核心解説
この問題は、
T字杖 (T-shaped cane / Single-point cane) を使用する高齢者の
階段昇降動作 (Stair Climbing / Descent) における正しい歩行指導を問うています。杖歩行の原則は「
最重要! 三点歩行 (Three-point gait)」または「
交互歩行 (Alternating gait)」のリズムを理解することです。階段を上る際は、
健側 (Healthy side / Unaffected side) の下肢を先に上げることで、体重を支えるための支持基底面 (Base of support) を確保し、転倒を予防します。
1.
核心概念の分析 (Key Concept): この問題の核心は、杖と患側・健側の足をどの順序で動かすかという「運動パターン (Movement pattern)」の理解です。杖は「患側の足の代わり」として機能し、患側と一緒に動くことが基本です。階段を「上る (Ascending)」場合と「下りる (Descending)」場合で、健側と患側の順序が逆転することを正確に覚える必要があります。
2.
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! 階段を上るときの基本原則は「
良い足(健側)から上へ」です。つまり、
最初に杖を上の段に置き、次に杖を持っていない側の足(健側)を上の段に上げ、最後に杖を持っている側の足(患側)を上の段に上げるという順序になります。これにより、常に健側が上の段で体重を支えることができ、安全です。
3.
誤答の分析 (Distractor Analysis):
-
混同注意! ①番:これは平地での「
交互歩行」の基本(杖・患側・健側)に近いですが、階段上りでは健側が先になります。平地歩行と混同しやすいです。
- ②番:杖を持っている側の足(患側)を先に上げると、患側に体重がかかり不安定で危険です。
- ④番:健側と患側を連続して上げると、杖が使われず支持が不安定になります。
- ⑤番:杖・患側・健側の順は「階段を下りる」ときの正しい順序です。
混同注意! 上りと下りの順序が逆になることをしっかり覚えましょう。
4.
関連概念の整理 (Related Concepts):
階段を下りる (Descending stairs) ときの原則は「
悪い足(患側)から下へ」です。順序は「杖・患側の足・健側の足」となります。上りと下りで、健側と患側の順序が完全に逆転することを意識してください。また、
手すり (Handrail) がある場合は、手すり側を優先して使用する指導も重要です。
概念整理: 杖歩行の基本原則は「
支持基底面を広く保つ」こと。杖は患側の代わりとして、患側と同時に動かします。階段上りは「
健側先行」、階段下りは「
患側先行」が鉄則です。
一目で比較!:
| 動作 |
順序 |
原則 |
| 平地歩行 |
①杖 ②患側 ③健側 |
三点歩行のリズム |
| 階段上り |
①杖 ②健側 ③患側 |
良い足から上へ |
| 階段下り |
①杖 ②患側 ③健側 |
悪い足から下へ |
看護過程ポイント:
アセスメント: 患者の筋力、バランス能力、認知機能を評価。杖の高さが適切か(大転子の高さが目安)を確認。
計画: 安全な歩行指導の計画立案。転倒リスクアセスメントの実施。
実施: 口頭説明とデモンストレーション、実際に練習させる。
評価: 指示通りに動作できているか、ふらつきがないかを確認。
暗記のコツ: 「
上がる(良い足)・下がる(悪い足)」と覚えましょう。「上はグー(Good:健側)、下はバッド(Bad:患側)」と語呂合わせで記憶するのも効果的です。
国試頻出ポイント: 「杖歩行の順序」は毎年必ずと言っていいほど出題される基本中の基本です。特に「階段の上り・下り」は、平地歩行と混同しやすいため、セットで正確に覚えておきましょう。状況設定問題では、患者の疾患(例:変形性股関節症、脳卒中片麻痺)に応じた杖の種類や歩行パターンまで問われることもあります。
出題パターン注意!: 単純な順序問題の他に、「この患者さんに階段の上り方を指導する際、正しいのはどれか」という事例形式で出題されます。また、「杖の高さの調節方法」や「T字杖以外の歩行補助具(松葉杖、歩行器)との比較」も合わせて学習しておくと良いでしょう。