こんな問題があと488問挑戦 ›
排泄機能の障害
尿管結石による疝痛発作時の疼痛コントロールとして、第一選択となる薬剤はどれか。
-
1
モルヒネ塩酸塩の注射
-
2
ジアゼパムの注射
-
3
アセトアミノフェンの坐剤
-
4
非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) の注射
✓ 正解
-
5
抗コリン薬の内服
解説
尿管結石による疝痛は非常に強い疼痛であり、プロスタグランジンの産生が関与するため、NSAIDsの注射が第一選択となる。NSAIDsは鎮痛効果が高く、結石の自然排出を促進する作用も期待できる。モルヒネは第二選択とされることがあるが、吐き気などの副作用に注意が必要である。
同じテーマの次の問題前立腺肥大症で最も特徴的な症状はどれか。この問題が収録された問題集疾病の成り立ちと回復の促進KRW 100
核心解説
この問題は、尿管結石 (Ureteral Calculi) による疝痛発作 (Renal Colic) に対する第一選択薬を問うています。疝痛発作は、尿管平滑筋の痙攣による激しい間欠的な痛みで、病態生理を理解することが鍵です。
核心概念の分析 (Key Concept):
尿管結石が尿管粘膜を刺激すると、局所で プロスタグランジン (Prostaglandins, PG) の産生が亢進します。PGは平滑筋の収縮を促進し、さらに炎症と浮腫を引き起こすことで、疼痛を増強させます。このメカニズムに直接働きかける薬剤が第一選択となります。
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! 正解は ④ 非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) の注射 です。NSAIDsは シクロオキシゲナーゼ (COX) を阻害し、プロスタグランジンの産生を抑制します。これにより、①疼痛の根本原因である炎症と平滑筋の収縮を抑え、②尿管壁の浮腫を軽減して結石の自然排出を促進する効果も期待できます。注射投与(特にジクロフェナクナトリウムの筋注や坐剤、ケトプロフェンの静注)は、経口薬よりも速やかに高い血中濃度が得られるため、急性の疝痛発作に適しています。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
① 混同注意! モルヒネ (Morphine) は強オピオイド鎮痛薬ですが、腎疝痛の第一選択ではありません。モルヒネは吐き気・嘔吐(オピオイド誘発性悪心)や、尿管平滑筋のトーヌスを上昇させ痙攣を悪化させる可能性があるため、第二選択以降とされています。
② ジアゼパム (Diazepam) はベンゾジアゼピン系の筋弛緩薬兼抗不安薬ですが、プロスタグランジン産生には直接作用せず、疝痛そのものに対する鎮痛効果は限定的です。
③ アセトアミノフェン (Acetaminophen) は解熱鎮痛薬ですが、抗炎症作用(プロスタグランジン産生抑制)がNSAIDsより弱いため、疝痛のような炎症性の強い痛みには効果が不十分です。坐剤も吸収が緩徐で急性発作には不向きです。
⑤ 抗コリン薬(例:ブチルスコポラミン)は平滑筋弛緩作用がありますが、プロスタグランジン産生には影響せず、単独での鎮痛効果は弱いため、第一選択にはなりません。
関連概念の整理 (Related Concepts):
尿路結石症の治療は、疼痛コントロールの他に、結石の部位・サイズに応じた治療(体外衝撃波砕石術 (ESWL)、経尿道的尿管砕石術 (TUL))や、再発予防のための食事指導・水分摂取指導が重要です。疝痛時には NSAIDs注射 が第一選択ですが、効果不十分な場合に モルヒネ が考慮されることを押さえておきましょう。
概念整理: 尿管疝痛の病態生理:尿管結石 → 粘膜刺激 → プロスタグランジン (PG) 産生亢進 → 平滑筋痙攣・炎症・浮腫 → 激痛。治療の鍵はPG産生を抑えること。
一目で比較!: | 薬剤 | 作用機序 | 腎疝痛への適応 |
|---|
| NSAIDs(注射) | COX阻害 → PG産生抑制 | 第一選択:鎮痛・抗炎症・結石排出促進 |
| モルヒネ(注射) | オピオイド受容体作動 | 第二選択:悪心・嘔吐・尿管痙攣悪化のリスク |
| 抗コリン薬 | 平滑筋弛緩 | 補助的:PGには作用せず単独効果は弱い |
看護過程ポイント: アセスメント:疼痛の部位(側腹部~下腹部~鼠径部へ放散)、性質(間欠的疝痛)、随伴症状(悪心・嘔吐、血尿)を評価。看護診断:急性疼痛 (Acute Pain) 関連因子:尿管閉塞・平滑筋痙攣。計画・実施:NSAIDs注射の投与(筋注・静注後の鎮痛効果の評価)、安静の確保、温罨法(疼痛緩和)、水分摂取促進(指示があれば)。副作用観察(消化管出血、腎機能低下)。評価:疼痛スケール(NRS)で鎮痛効果を定期的に評価。
暗記のコツ: 「尿管結石の痛みは『P』(プロスタグランジン)が原因。だから『P』を抑える『NSAIDs』が第一選択!」と覚えましょう。モルヒネは「M=麻薬=吐き気・痙攣」とセットで注意と記憶すると良いです。
国試頻出ポイント: 急性疼痛の薬物療法の第一選択を問う問題は頻出です。特に「疝痛」のキーワードが出たら「NSAIDs」を即座に想起できるようにしましょう。状況設定問題では、NSAIDs投与後も疼痛が持続する場合の対応(医師への報告、モルヒネ準備)を問われることがあります。
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario):夜勤帯、40代男性が「右の腰が激しく痛い、吐き気もする」と救急外来を受診。痛みは10段階中9(NRS)と強い。尿検査で潜血陽性。医師から「尿管結石による疝痛発作」と診断され、「ジクロフェナクナトリウム50mgの筋肉注射」が指示されました。
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):1. 観察:バイタルサイン(疼痛時の血圧上昇、頻脈の有無)と疼痛の性質・部位を確認。2. アセスメント:尿路結石による疝痛発作であり、NSAIDs注射が第一選択であると判断。副作用のリスク(消化管潰瘍の既往、腎機能低下)を確認。3. 介入:ジクロフェナクナトリウムを筋肉注射。患者に「これから痛みを抑えるお薬を注射します。15~30分程度で効き始めます。」と説明し、安楽な体位(側臥位など)を促す。温罨法(湯たんぽなど)の準備。4. 評価:30分後に再度NRSで評価。「痛みが7から3に減りました」と報告があれば、鎮痛効果は良好。もし効果不十分(NRS 6以上)なら、医師に報告し、モルヒネへの変更や画像検査の追加を検討。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions):最重要! NSAIDsの副作用に注意:- 消化管出血:既往歴の確認必須。特に高齢者、ステロイド併用者は注意。- 腎機能障害:脱水や元々の腎機能低下がある患者では、急性腎障害を誘発するリスクがあるため、投与前に腎機能(Cr, eGFR)を確認。- アレルギー反応:アスピリン喘息の患者には禁忌。また、疼痛が強い場合の ショック (Shock) の兆候(冷汗、血圧低下、意識レベルの変化)にも注意し、急変時は直ちに医師へ報告。
看護プロトコル: 観察項目:疼痛スケール(NRS)、バイタルサイン、悪心・嘔吐の有無、尿量・尿色。報告基準(SBAR):S「尿管結石の患者で、NSAIDs注射後30分、痛みが強いです」B「ジクロフェナク50mg筋注後」A「NRS 9→7」R「鎮痛効果不十分のため、追加の鎮痛薬や画像検査の指示を仰ぎたい」。記録:投与時間、投与量、投与後の疼痛スケール、副作用の有無。
先輩看護師の一言: 「疝痛発作の患者さんは痛みが強くて、『早くなんとかして!』と切羽詰まっています。そんな時こそ、まずは落ち着いて『すぐにお薬で痛みを取りますからね』と声をかけ、患者さんの不安を和らげることが第一です。国試では『第一選択薬』を覚えるだけでなく、『なぜこの薬を選ぶのか、その根拠(病態生理)』と『投与後の観察項目』までセットで勉強しておくと、現場で活きる知識になりますよ!」
- 尿管結石 (Ureteral Calculi) — 尿路の上部(腎臓~尿管)にできる結晶性の固まり。尿管で詰まると、急激な側腹部痛(疝痛)を引き起こす。
- プロスタグランジン (Prostaglandins, PG) — 組織障害時に産生される生理活性物質。炎症、発痛、平滑筋収縮を促進する。尿管結石では疼痛の主因となる。
- 非ステロイド性抗炎症薬 — シクロオキシゲナーゼ (COX) を阻害し、プロスタグランジン産生を抑制する薬剤。鎮痛・抗炎症・解熱作用を持つ。腎疝痛の第一選択薬。
- 疝痛 — 管腔臓器(尿管、胆管、腸管など)の平滑筋が異常に収縮することで生じる、間欠的な激痛。尿管結石によるものを腎疝痛という。
- シクロオキシゲナーゼ — アラキドン酸からプロスタグランジンを合成する際の律速酵素。NSAIDsはこの酵素を阻害する。
MyMerciで看護師国家試験を完全対策
過去問と詳しい解説を無料で。弱点を分析し、進捗を管理してより効率的に学習しましょう。
無料で始める
学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。