大腿骨頸部骨折術後の患者に対するリハビリテーション看護で、転倒予防のために最も重要な指導はどれか。 | MyMerci
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リハビリテーション看護
問題

大腿骨頸部骨折術後の患者に対するリハビリテーション看護で、転倒予防のために最も重要な指導はどれか。

解説
術後は安静による廃用症候群や薬剤の影響で起立性低血圧を起こしやすく、めまいによる転倒リスクが高い。立ち上がる前にめまいの有無を確認することは、安全な動作を促し転倒予防に直結する。他の選択肢は患者の自立を阻害したり、現実的でない。
同じテーマの次の問題リハビリテーション看護における基本的な考え方として正しいのはどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、大腿骨頸部骨折 (Femoral Neck Fracture) 術後のリハビリテーション看護において、転倒予防 (Fall Prevention) のために最も重要な指導内容を問うています。術後患者は長期臥床による筋力低下(廃用症候群)や術中の出血、鎮痛薬・麻酔薬の影響により、起立性低血圧 (Orthostatic Hypotension) を生じやすく、これが立ちくらみやめまい(Dizziness)を誘発し、転倒の直接的な原因となります。

正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! ベッドから立ち上がる前に「めまいの有無」を確認することは、患者自身が自分の身体状態をアセスメントし、安全な動作(Safe Mobility)を選択できるようにするための自己管理能力(Self-management)を高める指導です。起立性低血圧による転倒は、患者の術後経過を大きく左右し、再手術や長期臥床につながる可能性があるため、予防策として最も基本的かつ重要です。

誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! ②「歩行時は必ず介助者を待つこと」は、安全確保として重要ですが、常に介助者を待つことは患者の早期離床と自立性の促進 (Promotion of Independence) を阻害し、ADL(Activities of Daily Living)拡大の妨げとなります。看護師は患者の状態に応じて適切な監視下で自立を促す必要があります。
③「夜間はトイレに行かないように指導すること」は現実的ではなく、患者のQOLを著しく低下させます。むしろ、夜間のトイレ歩行時のリスクを考慮し、ポータブルトイレの使用や、ナースコールを確実に使用するよう指導すべきです。
④「室内では必ず車椅子を使用すること」は、筋力維持・回復や骨癒合の観点から不適切です。術後は痛みが落ち着き次第、荷重制限(Weight-bearing Restriction)に従って早期から歩行訓練を開始します。
⑤「ベッド柵は常に上げておくこと」は、身体拘束(Physical Restraint)に準じる行為であり、患者の転落防止にはなりますが、転倒予防の能動的な指導とはなりません。患者の行動を制限するだけでなく、筋力低下やせん妄(Delirium)のリスクを高める可能性があります。

関連概念の整理 (Related Concepts):
術後の転倒リスク因子は多岐にわたります。①起立性低血圧、②筋力低下・バランス障害、③視覚障害、④鎮痛薬・睡眠薬の影響、⑤環境因子(床の段差、照明の暗さ、履物の不備)を総合的にアセスメントし、個別性のある転倒予防策を立案することが求められます。

概念整理: 転倒予防 (Fall Prevention) の基本は、リスク因子の特定と自己管理能力の向上です。術後の安静による廃用症候群(Disuse Syndrome)と薬剤性の起立性低血圧を予防するため、段階的な離床 (Progressive Mobilization) と動作前のめまい確認は、安全なリハビリテーションの大前提となります。

一目で比較!: 転倒予防 vs 転落予防
項目転倒予防 (Fall Prevention)転落予防 (Bed Fall Prevention)
主なリスク起立性低血圧・筋力低下・環境せん妄・睡眠薬・ベッド柵の不備
指導の焦点自己管理能力向上・安全な動作方法環境調整・身体拘束の最小化
具体策めまい確認・杖歩行訓練・履物指導ベッド高の調整・柵の使用・センサーマット

看護過程ポイント:
アセスメント: バイタルサイン測定(特に臥位・坐位・立位の血圧差を評価)、術前のADL、使用中の薬剤(特に降圧薬・睡眠薬・鎮痛薬)、患者の転倒恐怖感(Fear of Falling)の程度を確認。
看護診断 (Nursing Diagnosis): 【転倒リスク状態 (Risk for Falls)】、【活動不耐容 (Activity Intolerance)】、【身体可動性障害 (Impaired Physical Mobility)】
計画・実施: 臥位から坐位への体位変換後、最低1分以上経過してから立ち上がるよう指導。めまいが持続する場合は、すぐに座るかベッドに戻るよう指示。
評価: 患者が「めまいがしたら立ち上がらず、まず確認する」という行動を習慣化できているか観察。転倒発生件数の減少を指標とする。

暗記のコツ: 術後転倒予防は「起立性低血圧 (OH)」の予防から! OHは「O(起きる時は)H(ハイリスク!)」と覚えましょう。立ち上がる前の確認が必須です。

国試頻出ポイント: この問題は、単に「転倒予防策」を問うのではなく、「患者の自己管理能力を高める指導」という視点が重要です。国試では「最も適切な指導」「優先すべき看護介入」を問う形式で頻出。選択肢の中に、現実的でないものや患者の自立を阻害するものが含まれていることが多いので、注意深く判断しましょう。

出題パターン注意!: 「大腿骨頸部骨折術後患者が、ベッドから立ち上がろうとしたところ、ふらついて転倒しそうになった。看護師の適切な対応はどれか。」という状況設定問題に発展することがあります。その場合も、まずは患者を安全な姿勢に戻し、めまいの有無を確認、その後原因をアセスメントする流れが基本です。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario):
80代女性、左大腿骨頸部骨折に対し人工骨頭置換術(Bipolar Hip Arthroplasty)施行後3日目。リハビリ目的で理学療法士(PT)と歩行練習中。内服薬に降圧薬(Ca拮抗薬)と睡眠薬(ベンゾジアゼピン系)を服用中。起床時、看護師がベッドサイドでバイタルサイン測定後、立ち上がり動作を促すと、患者が「なんかフワフワする」と訴えた。

看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):
1. 最重要! 観察: 直ちに患者の状態をアセスメント。めまいの程度、顔面蒼白の有無、冷汗の有無、血圧の再測定(臥位→坐位:収縮期血圧が20mmHg以上低下=起立性低血圧の診断基準)。
2. アセスメント: 起立性低血圧と判断。術後3日目であり、安静による循環血液量減少と降圧薬の効果が重なっている可能性が高い。転倒リスクが極めて高いと判断。
3. 報告と指示: 直ちに担当医へSBAR(Situation-Background-Assessment-Recommendation)で報告。「患者は立ち上がり時にめまいを訴え、血圧が臥位120/70から坐位98/60に低下。起立性低血圧と考えます。本日の歩行練習は延期し、輸液(輸液療法)の指示をいただけますか?」
4. 介入: 患者を安全な座位または臥位に戻し、安静を指示。下肢挙上や弾性ストッキング(Elastic Stockings)の着用を検討。次回の離床時は、よりゆっくりとした動作(段階的離床)を計画。
5. 評価: 30分後、症状が改善しているか確認。血圧が安定したことを確認し、ポータブルトイレでの排泄など、最小限の活動から再開。

患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions):
禁忌! めまいが強い状態で無理に歩行を継続させない。転倒による再骨折や人工関節脱臼(Dislocation)のリスクを常に考慮する。特に人工骨頭置換術後は、股関節の脱臼肢位(股関節90度以上の屈曲・内転・内旋) を避ける指導も並行して行う。

看護プロトコル:
- 観察項目: 臥位・坐位・立位での血圧と脈拍、めまいのVisual Analog Scale (VAS)、歩行時のふらつきの有無。
- 報告基準 (SBAR): 起立性低血圧の兆候(収縮期血圧低下20mmHg以上、拡張期血圧低下10mmHg以上)がみられた場合、または患者が強いめまいを訴えた場合。
- 記録のポイント: 体位変換前後の血圧値、めまいの有無と程度、行った介入(安静指示、医師への報告内容、輸液の有無)、介入後の患者の反応。
- 家族への説明: 「術後は血圧が変動しやすく、立ち上がり時にふらつくことがあります。無理に立たせようとせず、まずは様子を看護師に伝えてください。」と具体的に説明し、協力を仰ぐ。

先輩看護師の一言: 「術後の患者さんにとって、転倒は最大の合併症の一つです。特に大腿骨頸部骨折の高齢者は、一度転ぶと再手術や寝たきりに直結します。大切なのは『患者さんに自己管理能力を身につけてもらう』こと。『めまいがしたら、まず座る』という行動を習慣化できるように、根気強く指導しましょう。国試でも現場でも、この『患者主体の安全指導』が問われているんですよ!」
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