核心解説
この問題は、
高血圧症 (Hypertension) の患者に対する非薬物療法、特に栄養指導における食塩(ナトリウム)摂取量の目標値を問うています。
高血圧治療ガイドライン (JSH 2019) では、生活習慣の修正として減塩が最優先事項の一つとされています。食塩の過剰摂取は体内のナトリウム量を増加させ、循環血液量を増やし、末梢血管抵抗を上昇させることで血圧を上昇させます。
1.
核心概念の分析 (Key Concept): この問題の核心は「
高血圧症に対する食事療法の具体的な数値目標」です。薬物療法と並んで、生活習慣の改善、特に
減塩 (Salt Restriction) は血圧管理の基本です。ガイドラインでは、高血圧患者の食塩摂取量は1日
6g未満 が推奨されています。
2.
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! 正解は②番の
6g未満 です。これは日本高血圧学会の治療ガイドラインで明確に示されている数値であり、看護師国家試験でも繰り返し出題される頻出ポイントです。この目標は、一般成人の目標値(男性7.5g未満、女性6.5g未満)よりも厳しく設定されています。
3.
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! - ①12g未満: これは日本人の平均的な摂取量に近く、減塩目標としては不十分です。
- ③3g未満: これは極端な減塩であり、低ナトリウム血症(Hyponatremia)のリスクがあるため、一般的な目標として適切ではありません。
- ④15g未満: これは明らかに過剰な摂取量であり、減塩指導とは逆行します。
- ⑤9g未満: これは一般成人男性の目標値に近い数値ですが、高血圧患者の治療目標としては不十分です。
4.
関連概念の整理 (Related Concepts): 高血圧症の生活指導には、減塩以外にも、
適正体重の維持 (BMI 25未満)、
有酸素運動、
節酒、
禁煙、
ストレス管理 があります。減塩指導の具体的な方法として、
味付けの工夫(香辛料・酢の活用)、
汁物の摂取を控える、
食品表示の確認 なども併せて覚えておきましょう。
概念整理: 高血圧症 (Hypertension) の非薬物療法における食塩摂取目標値は、1日
6g未満 です。この数値は、日本人の食事摂取基準(2020年版)における高血圧患者の目標量です。
一目で比較!:
| 対象 | 食塩摂取目標値(1日あたり) |
|---|
| 一般成人(男性) | 7.5g未満 |
| 一般成人(女性) | 6.5g未満 |
| 高血圧患者 | 6g未満 |
| 慢性腎臓病(CKD)患者 | 6g未満(さらに厳格な場合あり) |
看護過程ポイント:
アセスメント:患者の食習慣(外食・加工食品の頻度、味付けの好み)を具体的に聴取します。
看護診断:『非効果的健康管理 (Ineffective Health Maintenance)』または『栄養バランスの変化:過剰 (Imbalanced Nutrition: More Than Body Requirements)』。
計画・実施:患者の生活背景に合わせた個別的な減塩指導(例:調味料の減量、麺類の汁を残す工夫)を行います。
評価:血圧値の推移と、患者の食塩摂取量の変化を確認します。
暗記のコツ: 「高血圧の減塩目標は
6g」と覚えましょう。語呂合わせとして「高血圧は、
6(ろく)に減塩」とイメージすると記憶に残りやすいです。日本人の平均摂取量が約10gであることと対比させて「10gから6gへ、4g減らす」と考えるのも効果的です。
国試頻出ポイント: 本問題のような「数値目標」を直接問う形式の他、事例問題で「高血圧の患者への栄養指導で適切な発言はどれか」という形で出題されます。例えば「味噌汁を1日1杯に減らしましょう」や「漬物は控えめにしましょう」といった具体的なアドバイスの適否を問われます。
出題パターン注意!: 近年は単純な数値暗記だけでなく、「患者が『もう減塩は十分だ』と言っているが、尿中ナトリウム排泄量が高い場合の看護師の対応」といった、より深いアセスメントと指導能力を問う応用問題が増えています。