核心解説
この問題は、
メタボリックシンドローム (Metabolic Syndrome) の診断基準についての理解を問うています。メタボリックシンドロームは、
内臓脂肪蓄積 (Visceral Fat Accumulation) を必須として、血圧高値、脂質異常、血糖高値のうち2つ以上を合併した状態を指します。これは、動脈硬化のリスクを飛躍的に高める病態であり、看護師は予防指導においてこの診断基準を正確に把握しておく必要があります。
1.
核心概念の分析 (Key Concept): メタボリックシンドロームの診断基準の核心は「内臓脂肪型肥満」です。日本では、必須項目として
腹囲 (Waist Circumference) が男性85cm以上、女性90cm以上と定められています。これに加えて、①脂質異常(血清トリグリセリド高値 かつ/または HDLコレステロール低値)、②血圧高値、③空腹時血糖高値の3項目中2項目以上が該当すると診断されます。
2.
正解の根拠 (Answer Rationale): 選択肢2の
血清LDLコレステロール高値 (High LDL Cholesterol) は、メタボリックシンドロームの診断基準に含まれません。LDLコレステロールは脂質異常症の治療目標値を設定する上で重要な指標ですが、メタボリックシンドロームの診断では「トリグリセリド (中性脂肪) 高値」と「HDLコレステロール低値」が用いられます。
3.
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! ①番(血清トリグリセリド高値)は診断基準の脂質異常に含まれます。
混同注意! ③番(血圧高値)は診断基準の1つで、収縮期血圧130mmHg以上 かつ/または 拡張期血圧85mmHg以上と定義されます。
混同注意! ④番(空腹時血糖高値)は診断基準の1つで、110mg/dL以上と定義されます。
混同注意! ⑤番(腹囲)は診断の必須項目です。
4.
関連概念の整理 (Related Concepts): メタボリックシンドロームは、単なる生活習慣病の集合体ではなく、
インスリン抵抗性 (Insulin Resistance) を共通の病態基盤としています。このため、予防看護では減量と運動療法に加え、食事指導(特に糖質と脂質のバランス)が重要になります。また、診断基準にLDLコレステロールが含まれない点を混同しないようにしましょう。
概念整理: メタボリックシンドロームの診断基準は「内臓脂肪(腹囲)が必須 + 3項目中2項目該当」。脂質項目は「トリグリセリド高値 or HDLコレステロール低値」であり、LDLコレステロールは診断基準に含まれない。
一目で比較!:
| 診断項目 | メタボリックシンドローム | 脂質異常症 |
|---|
| 必須項目 | 腹囲(内臓脂肪) | なし |
| 脂質項目 | TG高値 or HDL-C低値 | LDL-C高値、TG高値、HDL-C低値のいずれか |
| 血糖項目 | 空腹時血糖高値 | 含まれない |
看護過程ポイント: アセスメントでは、診断基準項目(腹囲、血圧、TG、HDL、空腹時血糖)を必ずチェック。看護計画では、内臓脂肪減少を目的とした「食事療法(カロリー制限・栄養バランス)」と「運動療法(有酸素運動)」を立案し、継続的な自己管理を支援する。
暗記のコツ: 「メタボのチェックは『お腹(腹囲)』と『血圧』と『血糖』と『脂質(TGとHDL)』!LDLは脂質異常症の方で覚える!」と唱えて覚えましょう。
国試頻出ポイント: メタボリックシンドロームの診断基準は、看護師国家試験で繰り返し出題される必須知識です。特に「LDLコレステロールは含まれない」という点が頻出の落とし穴です。また、診断基準の数値(腹囲、血圧、血糖)も併せて覚えておきましょう。
出題パターン注意!: 単純な知識問題として出題される他、事例問題で「この患者さんはメタボリックシンドロームの診断基準を満たすか?」という看護アセスメント能力を問う形でも出題されます。