褐色細胞腫の発作時にみられる症状の組み合わせとして最も適切なのはどれか。 | MyMerci
内部環境調節機能の障害
問題

褐色細胞腫の発作時にみられる症状の組み合わせとして最も適切なのはどれか。

解説
褐色細胞腫は副腎髄質に発生するカテコールアミン産生腫瘍であり、発作的にカテコールアミンが放出されると、頭痛、動悸、発汗、高血圧、頻脈などの症状が出現する。選択肢1、2、4、5はカテコールアミン過剰とは逆の症状である。

詳細解説

核心解説 この問題は、褐色細胞腫 (Pheochromocytoma) の発作時に出現する症状を問うています。褐色細胞腫は副腎髄質に発生するカテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン)産生腫瘍です。腫瘍から大量のカテコールアミンが血中に放出される発作(パロキシズム)が起こると、交感神経系が強く興奮し、特有の症状が現れます。 1. 核心概念の分析 (Key Concept)
褐色細胞腫は、カテコールアミン過剰分泌により、全身の α受容体β受容体 が刺激される病態です。これにより、血管収縮、心拍数増加、心収縮力増強、代謝亢進などが引き起こされます。発作は突然起こり、数分から数時間持続します。 2. 正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は②番「頭痛と動悸」です。
最重要! カテコールアミン過剰による典型的な発作症状は、頭痛 (Headache)動悸 (Palpitations)発汗 (Diaphoresis/Sweating) の3徴候です。これに加えて、高血圧 (Hypertension)頻脈 (Tachycardia)、不安感、胸痛、顔面蒼白などが出現します。頭痛は急激な血圧上昇によるもの、動悸は心拍数増加と心収縮力増強による自覚症状です。 3. 誤答の分析 (Distractor Analysis)
①「傾眠と呼吸抑制」:混同注意! カテコールアミン過剰は中枢神経系を興奮させるため、傾眠や意識障害はむしろ非典型的です。呼吸抑制も起こりません。逆に、過呼吸や頻呼吸が見られることがあります。
③「徐脈と低血圧」:混同注意! カテコールアミンは心拍数を増加させ(頻脈)、血圧を上昇させます(高血圧)。徐脈や低血圧は発作時には逆の症状です。ただし、腫瘍から放出されるカテコールアミンの種類によっては、ノルアドレナリン優位で反射性徐脈が起こることは稀にありますが、典型的ではありません。
④「発汗減少と体温低下」:カテコールアミンは発汗を促進し、代謝を亢進させ体温を上昇させます。発汗減少や体温低下は非典型的です。
⑤「便秘と腹満感」:カテコールアミンは消化管の運動を抑制するため、腸蠕動が低下し便秘をきたす可能性はあります。しかし、発作時に最も特徴的な症状ではなく、持続するカテコールアミン過剰状態での随伴症状です。発作時の3徴候(頭痛・動悸・発汗)には含まれません。 4. 関連概念の整理 (Related Concepts)
褐色細胞腫の診断には、血中・尿中 カテコールアミン とその代謝産物である メタネフリン (Metanephrine) の測定が重要です。治療の第一選択は腫瘍の外科的切除ですが、術前には α遮断薬(例:ドキサゾシン)で血圧をコントロールしてから、β遮断薬(例:プロプラノロール)を追加します。α遮断薬未投与下でのβ遮断薬単独投与は、α受容体刺激による血管収縮が無抑制となり、高血圧クリーゼを誘発するため禁忌です。
概念整理: 褐色細胞腫発作 = カテコールアミン(アドレナリン/ノルアドレナリン)の大量放出 → α受容体刺激(血管収縮・高血圧) + β1受容体刺激(頻脈・心収縮力増強・動悸) + β2受容体刺激(代謝亢進・発汗) → 頭痛・動悸・発汗(3徴候)・高血圧・頻脈。
一目で比較!:
項目褐色細胞腫発作時本態性高血圧
血圧変動発作性・急激な上昇持続的で緩徐な上昇
症状頭痛・動悸・発汗・不安無症状が多い(サイレントキラー)
心拍数頻脈正常~軽度頻脈

看護過程ポイント: アセスメント: 発作時の症状(頭痛・動悸・発汗・血圧・脈拍・意識レベル)と誘因(ストレス、体位変換、触診、薬剤など)を詳細に記録。看護診断: 「非効果的対処 (Ineffective Coping)」関連因子:生命を脅かす症状への恐怖。「組織灌流不全 (Ineffective Tissue Perfusion)」関連因子:急激な血圧上昇。計画・実施: 安静の確保、発作時はバイタルサイン測定(特に血圧)、医師への迅速な報告、安全な環境整備(転倒予防)、患者への説明と不安の軽減。
暗記のコツ: 「褐色細胞腫の発作 = 頭(頭痛)・動(動悸)・汗(発汗)の3つを覚える」と覚えましょう。さらに「高血圧・頻脈」をセットでイメージすると、他の選択肢が明らかに逆の症状だとわかります。
国試頻出ポイント: 褐色細胞腫の症状(特に発作時の3徴候)、診断検査(カテコールアミン・メタネフリン)、術前薬物療法(α遮断薬→β遮断薬の順序、β遮断薬単独禁忌)は頻出です。状況設定問題では、「術前管理中に血圧が急上昇した」場合の看護対応も出題されます。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド - 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 40代女性。健診で高血圧を指摘され、精査の結果、褐色細胞腫 (Pheochromocytoma) と診断されました。手術待機中に、看護師が訪室すると患者は「急に頭がガンガンして、心臓がバクバクする」と訴えました。顔色は蒼白で、額に冷や汗をかいています。バイタルサインを測定すると、血圧 220/120 mmHg、脈拍 120/分 でした。 - 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):
1. 観察 (Assessment): バイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸数、SpO2)を測定し、意識レベル(JCS/GCS)と症状(頭痛、動悸、胸痛、視覚異常)の程度を確認します。
2. アセスメント (Assessment): 最重要! カテコールアミン発作による高血圧クリーゼの可能性が高いと判断。脳出血や心筋梗塞、不整脈などの合併症リスクを考慮します。
3. 報告 (Report to Physician): SBAR で報告します。「S(状況): 褐色細胞腫患者が発作症状を訴えています。B(背景): 術前待機中。A(アセスメント): カテコールアミン発作による高血圧クリーゼと考えられます。R(推奨): 直ちに医師の診察と、α遮断薬の投与または増量が必要と考えます。」
4. 介入 (Intervention): 患者を安静にし、バイタルサインを頻回に測定。医師の指示に従い、α遮断薬(例:ドキサゾシン)を投与。必要時には β遮断薬(例:プロプラノロール)も併用しますが、α遮断薬が先行していることを必ず確認します。酸素投与(SpO2低下時)や静脈路確保も行います。
5. 評価 (Evaluation): 血圧と脈拍が徐々に低下し、頭痛・動悸などの症状が改善したか確認します。 - 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions):
発作中は患者の不安が強いため、落ち着いた態度で声かけを行い、安心感を与えます。ベッドサイドに吸引器や救急カートを準備しておきます。発作誘因となる腫瘍への過度な触診や圧迫は避ける必要があります。患者には、発作の前兆症状を説明し、異変を感じたらすぐにナースコールを呼ぶよう指導します。
看護プロトコル: 観察項目: 血圧(発作前後の変動)、脈拍、心電図モニター(不整脈の有無)、意識レベル、頭痛・動悸・発汗・胸痛・視覚異常の有無。**報告基準(SBAR)**: 上記参照。**記録**: 発作の開始時間、症状、バイタルサイン、誘因(推定)、実施したケアとその反応を時系列で詳細に記録。
先輩看護師の一言: 「褐色細胞腫の患者さんは、いつ発作が起きるかわからない恐怖と闘っています。発作時は血圧がものすごく上がるので、『急変対応』のつもりで迅速に動きましょう。特に、α遮断薬を先に使うという治療の順番は絶対に間違えてはいけません。β遮断薬だけ先に投与すると、α受容体刺激が無制御になって血圧がさらに上昇し、致命的になりかねません。国試でもよく出るので、この順番をしっかり覚えておいてくださいね!」

重要概念

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