核心解説
この問題は、
浮腫 (Edema) の評価方法、特に圧痕の戻る時間に基づく重症度分類を問うています。浮腫は、組織間隙に過剰な体液が貯留した状態であり、その程度を客観的に評価することは、心不全 (Heart Failure) や腎不全 (Renal Failure)、低栄養状態などの病態把握、および治療効果の判定に不可欠です。圧痕浮腫 (Pitting Edema) は、指で圧迫した後に皮膚にへこみ(圧痕)が残る浮腫で、その戻る時間と圧痕の深さによって重症度が分類されます。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 正解は②番の
中等度浮腫 (++)です。浮腫の評価では、圧迫後の圧痕が戻る時間が分類の重要な指標となります。通常、以下のように分類されます。
| 分類 | 圧痕の深さ | 戻る時間 |
| 軽度 (+) | 2mm程度(浅い) | すぐに戻る(速やか) |
| 中等度 (++) | 4mm程度 | 5~10秒程度で戻る |
| 高度 (+++) | 6mm程度(深い) | 10~20秒程度で戻る |
| 極度 (++++) | 8mm程度(非常に深い) | 20秒以上で戻る |
問題文では「圧痕が5秒程度で戻る」とあります。この時間は、
中等度浮腫 (++)の基準に該当します。この評価は、特に
心不全 (Heart Failure) 患者の体液量評価や、利尿薬の効果判定に頻用されます。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①番
混同注意! 極度浮腫 (++++) は、圧痕が非常に深く(8mm程度)、戻るまでに20秒以上かかる最も重度な浮腫です。5秒程度で戻る状態は該当しません。全身性の重度浮腫(アナサルカ (Anasarca))で認められます。
②番
正解です。前述の通り、5~10秒程度で戻る状態を指します。
③番
軽度浮腫 (+) は、圧痕が浅く(2mm程度)、すぐに戻ります。5秒程度の戻り時間は軽度よりも長く、中等度の特徴です。
④番
高度浮腫 (+++) は、圧痕が深く(6mm程度)、戻るまでに10~20秒程度かかります。5秒では短すぎます。
⑤番
非圧痕性浮腫 は、圧迫しても圧痕が残らない浮腫のことです。これは
リンパ浮腫 (Lymphedema) や
粘液水腫 (Myxedema) などで見られ、評価方法が異なります。問題文は圧痕浮腫の評価を前提としているため、不適切です。
概念整理:
浮腫の評価 (Edema Assessment) は、原因疾患の特定と治療効果の指標として重要です。圧痕浮腫の分類(+ ~ ++++)は戻る時間と圧痕の深さで決定され、
心不全、
ネフローゼ症候群 (Nephrotic Syndrome)、
肝硬変 (Liver Cirrhosis) などで頻繁に観察します。一方、圧痕がつかない浮腫は
リンパ浮腫 や
粘液水腫 を疑います。
一目で比較!:
圧痕浮腫(Pitting Edema)と
非圧痕性浮腫(Non-pitting Edema)の鑑別は必須です。前者は心臓や腎臓、肝臓、栄養障害が原因となることが多く、後者はリンパ系の閉塞や甲状腺機能低下症(Hypothyroidism)が代表的です。
看護過程ポイント:
アセスメント: 浮腫の部位(下腿、仙骨部、眼瞼など)、程度(+~++++)、圧痕の戻る時間、皮膚の状態(緊張、光沢、発赤、亀裂)を観察します。同時に
体重 と
尿量 の測定が必須です。
看護診断: 「体液量過剰 (Excess Fluid Volume)」が優先されます。原因疾患に応じて「心拍出量減少 (Decreased Cardiac Output)」や「ガス交換障害 (Impaired Gas Exchange)」なども関連します。
計画・実施:
安静の維持(下肢挙上を含む)、
水分・ナトリウム制限の遵守状況確認、
皮膚の清潔と保湿(スキンテア予防)、体重と尿量の正確な測定、医師の指示に基づく利尿薬の投与管理と副作用(電解質異常など)の観察を行います。
評価: 体重の減少、浮腫の軽減、尿量の増加、バイタルサインの安定化を評価します。
暗記のコツ: 浮腫の分類は「
戻る時間」を基準に覚えましょう。「+」はすぐ戻る(軽度)、「++」は5~10秒(中等度)、「+++」は10~20秒(高度)、「++++」は20秒以上(極度)と、時間が長くなるほど重症です。指で押した跡が「すぐ消えるか」「しばらく残るか」をイメージしてください。
国試頻出ポイント: 浮腫の評価は、
心不全や
腎疾患の看護で必ず問われる知識です。数値と程度(+~+++)の組み合わせを正確に覚えておく必要があります。また、非圧痕性浮腫との鑑別や、浮腫をきたす代表的疾患の特徴も併せて学習しておきましょう。