70歳の男性が、右半身の脱力と失語を主訴に発症3時間で来院した。頭部CTで早期虚血変化を認めず、発症時刻が明確である。こ… | MyMerci
MyMerci — 問題も詳しい解説もすべて無料 無料で始める
神経機能の障害
問題

70歳の男性が、右半身の脱力と失語を主訴に発症3時間で来院した。頭部CTで早期虚血変化を認めず、発症時刻が明確である。この患者に対する治療として最も適切なのはどれか。

解説
発症4.5時間以内の急性期脳梗塞で、頭部CTで出血や広範な早期虚血変化がなく、禁忌事項がなければ、rt-PA(アルテプラーゼ)静脈内投与が第一選択となる。経皮的脳血栓回収術はrt-PA無効例や前方循環の主幹動脈閉塞例で考慮する。アスピリンは発症24時間以内は開始しない。
同じテーマの次の問題65歳の男性が、突然の激しい頭痛と嘔吐を主訴に救急外来を受診した。意識レベルはJCS II-20で、項部硬直を認める。この患者に最も疑われる疾患はどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、急性期脳梗塞 (Acute Ischemic Stroke) に対する治療戦略を問うています。特に、「発症3時間」「頭部CTで出血なし・早期虚血変化なし」という条件が、血栓溶解療法 (Thrombolytic Therapy) の適応を判断する鍵となります。脳梗塞の治療は「Time is Brain(時間は脳)」の原則に基づき、いかに早く閉塞血管を再開通させるかが、神経症状の予後を大きく左右します。 1. 正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! 発症4.5時間以内の急性期脳梗塞で、頭部CTにて出血性病変なし、かつ 広範な早期虚血変化なし の場合、禁忌事項がなければ recombinant tissue-type plasminogen activator (rt-PA) の静脈内投与が第一選択です。本症例は発症3時間で来院し、CT上も適応条件を満たしているため、最も推奨される治療です。rt-PAは血栓を溶解し、血流を再開させることで神経症状の改善を目指します。 2. 誤答の分析 (Distractor Analysis):
②番: 混同注意! 抗血小板薬(アスピリン) は脳梗塞の二次予防には有効ですが、急性期(特に発症24時間以内)には投与しません。これは、rt-PA投与後にアスピリンを併用すると出血性合併症のリスクが著しく上昇するためです。また、アスピリン単独では閉塞した血栓を溶解する効果はありません。
③番: グリセオール は浸透圧利尿薬で、脳浮腫の軽減を目的とします。急性期脳梗塞では広範な梗塞に伴う脳浮腫に対して使用されることがありますが、今回の症例のように発症早期で血栓溶解が第一選択となる状況では、優先度は低くなります。
④番: 経皮的脳血栓回収術 (Mechanical Thrombectomy) は、rt-PA無効例や禁忌例、あるいは前方循環の主幹動脈(内頚動脈や中大脳動脈M1部など)閉塞例で、発症6〜24時間以内に適応が検討されます。本症例では、まずは侵襲の少ない静注rt-PAが優先され、効果不十分な場合に次の選択肢となります。
⑤番: ヘパリン の持続静脈内投与は、心原性脳塞栓症の再発予防や静脈洞血栓症など一部の病態で考慮されることがありますが、急性期脳梗塞全例に対する標準治療ではありません。また、rt-PA投与後24時間以内のヘパリン使用も出血リスクの観点から避けるべきです。 3. 関連概念の整理 (Related Concepts):
急性期脳梗塞治療の基本戦略は「再開通療法」であり、その中心がrt-PA静注療法です。適応条件を正確に覚えましょう。また、rt-PAの禁忌(頭蓋内出血の既往、3ヶ月以内の脳卒中・頭部外傷・大手術、収縮期血圧185mmHg以上など)も併せて必須です。rt-PA投与後は、出血性合併症(特に頭蓋内出血) の観察が看護の最重要項目となります。
概念整理: 急性期脳梗塞 の治療は「再開通療法」が基本。静注rt-PA(発症4.5時間以内)と経皮的脳血栓回収術(発症6〜24時間以内、主幹動脈閉塞例)の2本柱。両者の適応基準を明確に区別すること。
一目で比較!:
治療法適応時間主な適応看護上の注意点
rt-PA静注療法発症4.5時間以内出血・広範梗塞なし、禁忌なし出血合併症の観察、血圧管理(

臨床シナリオ

臨床実践ガイド - 臨床シナリオ (Clinical Scenario): あなたは救急外来で勤務する看護師です。70歳男性が、妻の付き添いで来院しました。「食事中に突然、箸が持てなくなり、言葉が出なくなった」とのことで、発症から約2時間半が経過しています。医師が診察し、NIHSS 12点(中等症)、頭部CTで出血なし、早期虚血変化も軽度と判断しました。既往歴は高血圧のみで、内服はアムロジピンを服用中。今からrt-PAの投与が検討されています。 - 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):
1. 観察: 医師が適応判断をする間、あなたは 血圧(収縮期血圧が185mmHg以上でないか)出血の兆候(歯肉出血、皮下出血斑の有無)、意識レベル(JCS/GCS)を確認します。また、患者の左半身に麻痺がないか、感覚障害がないかをざっくり評価します。
2. アセスメント: 血圧は150/90mmHgで、収縮期血圧185mmHg未満です。明らかな出血もなく、rt-PA投与の禁忌には当たりません。医師に「バイタルサイン安定、出血兆候なし、血圧も許容範囲です」と報告します。
3. 介入: rt-PA(アルテプラーゼ)0.6mg/kg(日本での承認用量)の静脈内投与が開始されました。あなたは、投与開始後15分毎にバイタルサインと神経症状をチェックし、出血の有無(特に頭痛、嘔気、意識変容) を厳重に観察します。また、患者と家族に「点滴を開始します。治療中は急な頭痛や吐き気がないか、よく観察しますね」と説明し、安心させます。
4. 評価: 投与開始後30分、患者の右半身の麻痺がわずかに改善し、簡単な指示に従えるようになりました。血圧も安定しています。出血の兆候は見られません。この経過を医師と電子カルテに記録します。 - 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions):
最重要! rt-PA投与中の最大のリスクは 頭蓋内出血 です。投与中・投与後24時間は、血圧を厳密に管理(収縮期血圧180mmHg以下、拡張期血圧105mmHg以下が目標)、経皮的処置(採血や注射)は最小限に、転倒・転落予防 としてベッド柵を上げ、ナースコールを手元に置く。口腔内の観察も必須です。また、アスピリンなどの抗血小板薬やヘパリンなどの抗凝固薬は、投与後24時間は開始してはいけません。
看護プロトコル: SBAR報告 の例:
- Situation: 「Dr.〇〇、脳梗塞でrt-PA投与中の70代男性の患者さんですが、投与開始後30分で頭痛が出現しました。」 - Background: 「発症2.5時間の右片麻痺と失語。rt-PA投与開始後30分経過。血圧は155/92mmHgで安定しています。」 - Assessment: 「頭痛の出現は頭蓋内出血の可能性も否定できません。意識レベルの変動はありませんが、注意深く観察する必要があります。」 - Recommendation: 「至急、バイタルサインと神経症状の評価をお願いします。緊急CTの準備はしておきますか?」
先輩看護師の一言: 「脳梗塞の急性期治療は一分一秒を争います。『Time is Brain』という言葉の通り、発症時刻を正確に聞き出し、素早く医師に伝えることが第一歩です。そして、rt-PA投与後の看護は『出血』に対する警戒が全て。患者さんの『いつもと違う頭痛』や『吐き気』は、たとえ軽くても必ず報告する癖をつけましょう。あなたの観察が患者さんの命を守ります!」

重要概念

  • 血栓溶解療法 (Thrombolytic Therapy) — 血栓を溶解し、閉塞血管の再開通を図る治療法。rt-PA(アルテプラーゼ)が代表的で、発症4.5時間以内の急性期脳梗塞に適応となる。
  • rt-PA (recombinant tissue-type Plasminogen Activator) — 遺伝子組換え組織プラスミノーゲンアクチベーター。血栓中のフィブリンに選択的に結合し、プラスミノーゲンをプラスミンに変換して血栓を溶解する。
  • 経皮的脳血栓回収術 (Mechanical Thrombectomy) — カテーテルを用いて物理的に血栓を回収する治療法。主幹動脈閉塞例で、rt-PA無効・禁忌の場合や発症6〜24時間以内に適応を検討する。
  • Time is Brain — 「時間は脳」という意味で、脳梗塞治療において虚血時間の短縮が神経予後を大きく左右するという重要な概念。
  • NIHSS (National Institutes of Health Stroke Scale) — 脳梗塞の神経症状の重症度を評価するための標準化されたスケール。意識レベル、視野、運動機能、失語など11項目で構成される。
疾病の成り立ちと回復の促進 488 問 · ログイン不要

MyMerciで看護師国家試験を完全対策

過去問と詳しい解説を無料で。弱点を分析し、進捗を管理してより効率的に学習しましょう。

無料で始める

学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。