核心解説
この問題は、
頸静脈怒張 (Jugular Venous Distention: JVD) の評価方法、特に具体的な測定基準を問うています。頸静脈怒張は、中心静脈圧 (Central Venous Pressure: CVP) の上昇を視診で評価する重要な身体診察所見です。
1.
核心概念の分析 (Key Concept): 頸静脈怒張の評価は、右心系の圧負荷や容量負荷の程度を非侵襲的に推定するために行われます。患者を
45度に半座位 にする理由は、頸部の静脈を胸骨角 (Angle of Louis) よりも高い位置に観察しやすくするためです。胸骨角は右心房の高さとほぼ同じであるため、基準点として用いられます。
2.
正解の根拠 (Answer Rationale): 正解は
② 5cm です。頸静脈怒張の判定基準として、外頸静脈の拍動頂点が胸骨角から垂直に
5cm以上 上方にある場合と定義されます。これは、正常な中心静脈圧の上限を超えていることを示します。
3.
誤答の分析 (Distractor Analysis): ① 3cm、③ 2cm、④ 1cm、⑤ 4cm はすべて誤りです。
混同注意! これらの数値は、頸静脈怒張の判定基準として誤った値です。1cmや2cmといった値は、正常範囲内の静脈拍動でも認められる可能性があり、病的な怒張と判断する基準としては不十分です。
4.
関連概念の整理 (Related Concepts):
最重要! この評価で上昇が疑われる中心静脈圧 (CVP) の上昇は、
右心不全 (Right-Sided Heart Failure)、
心タンポナーデ (Cardiac Tamponade)、
肺塞栓症 (Pulmonary Embolism)、
収縮性心膜炎 (Constrictive Pericarditis) などの病態で認められます。また、
Kussmaul兆候 (Kussmaul's Sign)(吸気時に頸静脈怒張が増強する)との関連も併せて覚えると良いでしょう。
概念整理:
頸静脈怒張 (JVD) は、中心静脈圧 (CVP) の上昇を反映する視診所見。評価のポイントは
患者の体位 (45度半座位)、
基準点 (胸骨角)、
測定値 (胸骨角から5cm以上) の3点です。
一目で比較!:
| 所見 | 測定方法 | 異常の目安 | 関連疾患 |
|---|
| 頸静脈怒張 (JVD) | 45度半座位、胸骨角を基準に外頸静脈の拍動頂点を測定 | 胸骨角から垂直に5cm以上 | 右心不全、心タンポナーデ、肺塞栓症 |
| Kussmaul兆候 | 吸気時の頸静脈拍動の観察 | 吸気時に怒張が増強する | 収縮性心膜炎、右室梗塞 |
看護過程ポイント:
アセスメント: 頸静脈怒張を認めたら、まず
バイタルサイン (血圧、脈拍、呼吸数、SpO2)、
下腿浮腫の有無、
肺雑音 (ラ音) の有無 を確認し、右心不全や心タンポナーデの可能性をアセスメントします。
看護介入: 医師へ報告し、
心エコー検査、
胸部X線検査 の準備をします。
評価: 治療(利尿薬投与、心嚢穿刺など)後の頸静脈怒張の程度を再評価し、治療効果を判断します。
暗記のコツ: 「頸静脈怒張は5cm」と覚えましょう。語呂合わせは「
頸(けい)が
5(ご)で怒る!」など。
国試頻出ポイント: 頸静脈怒張は、特に
右心不全 や
心タンポナーデ の症状として頻出です。また、
Kussmaul兆候 と合わせて出題されることも多いため、この2つはセットで覚えましょう。
出題パターン注意!: 単純な数値を問うだけでなく、「心タンポナーデの患者にみられる所見はどれか」といった症状を問う問題や、事例問題で「胸部X線で心陰影の拡大と肺うっ血、頸静脈怒張を認めた。まず考える疾患は何か」という形で出題されます。