80歳の女性。白内障の手術後、視力は改善したが、夜間の外出時に「暗くて足元が見えにくい」と訴えている。看護師の指導として… | MyMerci
感覚機能障害のある患者の看護
問題

80歳の女性。白内障の手術後、視力は改善したが、夜間の外出時に「暗くて足元が見えにくい」と訴えている。看護師の指導として適切なのはどれか。

解説
白内障術後でも加齢による暗順応の低下は残存することが多い。携帯用の懐中電灯を使用することで、足元を照らしながら安全に歩行できる。夜間の外出制限はQOLを低下させるため避ける。白い杖は視覚障害が重度の場合に適応される。

詳細解説

核心解説 この問題は、白内障 (Cataract) 手術後の高齢者の 視覚障害 (Visual Impairment) と生活指導に関する知識を問うています。白内障手術によって混濁した水晶体が除去され視力は改善しますが、加齢に伴う 暗順応 (Dark Adaptation) の低下調節力 (Accommodation) の喪失 は残存するため、夜間の視環境に合わせた安全な行動を支援することが看護の役割です。

正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 本問の患者は「暗くて足元が見えにくい」という具体的な生活上の困難を訴えています。白内障術後であっても、加齢による 暗順応の遅延網膜感度の低下 は完全には改善しません。そのため、携帯用の懐中電灯 (Flashlight) を持ち歩くことで、足元や周囲の視認性を高め、転倒 (Fall) 予防 につなげることができます。これは患者の Quality of Life (QOL) を維持しながら安全を確保する、根拠に基づく看護介入です。

誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!
①番:眼科で再検査を受けるよう強く勧める → 手術後で視力自体は改善しており、急を要する異常が示唆されているわけではありません。まずは生活環境の調整で対応可能な範囲であるため、「強く勧める」のは過剰な介入です。
③番:明るい色の服装を勧める → 夜間の視認性(他の人から見えやすくなる)には有効ですが、患者自身の「足元が見えにくい」という問題の解決にはなりません。
④番:夜間の外出を完全に控えるよう勧める → 患者の社会的活動やQOLを著しく低下させる可能性があり、転倒リスクだけを理由に行動制限をするのは適切ではありません。環境調整や補助具の活用を優先すべきです。
⑤番:白い杖を使用するよう指導する → 白い杖 (White Cane) は、視覚障害 (Visual Impairment) が重度で、歩行に著しい支障がある場合に適応される補助具です。本問の患者は「暗い場所で見えにくい」という限定的な状況であり、日常的に白い杖を必要とする状態とは異なります。

関連概念の整理 (Related Concepts)
白内障術後の視機能の変化を理解する上で、混同注意! 以下の点を押さえましょう。
- 水晶体摘出 (Lens Extraction) により調節力は完全に失われるため、遠近両用の眼鏡が必要。
- 術後の 後発白内障 (Posterior Capsular Opacification) では再び視力低下をきたすことがあり、その場合は YAGレーザー後嚢切開術 (YAG Laser Capsulotomy) が行われる。
- 加齢性の 黄斑変性 (Macular Degeneration)緑内障 (Glaucoma) を合併している場合は、術後も視野障害や視力低下が残存する可能性がある。

概念整理: 白内障術後の主な視機能変化は 調節力消失暗順応低下。夜間の転倒リスクが高まるため、環境調整(照明確保・段差の除去)と補助具(懐中電灯)の活用が安全な生活に不可欠。
一目で比較!:
補助具適応
携帯用懐中電灯暗順応低下による夜間の視認性低下
白い杖重度視覚障害(光覚弁~手動弁)による歩行補助
拡大鏡ロービジョン(低視力)時の読書・細かい作業

看護過程ポイント: アセスメント:患者の訴える「見えにくさ」の状況(時間帯・場所・活動内容)を具体的に聴取。術後の経過(視力値・合併症の有無)を確認。 計画:夜間の安全な移動方法を患者と共に検討し、転倒予防策(環境整備・補助具)を立案。 実施:懐中電灯の使用方法を実演し、実際に夜間歩行をシミュレーション。 評価:「夜間の外出が安全にできるようになったか」「転倒が生じていないか」を確認。
暗記のコツ: 「白内障術後 = 調節力ゼロ + 暗いところが苦手」。暗いところには「懐中電灯」と覚えましょう。「白い杖 = 重度の視覚障害」とセットで暗記。
国試頻出ポイント: 高齢者の視覚障害と転倒予防は、老年看護学在宅看護論 の分野で頻出。単に「転ばせない」ではなく、「安全に活動できるように支援する」視点が求められます。
出題パターン注意!: 本問は単純な知識問題ですが、事例問題では「夜間に自宅内で転倒した高齢患者」の事例から、看護計画や環境整備の優先順位を問う形に発展します。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド

臨床シナリオ (Clinical Scenario)
80代女性、白内障術後1週間。退院後の初回訪問看護で、「夜中にトイレに起きるとき、暗くて足元がよく見えなくて怖い。一度、スリッパに足が引っかかってよろめいた」と話します。視力は手術眼で0.8まで改善していますが、非手術眼は0.3の白内障が残っています。

看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 観察 (Observation):自宅の寝室からトイレまでの動線の照明状況(廊下の明るさ、足元に障害物がないか)、患者の歩行状態(ふらつきの有無、使用している履物)を確認。
2. アセスメント (Assessment):手術眼の視力は十分改善しているが、非手術眼の白内障と加齢による暗順応低下が原因で、夜間の低照度下での視認性が著しく低下している。転倒ハイリスク状態と判断。
3. 報告 (Report):医師やケアマネジャーへ、患者の転倒リスクと環境調整の必要性を SBAR (Situation, Background, Assessment, Recommendation) を用いて報告。
4. 介入 (Intervention): - 最重要! 患者と相談し、枕元に 携帯用懐中電灯 (Flashlight) を常時置き、夜間トイレ時に使用するよう指導。 - 廊下に センサーライト (Sensor Light) または 常夜灯 (Night Light) を設置することを提案。 - 転倒予防のために、滑りにくい靴 (Non-slip Footwear) の着用を促す(スリッパは避ける)。 5. 評価 (Evaluation):1週間後に再度訪問し、「夜間のトイレ移動が安全にできるようになったか」「新たな転倒がなかったか」を確認。必要に応じて、環境調整を追加。

看護プロトコル: 高齢者の視覚障害に伴う転倒予防では、まず「患者の訴えを聞く」「生活環境を評価する」「具体的な解決策を一緒に考える」という流れが基本。報告は「夜間転倒の危険があるため、環境調整を検討してほしい」と明確に。
先輩看護師の一言: 「白内障術後だからって『もう見えるでしょ』と決めつけないで!手術で水晶体の濁りは取れても、網膜や視神経の機能は年齢相応。特に暗いところの見え方は全然違うから、患者さんの『見えにくい』という言葉をしっかりキャッチして、一緒に安全な方法を考えてあげてね!」

重要概念

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