核心解説
この問題は、
慢性創傷(Chronic Wound)、特に下肢潰瘍(Leg Ulcer)の管理において、
感染徴候(Signs of Infection)を正しく識別できるかを問うています。創傷治癒の過程では、局所的な感染が治癒遷延や全身状態悪化の原因となるため、早期発見が看護の重要課題です。
最重要! 感染の4徴候(発赤・熱感・腫脹・疼痛)に加え、膿性滲出液や悪臭、創部の壊死組織増加なども注意すべき所見です。一方、治癒が順調な創は、赤色の肉芽組織(Granulation Tissue)が充実し、滲出液は透明~淡黄色で少量、創縁は淡いピンク色で上皮化が進んでいる状態です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! ③番「創周囲に発赤と熱感がある」は、局所炎症の古典的な兆候であり、細菌感染による
炎症反応(Inflammatory Response)を示しています。発赤は血管拡張、熱感は血流増加と代謝亢進によるもので、感染の第一サインとして見逃せません。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
- ①番「創痛が軽減している」は、感染が進行すると疼痛が増強するため、軽減はむしろ治癒傾向を示す所見です。
混同注意! 創痛の悪化は感染のサインですが、軽減は良好な経過を示します。
- ②番「肉芽組織が赤色である」は、健康な肉芽組織の色調であり、創傷治癒が順調であることを示します。感染があると肉芽は暗赤色~灰白色になり、脆弱で容易に出血します。
- ④番「滲出液が透明で少量である」は、創傷治癒が正常に進行している状態です。感染があると滲出液は膿性で黄色~緑色、増量し悪臭を伴います。
- ⑤番「創縁が淡いピンク色である」は、上皮化(Epithelialization)が進んでいる良好な徴候です。感染創では創縁が浮腫状で暗赤色、あるいは壊死に陥ります。
関連概念の整理 (Related Concepts)
慢性創傷の管理では、感染徴候(局所・全身)と治癒徴候の対比が重要です。また、バイオフィルム(Biofilm)形成や
創面のアセスメント(Wound Bed Assessment)(TIMEの原則:Tissue, Infection/Inflammation, Moisture, Edge)も併せて理解しましょう。創傷培養や血液検査(CRP、WBC)も感染の客観的評価に有用です。
概念整理: 創傷治癒の評価は「創の状態=全身状態の鏡」。感染徴候(発赤・熱感・腫脹・疼痛・膿性滲出液・悪臭)と治癒徴候(赤色肉芽・淡ピンク色創縁・透明滲出液・疼痛軽減)をセットで覚えましょう。
一目で比較!:
| 項目 | 感染徴候(異常) | 治癒徴候(正常) |
|---|
| 創周囲 | 発赤・熱感・腫脹 | 正常色・温 |
| 肉芽組織 | 暗赤色・脆弱・易出血 | 鮮紅色・充実 |
| 滲出液 | 膿性・増量・悪臭 | 透明~淡黄色・少量 |
| 創縁 | 浮腫状・暗赤色 | 淡いピンク色・上皮化 |
| 疼痛 | 増強傾向 | 軽減傾向 |
看護過程ポイント:
アセスメントでは創の観察に加え、全身状態(体温、CRP、WBC)と疼痛評価を毎回実施。
看護診断は「感染リスク状態」または「皮膚統合性障害」。
計画・実施では適切な創洗浄・デブリードマン・ドレッシング材選択(滲出液コントロール・抗菌作用)と無菌操作の徹底。
評価は感染徴候の改善・増悪を経時的に記録。
暗記のコツ: 感染の4徴候は「赤・熱・腫・痛(Redness, Heat, Swelling, Pain)」の頭文字R.H.S.P.で覚えましょう。これに「膿(Pus)」を加えて「R.H.S.P.P.」も有効です。
国試頻出ポイント: 創傷管理の感染徴候は毎年1~2問出題される頻出テーマ。単独の知識問題だけでなく、事例問題で「創部の観察所見」として提示されるため、正常と異常の区別を確実にしておきましょう。
出題パターン注意!: 「糖尿病性足潰瘍の患者さん。創周囲に発赤と熱感が出現。看護師の対応として適切なのはどれか」という形で、医師への報告・創培養・ドレッシング交換のタイミングなどへ発展します。