核心解説
この問題は、
関節リウマチ (Rheumatoid Arthritis: RA) の関節症状の特徴を理解しているかを問うています。RAは全身性の自己免疫疾患であり、関節滑膜の慢性炎症を特徴とします。この疾患の核心は
対称性の多関節炎 であり、特に手指・手関節に好発します。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 関節リウマチの関節症状として最も特徴的なのは、
手指近位指節間関節 (PIP関節) および
中手指節関節 (MCP関節) に生じる
対称性の多関節炎 です。朝のこわばり(morning stiffness)を伴い、進行すると関節破壊や変形(スワンネック変形、ボタン穴変形など)をきたします。この
対称性 という点が、変形性関節症など他の関節疾患との重要な鑑別ポイントとなります。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
① 片側性の股関節痛:
混同注意! 変形性股関節症(Osteoarthritis of the Hip)や大腿骨頭壊死などでみられる非対称性の症状です。RAでは通常、対称性に発症します。
② 膝関節の単関節炎:単一関節の炎症は、
感染性関節炎 (Septic Arthritis) や結晶誘発性関節炎(痛風など)を疑います。RAは多関節炎です。
③ 脊椎の強直:
混同注意! 強直性脊椎炎 (Ankylosing Spondylitis) の特徴的症状です。RAでは脊椎症状は稀で、あっても頸椎病変が中心です。
⑤ 遠位指節間関節の結節形成:
混同注意! ヘバーデン結節 (Heberden's Nodes) は変形性関節症(Osteoarthritis)に特徴的であり、RAの病変はPIP関節やMCP関節です。DIP関節はRAでは通常侵されません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
| 疾患 | 好発関節 | 特徴 |
|---|
| 関節リウマチ (RA) | PIP関節 MCP関節 手関節 足関節 | 対称性多関節炎 朝のこわばり 関節リウマチ因子(RF) 抗CCP抗体陽性 |
| 変形性関節症 (OA) | DIP関節(ヘバーデン結節) 膝関節 股関節 脊椎 | 非対称性 荷重関節主体 炎症は軽度 CRP陰性 加齢性変化 |
| 強直性脊椎炎 (AS) | 脊椎 仙腸関節 | 脊椎強直 靭帯骨化 HLA-B27陽性 男性に多い |
概念整理: 関節リウマチ (RA) の核心は
対称性多関節炎 と
滑膜炎 による関節破壊です。朝のこわばり(30分以上持続)が診断の手がかりとなります。関節外症状として
リウマトイド結節、
間質性肺炎、
血管炎 なども押さえましょう。
一目で比較!:
RA vs OA:RAは炎症性・対称性・全身性疾患であり、OAは変性性・非対称性・局所性疾患です。RAではCRP・赤沈が高値を示し、OAでは正常範囲内であることが多いです。
看護過程ポイント:
アセスメント:関節の腫脹・圧痛・可動域制限・朝のこわばりの持続時間を評価。
看護診断:
慢性疼痛 (Chronic Pain)、
身体可動性障害 (Impaired Physical Mobility)、
セルフケア不足 (Self-Care Deficit)。
介入:安静と運動のバランス、温熱療法・寒冷療法の使い分け、関節保護の指導(大きい関節で物を持つ、手指に負担のかからない自助具の使用)。
暗記のコツ: 「RAは
Really
Asymmetric? → No!
対称性!」と覚えましょう。「PIPとMCP、朝のこわばり忘れずに」が合言葉です。
国試頻出ポイント: RAの診断基準(ACR/EULAR 2010分類基準)、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs:メトトレキサート(MTX)など)と生物学的製剤(抗TNF-α抗体など)の看護(感染症モニタリング)、関節変形の種類(スワンネック変形 vs ボタン穴変形)の識別が頻出です。
出題パターン注意!: 「朝のこわばりが改善しない70歳女性、手指PIP関節とMCP関節に対称性の腫脹あり。この患者に最も考えられる疾患は?」という事例問題や、「RA患者への生活指導として適切なのはどれか」という実践的な選択問題に注意。