核心解説
この問題は、
皮膚筋炎 (Dermatomyositis) の2大特徴である特徴的な皮疹と筋症状の組み合わせを正しく理解しているかを問うています。
皮膚筋炎は、皮膚と骨格筋の両方に炎症をきたす自己免疫疾患 (Autoimmune Disease) であり、診断には皮膚所見と筋力低下のパターンが極めて重要です。
正解は④
ゴットロン徴候と近位筋の筋力低下 です。ゴットロン徴候 (Gottron's Sign) は、手指の関節伸側(特にMP関節、PIP関節)にみられる紫紅色の紅斑・丘疹で、皮膚筋炎にかなり特異的な皮疹です。筋症状としては、
最重要! 四肢の
近位筋 (Proximal Muscles)(肩甲帯、上腕、骨盤帯、大腿部)の筋力低下が主体です。患者は「腕を上げにくい」「髪をとかせない」「階段を上れない」「椅子から立ち上がれない」といった症状を訴えます。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①
混同注意! 環状紅斑 (Annular Erythema) は、主に
全身性エリテマトーデス (SLE) や
リウマチ熱 (Rheumatic Fever) でみられる皮疹です。顔面筋の筋力低下は、眼瞼下垂や顔面神経麻痺などを想起しますが、皮膚筋炎の典型的な分布ではありません。
② 蝶形紅斑 (Malar Rash / Butterfly Rash) は、
混同注意! 全身性エリテマトーデス (SLE) の特徴的皮疹です。近位筋の筋力低下は皮膚筋炎で正しいですが、皮疹の組み合わせが誤りです。
③ ヘリオトロープ疹 (Heliotrope Rash) は皮膚筋炎に特徴的ですが、筋症状の説明が「遠位筋の筋力低下」となっており誤りです。
混同注意! 皮膚筋炎はあくまで近位筋優位です。遠位筋の筋力低下は、末梢神経障害(ギラン・バレー症候群など)や筋萎縮性側索硬化症 (ALS) などを疑います。
⑤ レイノー現象 (Raynaud's Phenomenon) は、皮膚筋炎を含む膠原病全般(強皮症に最も多い)で合併しうる症状ですが、皮膚筋炎の診断に必須の「特徴的皮疹」ではありません。球麻痺症状(嚥下障害、構音障害)は、皮膚筋炎でも咽頭筋・食道筋の障害で起こりえますが、遠位筋や球麻痺を主体とした症状パターンは、むしろ筋萎縮性側索硬化症 (ALS) を強く疑わせます。
関連概念の整理 (Related Concepts)
皮膚筋炎と
多発性筋炎 (Polymyositis) は、どちらも炎症性筋疾患ですが、皮膚筋炎のみに特徴的な皮疹(ヘリオトロープ疹、ゴットロン徴候)がみられます。皮膚症状を伴わないものを多発性筋炎と鑑別します。また、悪性腫瘍(特に卵巣癌、肺癌、胃癌など)の合併リスクが高いため、診断時には全身検索(腫瘍マーカー、画像検査)が必須であることも国試頻出ポイントです。
概念整理: 皮膚筋炎の診断3徴候:①ゴットロン徴候(手指伸側)、②ヘリオトロープ疹(眼瞼浮腫性紅斑)、③近位筋優位の筋力低下(CK, アルドラーゼ上昇)。
一目で比較!:
| 疾患 | 特徴的皮疹 | 筋症状 |
|---|
| 皮膚筋炎 | ゴットロン徴候 / ヘリオトロープ疹 | 近位筋優位 |
| 全身性エリテマトーデス(SLE) | 蝶形紅斑 / 環状紅斑 | 関節痛・筋痛(非破壊性) |
| 強皮症 | 皮膚硬化 / レイノー現象 | 筋力低下は軽度 |
看護過程ポイント:
アセスメント:皮疹の部位・形状、徒手筋力テスト (MMT) での近位筋力評価、嚥下障害の有無。
看護診断:身体可動性障害 (Impaired Physical Mobility)、自己ケア不足 (Self-Care Deficit)、皮膚統合性障害のリスク (Risk for Impaired Skin Integrity)。
介入:関節拘縮予防のROM訓練、ADL介助、皮疹部のスキンケア(日光過敏あり)、嚥下評価と食事形態調整。
暗記のコツ: 「皮(膚)はゴットロン、ヘリオトロープ。筋(肉)は近位(肩とお尻)」とリズムで覚える。「ゴットロンは手指のゴツゴツした関節(伸側)」と連想。
国試頻出ポイント: 皮疹の部位(ゴットロン徴候 vs 蝶形紅斑)と筋力低下の部位(近位 vs 遠位)の組み合わせ問題が頻出。悪性腫瘍合併とステロイド療法(パルス療法含む)の知識もセットで問われやすい。
出題パターン注意!: 「皮膚筋炎と診断された患者の看護」という事例問題で、「最も優先すべき観察項目は?」(悪性腫瘍合併のスクリーニング、嚥下障害、呼吸筋障害)や、「ステロイド長期使用時の副作用で正しいのは?」(骨粗鬆症、糖尿病、感染症)という発展問題も準備しておきましょう。