発熱時の看護ケアで、患者の体温上昇期(熱産生期)に観察される症状はどれか。 | MyMerci
内部環境(体温、血糖、体液量、電解質、酸塩基平衡)調節機能障害のある患者の看護
問題

発熱時の看護ケアで、患者の体温上昇期(熱産生期)に観察される症状はどれか。

解説
体温上昇期では、体温調節中枢が設定温度を引き上げ、骨格筋の収縮(悪寒戦慄)により熱産生を亢進させる。この時期は末梢血管が収縮し、皮膚は冷たく、顔面は蒼白となる。発汗や顔面紅潮は熱放散期の症状である。

詳細解説

核心解説 この問題は、発熱時の体温変化における 体温上昇期(熱産生期) の患者の症状を問うています。体温調節中枢 (Thermoregulatory Center) が設定温度を引き上げることで、身体は熱を産生し保持しようとします。この時期の特徴的な症状は 悪寒戦慄 (Shivering / Rigor) であり、骨格筋の不随意収縮によって熱を産生します。同時に、末梢血管は収縮し、皮膚への血流が減少するため、皮膚は冷たく蒼白となります。 正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は 悪寒戦慄 (Shivering / Rigor) です。最重要! 発熱には3つの経過(体温上昇期、高熱期(稽留期)、解熱期(熱放散期))があり、体温上昇期では設定温度と現在の体温の差を埋めるために、骨格筋を震わせて熱を産生します。これが悪寒戦慄です。看護師はこの時期の患者に、保温と安静の確保が重要となります。 誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 皮膚の温感は、熱が体内にこもり末梢血管が拡張する高熱期や解熱期に見られます。体温上昇期では末梢血管が収縮しているため、皮膚は冷たく感じます。
② 発熱時には一般に代謝が亢進し心拍数が増加するため、徐脈 (Bradycardia) ではなく 頻脈 (Tachycardia) が見られます。
③ 発汗 (Perspiration / Diaphoresis) は、熱を体外に放散するための現象で、解熱期 に特徴的な症状です。
④ 顔面紅潮 (Facial Flushing) も末梢血管の拡張によるもので、高熱期や解熱期 に見られます。体温上昇期は末梢血管が収縮し顔面は蒼白となります。 関連概念の整理 (Related Concepts)
発熱の各時期の看護介入の違いを理解しておくことが重要です。
- 体温上昇期: 保温(毛布、湯たんぽ)、安静、悪寒戦慄の観察。
- 高熱期: クーリング(氷枕、濡れタオル)、水分補給、バイタルサイン測定。
- 解熱期: 発汗による脱水に注意、清拭、衣類交換、水分・栄養補給。
また、発熱の原因として 感染症 (Infectious Disease) が最も多いですが、薬剤熱 (Drug Fever)輸血反応 (Transfusion Reaction) なども鑑別する必要があります。
概念整理: 発熱の3期(体温上昇期、高熱期、解熱期)と各期の症状・看護介入は必ずセットで覚えましょう。

一目で比較!:
時期主な症状看護介入
体温上昇期悪寒戦慄、皮膚蒼白・冷感、 goosebumps(鳥肌)保温、安静、検温
高熱期顔面紅潮、皮膚温感、口渇、頭痛、頻脈クーリング、水分補給
解熱期発汗、全身倦怠感、脱水傾向清拭、衣類交換、水分・栄養補給

看護過程ポイント: アセスメントでは「発熱のどの時期か」を見極めることが最初の一歩です。バイタルサイン(特に体温と脈拍)、皮膚の状態(色調、湿潤度、温感)、患者の訴え(寒気の有無)を総合的に観察します。看護診断としては「体温調節不全 (Ineffective Thermoregulation)」や「体液量不足リスク (Risk for Deficient Fluid Volume)」が挙げられます。
暗記のコツ: 「熱が出る時は寒い!熱が下がる時は汗をかく!」と覚えましょう。体温が上がる直前は体が「寒い」と感じ、体温が下がる時は体が「暑い」と感じて汗をかきます。
国試頻出ポイント: 発熱の経過に沿った症状と看護ケアの組み合わせは、基礎看護学の頻出テーマです。特に「体温上昇期=悪寒戦慄」はほぼ必須知識と言えます。また、発熱時の解熱剤(アセトアミノフェンなど)投与のタイミングについても併せて学習しておくと良いでしょう。
出題パターン注意!: 「70代の肺炎患者が、夜間に急に『寒くてたまらない』と訴え、体が震えています。看護師の対応で正しいのはどれか」といった事例問題に発展することが多いです。この場合、正解は「毛布を追加して保温する」となります。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario)
夜勤中、60代の肺炎で入院中の患者さんが「先生、すごく寒気がする…」と体を丸めて震えています。バイタルサインは体温 36.8℃、脈拍 98回/分、血圧 132/80 mmHg、SpO2 96%。皮膚は触ると冷たく、顔色は蒼白です。患者さんは「さっきまでは平気だったのに、急に寒くなってきた」と話します。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 観察: この患者さんは明らかに 体温上昇期 にあります。体温はまだ上がっていませんが、脈拍がやや速く、悪寒戦慄を認めます。
2. アセスメント: 体温調節中枢が設定温度を引き上げ、これから体温が急激に上昇することが予測されます。また、悪寒戦慄により酸素消費量が増加するため、呼吸状態への影響も考慮します。
3. 報告(SBAR): 「状況(S):60代肺炎患者、悪寒戦慄あり。背景(B):肺炎にて抗生剤投与中。夜間急に寒気を訴え、現在体温36.8℃。アセスメント(A):体温上昇期であり、これから発熱する可能性が高い。呼吸状態は安定しているが、悪寒戦慄による負担に注意が必要。提案(R):毛布による保温と検温の継続。医師の指示があれば解熱剤の準備も考慮したい。」
4. 介入: 毛布を追加し、室温を調整して保温する。 患者に「今は体温が上がろうとしている時期なので、しっかり温めますね」と説明し安心させます。同時に、15~30分おきの検温とバイタルサイン測定を計画します。
5. 評価: 30分後、体温が38.2℃まで上昇し、悪寒戦慄は消失しました。皮膚は温かくなり、顔色は紅潮してきました。この時点で高熱期に移行したため、保温からクーリングへと看護介入を切り替えます。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
- 最重要! 体温上昇期に氷枕やアルコール清拭など冷やすケアを行うと、かえって悪寒戦慄が強くなり患者に大きな負担となります。この時期は絶対にクーリングを開始しないでください。
- 高齢者や心疾患・呼吸器疾患のある患者では、悪寒戦慄による心負荷増大や低酸素血症に注意が必要です。SpO2モニターを継続し、呼吸状態を観察します。
- 発熱の原因が 感染症 (Infection) の場合、標準予防策(スタンダードプリコーション)を徹底し、必要に応じて感染隔離を検討します。
看護プロトコル: 観察項目:体温(経時的測定)、脈拍、呼吸数、血圧、SpO2、皮膚の色調・温感・湿潤度、悪寒戦慄の有無、意識レベル、水分出納。
報告基準(SBAR):悪寒戦慄出現時、体温40℃以上、呼吸状態悪化(SpO2 90%未満)、意識障害出現時は医師へ速やかに報告。
記録のポイント:「発熱経過表」を用いて、時刻、体温、脈拍、症状(悪寒、発汗など)、看護介入とその効果を時系列で正確に記録する。
先輩看護師の一言: 「『熱が出そうな時は温めて、熱が上がったら冷やす』この原則を絶対に忘れないで!特に夜勤帯は悪寒戦慄を訴える患者さんが多いから、毛布の準備は必須だよ。患者さんは急な寒気に驚いているから、『今から熱が出るので温めますね。大丈夫ですよ』と優しく声をかけて安心させてあげてね。」

重要概念

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