終末期がん患者の嘔気・嘔吐に対する緩和ケアで、原因に応じた薬剤選択として適切なのはどれか。 | MyMerci
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がん看護
問題

終末期がん患者の嘔気・嘔吐に対する緩和ケアで、原因に応じた薬剤選択として適切なのはどれか。

解説
消化管通過障害による嘔気・嘔吐には、消化管運動促進薬であるメトクロプラミドが適応となる。高カルシウム血症にはビスホスホネート製剤、頭蓋内圧亢進にはデキサメタゾンなどのステロイド薬、薬剤性には原因薬剤の中止が優先される。腸閉塞による嘔吐にはヒオスチンが用いられることがある。
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詳細解説

核心解説 この問題は、終末期がん患者の嘔気・嘔吐 (Nausea and Vomiting)に対する緩和ケアにおいて、原因に基づいた薬剤選択の知識を問うものです。最重要!緩和ケアでは、症状の原因をアセスメントし、その病態に最適な薬剤を選択することが、患者のQOL(Quality of Life)維持・向上に直結します。 核心概念の分析 (Key Concept): この問題の核心は、原因別の緩和ケア薬物療法です。終末期の嘔気・嘔吐の原因は多岐にわたり、消化管通過障害、腸閉塞、薬剤性、高カルシウム血症、頭蓋内圧亢進などがあります。それぞれに最適な薬剤の作用機序を理解することが必要です。 正解の根拠 (Answer Rationale): 最重要!正解は⑤の消化管通過障害にはメトクロプラミド (Metoclopramide)です。 メトクロプラミドは、消化管運動促進薬 (Prokinetic Agent)であり、上部消化管の蠕動運動を亢進させ、胃内容物の排出を促進します。そのため、消化管通過障害 (Gastrointestinal Dysmotility)や胃内容停滞による嘔気・嘔吐に対して第一選択薬となります。 誤答の分析 (Distractor Analysis): 混同注意!各選択肢の原因と適切な薬剤の組み合わせは頻出です。 - ①番: 混同注意! 腸閉塞(特に完全閉塞)には、消化管運動促進薬は禁忌です。蠕動を促進すると腹痛を増強させるため、ヒオスチン (Hyoscine Butylbromide)などの消化管分泌抑制・蠕動抑制薬が用いられます。デキサメタゾンは腸閉塞の浮腫軽減に用いることはありますが、第一選択はヒオスチンです。 - ②番: 混同注意! 高カルシウム血症 (Hypercalcemia)による嘔気には、ビスホスホネート製剤 (Bisphosphonate)生理食塩水による輸液が基本です。オランザピンは主に統合失調症やせん妄に用いる非定型抗精神病薬で、悪心・嘔吐に対する適応はありません。 - ③番: 混同注意! 薬剤性 (Drug-induced)の嘔気・嘔吐の第一選択は、原因薬剤の中止または変更です。ハロペリドールは主にせん妄や化学療法による嘔気に用いられる抗精神病薬ですが、薬剤性嘔気の第一選択ではありません。 - ④番: 混同注意! 頭蓋内圧亢進 (Increased Intracranial Pressure, ICP)による嘔気には、デキサメタゾン (Dexamethasone)などのステロイド薬が用いられます。ステロイドは脳浮腫を軽減し、頭蓋内圧を低下させます。ヒオスチンは腸閉塞時の消化管蠕動抑制に用いる薬剤です。 関連概念の整理 (Related Concepts): - 緩和ケアにおける嘔気・嘔吐のアセスメントでは、原因(消化管、薬剤、代謝性、中枢性など)を特定することが薬剤選択の第一歩です。 - 消化管運動促進薬(メトクロプラミド)は、腸閉塞が疑われる場合には禁忌であり、注意が必要です。 - 化学療法による悪心・嘔吐(CINV)には、制吐作用の強い5-HT3受容体拮抗薬やNK1受容体拮抗薬、デキサメタゾンなどが予防的に使用されます。
概念整理: 終末期嘔気・嘔吐の原因と対応薬剤の因果関係
原因第一選択薬作用機序
消化管通過障害メトクロプラミド消化管運動促進
腸閉塞ヒオスチン蠕動抑制・分泌抑制
頭蓋内圧亢進デキサメタゾン脳浮腫軽減
高カルシウム血症ビスホスホネート骨吸収抑制・カルシウム低下
薬剤性原因薬剤の中止・変更原因除去

一目で比較!: 混同注意!メトクロプラミド(消化管運動促進) vs ヒオスチン(消化管蠕動抑制)は、正反対の作用。腸閉塞の有無で使い分けます。
看護過程ポイント: - アセスメント: 嘔気・嘔吐の誘因、性状、頻度、随伴症状(腹痛、腹部膨満、頭痛、便秘の有無)、バイタルサインを評価。 - 看護診断: 「吐き気 (Nausea)」「嘔吐 (Vomiting)」関連因子として、消化管通過障害や薬剤副作用を特定。 - 計画・実施: 医師の指示に基づき、原因に応じた薬剤を投与。投与前後の効果と副作用(メトクロプラミドでは錐体外路症状)を観察。 - 評価: 嘔気の程度(NRS: Numerical Rating Scaleなど)の変化、嘔吐の回数、患者の主観的改善度を評価。
暗記のコツ: 「通過障害 = 動かす = メトクロプラミド」「腸閉塞 = 止める = ヒオスチン」と対で覚えましょう。「高カルシウム = 骨に効く = ビスホスホネート」「頭蓋内圧亢進 = 脳の腫れを取る = ステロイド(デキサメタゾン)」とキーワードを結びつけて暗記すると効果的です。
国試頻出ポイント: この問題は「緩和ケア」領域の中でも特に「症状マネジメント」の基本として頻出。単純な薬剤名暗記ではなく、「なぜその薬剤がその原因に効くのか」という作用機序を問われます。選択肢の組み合わせを丸暗記するのではなく、原因と薬理作用の因果関係で理解しましょう。
出題パターン注意!: 単純な○×問題から、事例問題「胃がん終末期の患者、腹痛と嘔吐が出現。腹部レントゲンで腸閉塞が確認された。看護師の対応として適切なのは?」のように発展します。原因を特定した上で、薬剤選択と看護介入の優先順位を問われます。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 80代女性、終末期胃がん患者。モルヒネ内服中。夜間に「気持ち悪い、吐きそう」と訴え、実際に胃液様のものを少量嘔吐。腹部は軽度膨満しており、最終排便は3日前。腸蠕動音は減弱しているが、金属音は聴取せず。あなたは看護師として、まず何をアセスメントし、どのように対応すべきでしょうか? 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 1. 観察とアセスメント: まず、患者の状態を系統的にアセスメントします。 - 最重要! バイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸、SpO2)の確認。 - 嘔気・嘔吐の性状(内容、量、色)、腹痛の有無と部位、腹部の状態(膨満、圧痛、蠕動音)。 - 腸閉塞の兆候(疝痛様腹痛、金属音、腹部全体の膨満、ガス・便の排泄停止)の有無を確認。 2. 報告と指示確認: 医師にSBARで報告。 - S: 「Sさん、夜間に嘔気と嘔吐がありました。」 - B: 「胃がん終末期で、モルヒネ内服中。最終排便は3日前。腹部は軽度膨満で蠕動音は減弱しています。腸閉塞を疑う金属音はありません。」 - A: 「消化管通過障害または薬剤性の嘔気の可能性が考えられます。腸閉塞の可能性は低いとアセスメントしています。」 - R: 「メトクロプラミドの使用は可能でしょうか?また、緩下剤の追加や排便のコントロールもご検討ください。」 3. 看護介入: 指示に基づき、メトクロプラミドを投与。投与後は、効果と副作用(特に錐体外路症状:眼球上転、頸部後屈、舌の突出など)の観察を徹底します。また、環境調整(換気、口腔ケア、体位の工夫(ファウラー位など))も併せて実施します。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): - 最重要! 腸閉塞の除外は絶対条件です。腸閉塞が疑われる患者にメトクロプラミドを投与すると、腸管穿孔や激しい腹痛を引き起こす可能性があります。 - モルヒネ等のオピオイド鎮痛薬による嘔気は、初期投与時や増量時に出現しやすい。制吐薬(メトクロプラミドなど)の併用が有効です。 - 高齢者へのメトクロプラミド投与は、錐体外路症状の発現リスクが高いため、慎重な観察が必要です。 - 完全な腸閉塞が疑われる場合は、ヒオスチンや持続的な胃管による減圧を考慮します。
看護プロトコル: - 観察項目: 嘔気の強さ(NRS)、嘔吐回数・性状、腹部の状態(蠕動音、膨満、圧痛)、排便状況、薬剤の効果と副作用。 - 報告基準 (SBAR): 急変時や症状悪化時は直ちに医師へ報告。特に、嘔吐が持続する、腹痛が増強する、腸閉塞を疑う所見が出現した場合は緊急報告。 - 記録: 観察所見、アセスメント、医師への報告内容と指示、実施したケア、患者の反応を客観的に記録。
先輩看護師の一言 「終末期の患者さんの『気持ち悪い』は、本当に辛いものです。ただ薬を渡すだけではなく、『なぜ吐き気がするのか、今の状態はどうなっているのか』をアセスメントできる看護師になりましょう。それが、患者さんにとって本当に必要なケアにつながります。国試の問題も、ただ答えを覚えるのではなく、『この原因ならこの薬』という臨床の流れをイメージしながら解いてみてくださいね!」

重要概念

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