核心解説
この問題は、
脳卒中 (Stroke) による片麻痺患者の
ポジショニング (Positioning) の原則を問うています。リハビリテーション看護において、適切なポジショニングは二次的合併症(関節拘縮、褥瘡、肩関節亜脱臼、疼痛)を予防し、廃用症候群の進行を防ぐために極めて重要です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 麻痺側の肩関節は、筋緊張低下や弛緩性麻痺により
肩関節亜脱臼 (Shoulder Subluxation) を生じやすいため、
肩関節を外転・外旋位 に保ち、関節包や靭帯への過度なストレスを軽減することが推奨されます。また、拘縮予防の観点からも
外転・外旋位 での保持は有効です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!
②番:非麻痺側下肢は伸展位で固定する必要はありません。むしろ、
関節拘縮予防 のためには適度な可動域訓練やポジショニングが重要です。固定は血流障害や拘縮を助長します。
③番:麻痺側上肢を体幹に密着させると、
腋窩の皮膚トラブル(汗疹、びらん) や肩関節の内転拘縮の原因となります。適切なクッションや枕で支持し、体幹から離すのが基本です。
④番:麻痺側膝関節は完全伸展位に保つのではなく、
軽度屈曲位(約5~10度)で保持することで、膝窩の血流を保ち、拘縮を予防します。
⑤番:麻痺側を下にした側臥位は、麻痺側への体重負荷により
疼痛 や
呼吸障害 を誘発する可能性があり、非麻痺側を下にした側臥位が原則です。やむを得ず麻痺側を下にする場合は、肩関節や股関節の十分な保護が必要です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
片麻痺患者のポジショニングは、
ボバース法 (Bobath Approach) などの神経発達学的治療の考え方を基盤とします。ポイントは
正常アライメントの維持 と
異常な筋緊張の抑制 です。特に肩関節は
混同注意! 肩手症候群 (Shoulder-Hand Syndrome) や
肩関節亜脱臼 (Shoulder Subluxation) を予防するため、外転・外旋位での保持が推奨されます。
概念整理: 脳卒中片麻痺のポジショニングの核心は
二次的合併症予防(関節拘縮・亜脱臼・褥瘡・疼痛)と
正常感覚入力の促進。特に
肩関節 と
股関節 の適切な肢位保持が重要。
一目で比較!:
| 関節 | 推奨肢位 | 禁忌肢位 |
|---|
| 肩関節 | 外転・外旋位 (軽度) | 内転・内旋位 |
| 肘関節 | 伸展位 (または軽度屈曲) | 過度屈曲 |
| 股関節・膝関節 | 軽度屈曲位 | 完全伸展位 (特に膝) |
| 足関節 | 背屈位 (90度) | 底屈位 (尖足予防) |
看護過程ポイント:
アセスメント:麻痺のタイプ(弛緩性/痙性)、関節可動域、皮膚状態、痛みの有無。
看護診断:「活動不耐容」「身体可動性障害」「自己完結性障害のリスク状態」。
計画:ポジショニングの2時間ごとの体位変換、適切なクッション・枕の使用。
実施:患者・家族へのポジショニング指導、褥瘡予防ケアと併用。
評価:拘縮や亜脱臼の出現の有無、快適性の維持。
暗記のコツ: 「麻痺側は
伸ばす・離す・支える」→ 肩は外転(伸ばす)・体幹から離す・クッションで支える。膝は完全伸展せず軽度屈曲(伸ばしすぎない)。
国試頻出ポイント: 脳卒中片麻痺患者のポジショニングは毎年必ず1~2問出題されます。特に「麻痺側肩関節の肢位」「ベッド上での良肢位」「車椅子への移乗時の注意」が頻出。誤った肢位を選ばせる引っかけ問題が多いため、各関節の推奨肢位と禁忌肢位を対比して覚えましょう。
出題パターン注意!: 単純な知識問題から、事例問題「左片麻痺の患者さん。ベッド上でどのような体位が適切か」や、他の看護技術(移乗、更衣、食事介助)と組み合わせた統合問題にも発展します。