核心解説
この問題は、
発熱 (Fever) における
体温上昇パターン (Fever Pattern) のうち、
解熱期 (Defervescence / Febrile Phase of Lysis) に特徴的な身体所見を問うています。発熱の経過は、
体温上昇期 (Rising Phase / Chill Phase) →
極期 (Plateau Phase / Fastigium) →
解熱期 (Defervescence Phase) に分けられ、各期で自律神経反応と身体所見が異なることを理解することが鍵です。解熱期は、体温調節中枢の設定温度が正常値に戻り、体熱の産生より放熱が優位になる時期です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 正解は
④ 発汗 (Diaphoresis / Sweating) です。
解熱期になると、体温調節中枢の設定温度が低下するため、身体は余剰な熱を放散しようとします。その結果、
末梢血管拡張 (Peripheral Vasodilation) による顔面紅潮や皮膚の温感、そして
発汗 (Diaphoresis) による気化熱放散が促進されます。これは身体が体温を下げようとする生理的な反応であり、解熱期の最も特徴的な所見の一つです。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 各選択肢は発熱の異なるフェーズに対応しています。
- ① 悪寒戦慄 (Chills / Shivering): 体温上昇期の所見です。体温調節中枢の設定温度が上昇した際、骨格筋の収縮(ふるえ)によって熱産生を増加させる反応です。解熱期では見られません。
- ② 顔面紅潮 (Facial Flushing): 極期から解熱期への移行時に見られますが、発汗ほど解熱期に特異的ではありません。極期には血管拡張による紅潮が持続しますが、より特徴的なのは発汗です。
- ③ 皮膚の乾燥 (Dry Skin): 体温上昇期の初期や極期に見られます。発汗が抑制され、末梢血管が収縮している状態です。解熱期では発汗により皮膚は湿潤します。
- ⑤ 頻脈 (Tachycardia): 体温上昇期や極期に顕著です。体温が1℃上昇すると心拍数は約10~15回/分増加するとされ、代謝亢進の現れです。解熱期には体温低下に伴い徐々に改善します。
関連概念の整理 (Related Concepts)
発熱経過の各フェーズで看護介入が異なります。体温上昇期には保温と悪寒への対応、極期には脱水予防と安静確保、解熱期には発汗による脱水と体温低下への対応が必要です。特に
混同注意! 悪寒戦慄 (Chills) と
発汗 (Diaphoresis) は真逆のフェーズで出現するため、セットで覚えましょう。
概念整理: 発熱の3相と自律神経反応
| フェーズ | 体温調節中枢の設定温度 | 主な生理反応 | 特徴的身体所見 |
| 体温上昇期 | 上昇 | 熱産生>放熱 (血管収縮・筋収縮) | 悪寒戦慄・皮膚蒼白・鳥肌・四肢冷感 |
| 極期 (稽留期) | 高いまま安定 | 熱産生=放熱 (血管拡張) | 顔面紅潮・皮膚温上昇・口渇・頭痛・頻脈・頻呼吸 |
| 解熱期 | 正常化 | 放熱>熱産生 (血管拡張・発汗) | 発汗・皮膚湿潤・全身倦怠感・体温低下 |
一目で比較!: 悪寒戦慄(体温上昇期) vs 発汗(解熱期)は正反対の現象です。発熱患者を見たら、まず「今どのフェーズか?」をアセスメントしましょう。
看護過程ポイント:
- アセスメント: 発熱の経過時間、バイタルサイン(体温・脈拍・呼吸・血圧)、皮膚の状態(色調・湿潤度)、悪寒の有無、発汗量を観察。
- 看護診断: 「体温調節障害 (Ineffective Thermoregulation)」や「体液量不足リスク (Risk for Deficient Fluid Volume)」が関連。
- 計画・介入: 解熱期には、発汗による水分喪失を補うための輸液や経口摂取の促進、衣類やリネンの交換による安楽の確保、急激な体温低下による低体温やシバリングの予防。
- 評価: 体温が正常範囲に戻ったか、バイタルサインが安定したか、脱水の徴候(口渇、尿量減少、皮膚ツルゴル低下)がないかを確認。
暗記のコツ: 発熱の3相を「戦慄(震えて)→ 紅潮(赤くなって)→ 発汗(汗をかく)」と語呂合わせで覚えましょう。解熱期は「熱が解ける(汗)」とイメージすると、発汗がキーワードと結びつきます。
国試頻出ポイント: 発熱のフェーズと看護介入の組み合わせは頻出です。特に「解熱期の観察項目」として、発汗、脱水徴候、バイタルサインの変動をセットで問われる問題が多く出題されます。
出題パターン注意!: 単純な「解熱期の所見は?」という知識問題から、事例問題「発熱患者が夜間に大量の発汗とともに体温が37.2℃に低下。看護師の優先的な対応は?」へ発展します。この場合は、発汗による脱水予防(水分補給やリネン交換)が優先されます。