 意識レベル | 開眼(E)、言語反応(V)、運動反応(M) |
| Morse Fall Scale | 転倒リスク | 転倒歴、二次的診断、歩行補助具、点滴、歩行状態、精神状態 |
| Braden Scale | 褥瘡リスク | 知覚、湿潤、活動、可動性、栄養、摩擦・ずれ |
| HDS-R | 認知機能 | 見当識、記憶、計算、数字の逆唱 |
看護過程ポイント: 高齢者の入院時・入所時には、
アセスメント の一環としてMNAを用いた栄養スクリーニングを必ず実施しましょう。スクリーニングで低栄養リスクが高いと判断された場合は、詳細な栄養アセスメント(食事摂取量の記録、体重測定、血清アルブミン値・プレアルブミン値の確認)へとつなげ、必要に応じて
栄養サポートチーム (NST) に相談します。
暗記のコツ: 「MNA(ムーナ)は『M=ミート(肉)・N=ニュートリション(栄養)・A=アセスメント(評価)』と覚えましょう。肉を食べる(栄養)ことを評価するツールだとイメージすると忘れにくいです。」
国試頻出ポイント: 各評価スケールの目的を問う問題は毎年のように出題されます。名称から機能を連想できるように、表で一覧にして覚えるのが効果的です。
出題パターン注意!: 事例問題で「高齢の患者さんが体重減少している」という状況設定で、「まず使用する評価ツールはどれか」と問われることがあります。また、褥瘡予防のBraden Scaleのサブ項目に「栄養」があることと混同しないように注意しましょう。