副甲状腺機能亢進症の患者にみられる症状として正しいのはどれか? | MyMerci
内部環境調節機能の障害
問題

副甲状腺機能亢進症の患者にみられる症状として正しいのはどれか?

解説
副甲状腺機能亢進症ではPTH過剰分泌により、高カルシウム血症と低リン血症をきたす。高カルシウム血症により尿路結石、消化性潰瘍、膵炎、骨粗鬆症などが生じる。テタニーや低カルシウム血症は副甲状腺機能低下症でみられる。

詳細解説

核心解説 この問題は、副甲状腺機能亢進症 (Hyperparathyroidism)の病態生理とそれに伴う症状を理解しているかを問うています。副甲状腺ホルモン(PTH)の過剰分泌が、体内のカルシウムとリンのバランスにどのような影響を及ぼすかを正しく把握することが鍵となります。

正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 副甲状腺機能亢進症では、PTHが過剰に分泌されることで、骨からのカルシウム放出促進、腎臓でのカルシウム再吸収促進、活性型ビタミンDの産生促進が起こります。その結果、高カルシウム血症 (Hypercalcemia) が生じます。尿路結石 (Urolithiasis / Kidney Stone)は、この高カルシウム血症により尿中カルシウム濃度が上昇し、シュウ酸カルシウムなどの結晶が析出して形成される、代表的な症状です。

誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 筋力低下は高カルシウム血症でも見られますが、この問題の選択肢としては「尿路結石」の方がより特異的で頻出の症状です。また、副甲状腺機能亢進症よりも他の電解質異常(低カリウム血症など)で顕著に現れる症状です。
③ これは完全に誤りです。副甲状腺機能亢進症ではPTH過剰によりカルシウムが上昇するため、高カルシウム血症が生じます。低カルシウム血症は、副甲状腺機能低下症 (Hypoparathyroidism) で見られる症状です。
混同注意! テタニー (Tetany) は、低カルシウム血症により神経筋の興奮性が亢進して起こる症状(手指の痙攣、Chvostek徴候、Trousseau徴候など)です。副甲状腺機能亢進症では見られません。これは副甲状腺機能低下症の典型的症状です。
⑤ これも誤りです。PTHは腎臓でのリン再吸収を抑制するため、低リン血症 (Hypophosphatemia) が生じます。高リン血症は、副甲状腺機能低下症や腎不全で見られます。

関連概念の整理 (Related Concepts)
副甲状腺機能亢進症の症状は、「骨、石、胃腸、精神」のキーワードで覚えましょう。
キーワード症状病態生理
骨 (Bones)骨粗鬆症、病的骨折、骨痛PTHによる骨吸収の亢進
石 (Stones)尿路結石、腎石灰化高カルシウム尿症による結晶析出
胃腸 (Groans)消化性潰瘍、膵炎、便秘、悪心・嘔吐高カルシウム血症による消化管運動低下と胃酸分泌亢進
精神 (Psychiatric)うつ状態、易疲労感、認知機能低下高カルシウム血症の神経系への影響

概念整理: PTHは「カルシウムを上げ、リンを下げる」ホルモン。副甲状腺機能亢進症では、PTH過剰 → 高カルシウム血症 + 低リン血症。
一目で比較!: 最重要! 副甲状腺機能亢進症と機能低下症を必ず比較。
項目機能亢進症機能低下症
PTH分泌過剰低下
血中Ca上昇低下
血中P低下上昇
主症状尿路結石、骨病変、消化性潰瘍テタニー、しびれ、Chvostek徴候
治療外科的切除、水分補給、シナカルセトカルシウム製剤、活性型ビタミンD補充

看護過程ポイント: 副甲状腺機能亢進症の患者では、アセスメントとしてバイタルサイン(特に不整脈に注意)、血清カルシウム値、尿量、骨痛の有無を観察。**看護診断**として「高カルシウム血症に関連した体液不足リスク状態」「活動耐性低下」などが挙げられる。介入では、十分な水分摂取の促進(尿中カルシウム排泄促進)、転倒予防、食事指導(カルシウム制限は原則不要、リン摂取制限も基本的に不要)が重要。
暗記のコツ: PTHの役割は「PTH = 骨を溶かす(To break bones)」と覚えると、骨病変や高カルシウム血症に結びつきやすいです。
国試頻出ポイント: 副甲状腺ホルモン(PTH)とカルシトニン(CT)の作用の比較は頻出。PTHはカルシウム↑リン↓、CTはカルシウム↓リン↓(PTHとCTでリンだけはどちらも低下する点に注意!)。症状では尿路結石が最もよく出題されます。
出題パターン注意!: 「副甲状腺機能亢進症の患者の術後看護」や「高カルシウム血症による心電図変化(QT短縮)」との組み合わせで出題されることも多いので、合わせて学習しておきましょう。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 50代女性、健康診断で高カルシウム血症を指摘され、精査の結果、原発性副甲状腺機能亢進症と診断されました。現在、血清カルシウム値は11.5mg/dL(基準値8.5-10.0mg/dL)です。

臨床シナリオ (Clinical Scenario)
あなたは外来でこの患者を受け持ちました。患者さんは「最近、腰が痛くて、疲れやすい。のどがよく渇くんです」と話しています。

看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 観察とアセスメント: 高カルシウム血症による脱水症状(口渇、皮膚ツルゴール低下、尿量減少)、骨痛の部位と程度、不整脈の有無(心電図モニター)、意識レベルを確認。
2. 報告と介入: 最重要! 血清カルシウム値が12mg/dLを超えると 高カルシウム血症クリーゼ (Hypercalcemic Crisis) のリスクが高まります。医師へ報告し、生理食塩液による輸液療法(細胞外液補充と尿中カルシウム排泄促進)の準備をします。必要に応じて、カルシウム低下薬(ビスホスホネート製剤など)の投与を行います。
3. 患者指導: 症状が進行する可能性について説明し、十分な水分摂取(1日2~3Lを目標)と、症状悪化時の受診指示を徹底します。骨粗鬆症予防のため、転倒・転落防止指導も重要です。

看護プロトコル: 観察項目は「バイタルサイン(HR, BP, RR)、血清Ca値、尿量(I/Oバランス)、骨痛・筋力低下の有無、心電図変化(QT短縮)」を重点的に。SBAR報告では「S: 患者、口渇と疲労感を訴える。B: 原発性副甲状腺機能亢進症、Ca 11.5mg/dL。A: 高カルシウム血症による脱水と不整脈リスクあり。R: 生理食塩液の輸液開始と心電図モニター装着を提案します。」が標準的です。
先輩看護師の一言: 「高カルシウム血症は患者さんの感覚として『なんとなく調子が悪い』に留まりがちですが、急にクリーゼを起こすと危険です!『のどが渇く』『疲れやすい』という訴えを軽く見ずに、必ず血液データと尿量を確認する習慣をつけましょう。手術後は逆に低カルシウム血症によるテタニーに注意ですよ。術前術後で真逆のケアが必要になるのがこの疾患の面白いところですね!」

重要概念

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