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問題

脱水のアセスメントにおいて、細胞外液減少の指標として最も重要な身体所見はどれか?

解説
皮膚ツルゴール (皮膚の弾力性) の低下は、細胞外液減少による脱水を評価する重要な身体所見である。前腕内側や腹部の皮膚をつまんで離した後、元に戻るまでの時間が延長する。下肢浮腫は細胞外液過剰を示唆する所見である。
同じテーマの次の問題患者の症状をアセスメントする際に、主観的データと客観的データを区別して収集する必要がある。次のうち、客観的データに該当するものはどれか?

詳細解説

核心解説 この問題は、脱水 (Dehydration) のアセスメント、特に 細胞外液減少 (Extracellular Fluid Volume Deficit) の指標として最も優先すべき身体所見を問うています。脱水には、水分とナトリウムの喪失比率によって、高張性脱水・等張性脱水・低張性脱水の3つのタイプがありますが、細胞外液量の減少は共通してみられる病態です。細胞外液が減少すると、組織間質の水分量が減少するため、皮膚の弾力性 (ツルゴール) が低下します。これは、最重要! 脱水のアセスメントにおける基本的かつ感度の高い所見であり、特に高齢者では顕著に現れます。

正解の根拠 (Answer Rationale)
皮膚ツルゴール (Skin Turgor) の低下 は、細胞外液減少 を直接反映する身体所見です。正常では、皮膚をつまんで離すとすぐに元の状態に戻りますが、脱水状態では、間質液が減少しているため、皮膚の弾力性が失われ、元に戻るまでの時間が延長します。これは、前腕内側や鎖骨下部、腹部で評価するのが一般的です。高齢者や低栄養状態の患者では、もともと皮膚弾力性が低下しているため、評価には注意が必要です。

誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!
呼吸数の増加 (Tachypnea):呼吸数増加は、脱水による代謝性アシドーシス(例:糖尿病性ケトアシドーシス)の代償性反応として見られることがありますが、細胞外液減少の直接的な指標ではなく、特異性が低いため、最も重要な所見とは言えません。
腹部膨満 (Abdominal Distension):腹部膨満は、腸閉塞や腹水貯留など、消化管や腹腔内の病態を示唆する所見であり、脱水の直接的な指標にはなりません。
下肢の浮腫 (Leg Edema):下肢浮腫は、細胞外液過剰 (Extracellular Fluid Volume Excess) を示唆する所見です。心不全や腎不全、低アルブミン血症などで認められ、脱水とは逆の病態です。混同注意! 脱水で浮腫は生じません。
体温上昇 (Pyrexia / Fever):発熱は脱水の原因となることがありますが(例:発汗による水分喪失)、体温上昇そのものが細胞外液減少の指標となるわけではありません。感染症が併存している可能性を示す所見です。

関連概念の整理 (Related Concepts)
脱水のアセスメントでは、以下の所見を総合的に評価します。
指標細胞外液減少を示唆細胞外液過剰を示唆
皮膚ツルゴール低下正常または浮腫状
粘膜(口腔内)乾燥湿潤
頸静脈虚脱怒張
尿量減少(乏尿)増加または正常
体重減少増加
血圧低下(起立性低血圧)上昇傾向


概念整理: 脱水 (Dehydration) は、水分摂取量が水分喪失量を下回る状態。細胞外液減少の評価には、皮膚ツルゴール低下、粘膜乾燥、起立性低血圧、尿量減少などが重要な指標となる。特に皮膚ツルゴール低下は、最も簡便で直接的な指標の一つである。

一目で比較!: 脱水と浮腫は、対極的な病態。脱水=細胞外液減少、浮腫=細胞外液過剰。看護アセスメントでは、この二つを混同しないようにすることが極めて重要。

看護過程ポイント: アセスメント:皮膚ツルゴール、口腔粘膜の湿潤度、バイタルサイン(特に起立性血圧変化)、尿量、体重測定。高齢者では皮膚弾力性が低下しているため、鎖骨下部での評価も推奨。看護診断:「体液量不足 (Deficient Fluid Volume)」または「体液量減少リスク (Risk for Deficient Fluid Volume)」。計画:経口補水が可能であれば経口補水液 (ORS) の摂取奨励、不可能であれば点滴静脈内注射 (IV infusion) の実施。実施:指示に基づく輸液療法 (Fluid Therapy) の管理、摂取量と排出量 (I/O balance) の正確な記録。評価:皮膚ツルゴールの改善、尿量の増加、血圧の安定。

暗記のコツ: 「脱水=皮膚ベタベタしない(ツルゴール低下)」「浮腫=皮膚パンパン(ツルゴール亢進・正常)」とイメージすると覚えやすい。また、脱水のアセスメントは「ツルゴール、粘膜、血圧、尿量」の4点セットで覚える!

国試頻出ポイント: 脱水のアセスメントは、基礎看護学および成人看護学(特に高齢者看護)で頻出。検査値(血清Na値、血清浸透圧、BUN/Cre比)と身体所見を組み合わせた問題がよく出題される。特に「高齢者の脱水」は転倒・転落リスク、せん妄リスクと関連付けて出題されるため、必ず押さえておくこと。

出題パターン注意!: 単純な知識問題から、「90代女性、下痢と嘔吐が続いている。バイタルサインは血圧低下、脈拍増加。皮膚ツルゴール低下あり。優先度の高い看護介入は?」のような状況設定問題に発展する。この場合、正解は「経口補水または輸液の準備」となる。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario)
80代女性、施設入所中。3日前から感冒症状があり、食事摂取量が減少。昨夜から38.5℃の発熱と軟便が3回あり、今朝は傾眠傾向。バイタルサイン:血圧 88/56 mmHg、脈拍 112回/分、呼吸数 22回/分、体温 38.2℃。口腔粘膜は乾燥し、前腕内側の皮膚をつまむと元に戻るまでに時間がかかる(ツルゴール低下)。

看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 観察: 最重要! まず、バイタルサイン(特に血圧と脈拍)を再確認し、起立性低血圧 (Orthostatic Hypotension) の有無を評価(可能であれば)。意識レベル(JCSまたはGCS)、尿量(過去8時間の排出量)、体重変化を確認。同時に、皮膚ツルゴール、口腔粘膜の乾燥度をアセスメント。
2. アセスメント: 発熱と食事摂取減少による中等度~高度の細胞外液減少性脱水 (Extracellular Dehydration) と判断。高齢者のため、生理的予備能が低く、急激な脱水症状(ショック、せん妄)に陥るリスクが高い。
3. 報告: 医師または看護師長へSBARで報告。
Situation (状況): 「A様、本日朝より傾眠傾向。発熱と下痢あり。」
Background (背景): 「3日前から感冒症状。経口摂取不良。」
Assessment (アセスメント): 「血圧低下、頻脈、皮膚ツルゴール低下あり。中等度の脱水とアセスメント。」
Recommendation (提案): 「経口補水が困難なため、点滴静脈内注射の指示を仰ぎたい。」
4. 介入: 医師の指示に基づき、輸液療法 (Fluid Therapy) を開始(例:乳酸リンゲル液 or 生理食塩液の点滴静注)。患者の状態を監視しながら、指示された流量で投与。経口摂取が可能であれば、少量の経口補水液 (ORS) をスプーンで試みる。
5. 評価: 輸液開始後30分~1時間ごとにバイタルサイン、意識レベル、尿量を再評価。皮膚ツルゴールの改善、口腔粘膜の湿潤度、血圧の安定化を確認。

患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
- 高齢者への急速輸液は心不全(肺水腫)を誘発するリスクがあるため、流量は医師の指示を厳守し、必ず流量コントローラー(輸液ポンプ)を使用する。
- 傾眠傾向のため、誤嚥のリスクあり。経口補水を行う場合は、覚醒していることを確認し、座位を保ち、少量ずつ行う。
- 転倒・転落リスクが高い。ベッド柵を上げ、コールボタンを手の届く位置に置く。
- 尿量測定を確実に行い、I/Oバランスを正確に記録する(24時間尿量 < 400mL は乏尿、< 100mL は無尿=緊急報告)。

看護プロトコル: 観察項目(皮膚ツルゴール、口腔粘膜、バイタルサイン、尿量、意識レベル、体重変化)、報告基準(血圧低下、脈拍増加、意識レベルの低下、尿量減少)、記録のポイント(I/Oバランス、輸液量と内容、観察所見の経時的変化)、家族への説明の留意点(脱水の症状、予防のための水分摂取の重要性、経口補水液の作り方)を整理する。

先輩看護師の一言: 「脱水の早期発見は、看護師の観察力が鍵です!『なんとなく元気がない』『いつもより口数が少ない』といった小さな変化を見逃さないでください。そして、皮膚ツルゴールの評価は、必ず左右対称の部位で行い、評価者間でばらつきがないように練習しておきましょう。現場では、皮膚の状態だけでなく、口の中を見る(粘膜の乾燥)こと、血圧の変化(特に立ち上がった時のめまい)を確認することが本当に大切です。患者さんの命を守る第一歩ですよ!」

重要概念

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