核心解説
この問題は、
早期胃癌 (Early Gastric Cancer) の肉眼分類(Macroscopic Classification)に関する知識を問うています。特に、内視鏡所見と生検結果から病変の形態を正しく読み取る力が求められます。問題文に「IIc型病変」と明記されており、これは「表面陥凹型」を指すため、選択肢②が正解となります。早期胃癌の肉眼分類は、腫瘍の形態を隆起か陥凹かで大別し、さらに細かく分類するため、各型の特徴を病態と関連付けて覚えることが重要です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 早期胃癌の肉眼分類(日本胃癌学会分類)において、
0型(表在型) は大きく5つに分類されます。問題文にある「IIc型」は、
表面陥凹型 (Superficial Depressed Type) に該当します。これは、病変部が周囲の正常粘膜よりも軽度に陥凹(へこみ)している状態を指します。生検で低分化型腺癌と診断されており、IIc型は陥凹を主体とする病変であるため、正解は②です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①
混同注意! 表面隆起型(0-IIa型)は、病変が周囲粘膜から軽度に隆起している状態です。問題文はIIc型(陥凹型)と明記されているため誤りです。
③ 潰瘍型(0-III型)は、明らかな潰瘍(UL)を伴う病変で、IIc型よりも深い陥凹を伴います。IIc型とIII型はしばしば合併(IIc+III型など)しますが、単独の「IIc型」は潰瘍型ではありません。
④ 隆起型(0-I型)は、病変が周囲粘膜から明らかに隆起し、有茎性や亜有茎性の形態をとるものです。IIc型とは全く異なります。
⑤ 表面平坦型(0-IIb型)は、病変が周囲粘膜とほとんど変わらない高さで、隆起も陥凹も認めない平坦な形態です。IIc型は陥凹があるため誤りです。
関連概念の整理 (Related Concepts)
早期胃癌の肉眼分類は、内視鏡治療(EMR/ESD)の適応や術式選択に直結するため、臨床的にも重要です。
混同注意! 特に
IIa型(表面隆起型) と
IIc型(表面陥凹型) は、内視鏡所見で混同しやすいため、隆起(盛り上がり)か陥凹(くぼみ)かの視点で区別しましょう。また、進行癌の分類(Borrmann分類)とは別物であることも押さえておきましょう。
概念整理:
早期胃癌肉眼分類(0型)
| 分類 | 名称 | 形態の特徴 |
| 0-I型 | 隆起型 (Protruded Type) | 明らかな隆起(有茎性・亜有茎性) |
| 0-IIa型 | 表面隆起型 (Superficial Elevated Type) | 軽度の隆起(平らな盛り上がり) |
| 0-IIb型 | 表面平坦型 (Superficial Flat Type) | 隆起・陥凹なし(平坦) |
| 0-IIc型 | 表面陥凹型 (Superficial Depressed Type) | 軽度の陥凹(浅いくぼみ) |
| 0-III型 | 潰瘍型 (Excavated Type) | 明らかな潰瘍(深いくぼみ) |
一目で比較!:
早期胃癌 vs 進行癌(Borrmann分類)
| 項目 | 早期胃癌 | 進行癌 |
| 深達度 | 粘膜(M)・粘膜下層(SM)まで | 固有筋層(MP)以深 |
| 肉眼分類 | 0型(I, IIa, IIb, IIc, III型) | Borrmann 1~4型 |
| 主な治療 | 内視鏡治療(EMR/ESD)・手術 | 手術・化学療法 |
看護過程ポイント:
アセスメント: 内視鏡検査後の患者の状態(穿孔・出血の有無)と、病理結果(分化度、深達度)を正確に把握します。また、患者の年齢や全身状態、治療に対する理解度・不安の程度も評価します。
看護診断: 「知識不足(疾患・治療に関する)」「不安」「転倒リスク状態(検査後の鎮静剤使用による)」などが挙げられます。
計画・実施: 検査後の安静の確保と観察(腹痛、嘔気、血便の有無)、医師の説明に基づいた疾患・治療法(内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)、胃切除術など)の情報提供、患者の不安軽減のための傾聴と精神的支援を行います。
評価: 患者が自身の病態と治療法を理解し、治療への意欲が持てているか、合併症なく経過しているかを評価します。
暗記のコツ:
語呂合わせ: 「イチ(I)隆起、ニ(II)は表在(a:隆起、b:平坦、c:陥凹)、サン(III)潰瘍」と覚えましょう。II型はa,b,cと3つに細分されるため、「II a,b,c で覚える」がポイントです。また、「c = concave(凹面)」と英単語から連想すると陥凹型と覚えやすいです。
国試頻出ポイント: 早期胃癌の肉眼分類は、内視鏡画像と共に「この内視鏡像は何型か」や「この病変に適した内視鏡治療はどれか」という形で出題されることが多いです。特にIIc型とIIa型の区別は頻出です。問題文に「IIc型」と書いてあれば、迷わず「表面陥凹型」を選べるようにしましょう。
出題パターン注意!: 単純な分類の暗記だけでなく、「このIIc型病変に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)後の患者への看護で適切なのはどれか」といった、治療と看護介入を結びつけた状況設定問題に発展することがあります。