前立腺癌で骨転移があり、疼痛コントロールのためにモルヒネ持続皮下注射を行っている患者。便秘の予防と管理についての看護師の… | MyMerci
性・生殖機能障害のある患者の看護
問題

前立腺癌で骨転移があり、疼痛コントロールのためにモルヒネ持続皮下注射を行っている患者。便秘の予防と管理についての看護師の説明で適切なのはどれか?

解説
モルヒネには便秘の副作用があり、予防的に食物繊維の摂取や水分摂取(制限ではなく十分な摂取)が推奨される。下剤は便秘が出現する前に予防的に投与されることが多い。排便時の強度の腹圧は疼痛増強や病変部への負荷となるため避けるべきである。

詳細解説

核心解説 この問題は、モルヒネ (Morphine) の代表的な副作用である 便秘 (Constipation) に対する看護ケアの知識を問うています。モルヒネはオピオイド鎮痛薬であり、消化管運動を抑制するため、ほぼ全ての患者に便秘が生じることを理解することが鍵です。そのため、便秘は「発生してから対応する」のではなく、「予防的に対応する」という考え方が最も重要です。 1. 正解の根拠 (Answer Rationale): 最重要! モルヒネによる便秘は、予防が第一です。選択肢②の「食物繊維の多い食品を積極的に摂取するよう指導する」は、便のかさを増やし腸管を刺激することで排便を促す、基本的かつ効果的な予防策です。同時に、十分な水分摂取(1500~2000mL/日程度、制限がない場合)や、医師の指示に基づく下剤の予防的投与(定期投与)が推奨されます。 2. 誤答の分析 (Distractor Analysis): 混同注意!適切ではない。 「便意を感じたら我慢せずにトイレに行く」ことは、便秘ではない人の一般的な生活指導としては正しいですが、モルヒネ使用中の患者では、そもそも便意が生じにくくなっています。「便意を感じてから」では手遅れになる可能性が高いため、予防的な排便計画(時間を決めたトイレ誘導など)が必要です。 ③ 不適切である。 強い腹圧は、がんの骨転移部位に疼痛を引き起こしたり、病的骨折を誘発するリスクがあります。安全な排便のためには、必要に応じて グリセリン浣腸 (Glycerin Enema) や摘便などの侵襲の少ない方法を選択します。 ④ 禁忌である。 水分摂取量を1日500mLに制限することは、脱水を招き、便秘を著しく悪化させます。腎機能や循環動態に問題がなければ、むしろ十分な水分摂取を促します。 ⑤ 適切ではない。 下剤は「便秘が出現してから内服を開始」するのではなく、便秘が起こる前に予防的に定時投与することが標準的なケアです。患者には、「便が出ていても、腸の中には便がたまっている」ことを説明し、指示通りに下剤を継続するよう指導します。
概念整理: オピオイド誘発性便秘 (Opioid-Induced Constipation, OIC) は、モルヒネなどのオピオイドが消化管のμオピオイド受容体に結合し、蠕動運動を抑制し、水分吸収を促進することで発生する。予防には、非薬物療法(水分・食物繊維・運動・排便姿勢の確保)と薬物療法(下剤の予防的定期投与)を組み合わせる。
一目で比較!:
項目一般的な便秘の指導モルヒネ使用中の便秘指導
便意我慢せずにトイレへ便意を待たずに時間を決めたトイレ誘導
下剤必要時 (頓用) も可予防的な定時 (定期) 投与が基本
腹圧適度にかける避ける(骨転位・疼痛増強リスク)
水分十分な摂取 (1500mL/日)十分な摂取 (制限があればそれに従う)

看護過程ポイント: - アセスメント: 排便の頻度、性状(ブリストル便性状スケール)、腹部の状態(膨満、蠕動音)、疼痛コントロール状況を日々評価する。 - 看護診断: 「便秘(リスク状態)」 例: 「オピオイド鎮痛薬の副作用に関連した便秘」 - 計画・実施: 医師の指示に基づく下剤(酸化マグネシウム、センノシドなど)の定期投与の遵守。必要に応じて、より強力な末梢性μオピオイド受容体拮抗薬(ナルデメジンなど)の使用を検討する(医師へ提案)。 - 評価: 2~3日に1回以上の排便があるか、腹部症状の有無を確認する。
暗記のコツ: 「モルヒネ = 便意をなくす、蠕動を止める」と覚えましょう。「便意がなくても出す準備(下剤と水分)が大事!」というイメージです。
国試頻出ポイント: オピオイド鎮痛薬の副作用の中で、最も頻出なのは「便秘」と「呼吸抑制」です。便秘は予防が重要であること、呼吸抑制は特に投与開始時や増量時に注意が必要であることをセットで覚えましょう。
出題パターン注意!: 単純な副作用の知識だけでなく、「がん性疼痛の緩和ケアにおいて、便秘が生じている患者への優先的な看護介入は?」といった状況設定問題で出題されることが多いです。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド - 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 80代男性、前立腺癌の骨転移あり。モルヒネ持続皮下注射(20mg/日)を導入しました。導入後3日目、患者さんが「お腹が張って苦しい。4日間便が出ていない」と訴えました。 - 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): まず腹部の聴診と触診を行い、腸蠕動音の減弱や腹部の緊満を確認します。最重要! 医師に報告し、指示を受けて グリセリン浣腸 を実施するか、すでに処方されている下剤(例:酸化マグネシウム)の増量や、別の下剤(例:ピコスルファートナトリウム)の追加を検討します。同時に、今後同じ状況を繰り返さないために、下剤の予防的定期投与について医師と相談し、患者と家族に「毎日少しずつでも便を出すことが大切」と説明します。 - 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 排便時の強い怒責(いきみ)は絶対に避ける! 骨転移部への負荷による疼痛増強や病的骨折のリスクがあります。また、長期臥床傾向がある場合は、便座に座る際の転倒リスクにも注意します。
看護プロトコル: 観察項目(排便回数・性状・腹部所見・食事摂取量・水分摂取量・ADLレベル)、報告基準(3日以上排便がない、腹部膨満が強い、腹痛を伴う、嘔気がある)、記録のポイント(便性状と量、使用した処置とその効果、患者の訴え)。
先輩看護師の一言: 「モルヒネを使うときは、呼吸と排便は『セット』でチェックするのが先輩の流儀です!呼吸抑制は『動かなさすぎ』、便秘は『出なさすぎ』。予防が一番大事で、『まだ出てるから大丈夫』は一番危ないですよ。患者さんが『出ない』と言う前に、こちらから『昨日は出ましたか?』と聞く習慣をつけましょう!」

重要概念

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