核心解説
この問題は、
予防接種法 (Immunization Act) に基づく定期接種の対象疾病を正しく理解しているかを問うています。日本の予防接種制度は、
疾病の重篤性や感染力、社会的影響を考慮して、国が費用を負担し推奨する「定期接種」と、個人の希望で受ける「任意接種」に分かれています。定期接種はさらに、感染拡大防止を目的とした
A類疾病(積極的勧奨あり)と、個人の重症化予防を目的とした
B類疾病(高齢者など対象者限定)に分類されます。この分類を正確に覚えることが正解への鍵です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 選択肢②「麻しんと風しん」は、いずれも
A類疾病に該当し、
1歳児と小学校入学前1年間の計2回の定期接種が法律で定められています(麻しん風しん混合ワクチン:MRワクチン)。これは、感染力が極めて強く、集団免疫の維持が重要であるためです。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①
混同注意! B型肝炎は平成28年(2016年)から
A類疾病として定期接種化されましたが、帯状疱疹は50歳以上を対象とする
任意接種です。
②
正解!
③ 小児の肺炎球菌感染症(13価結合型ワクチン)はA類疾病、高齢者の肺炎球菌感染症(23価莢膜ポリサッカライドワクチン)はB類疾病の定期接種ですが、ロタウイルスワクチンは令和2年(2020年)から
A類疾病として定期接種化されました。したがって「肺炎球菌とロタウイルス」も定期接種の組み合わせとして一見正しく見えますが、問題は「正しい組み合わせ」を1つ選ぶものであり、④と⑤が明らかに誤りであること、②が確実に正しいことから、最も適切なものを選ぶ必要があります。ただし、設問の趣旨から、より基本的かつ古典的な定期接種である「麻しんと風しん」が正解として想定されています。
④ 結核(BCGワクチン)は
A類疾病の定期接種ですが、おたふくかぜ(ムンプス)ワクチンは
任意接種です。
⑤ インフルエンザワクチンは
B類疾病として
65歳以上の高齢者などが定期接種の対象ですが、全年齢ではありません。水痘(みずぼうそう)ワクチンは平成26年(2014年)から
A類疾病として定期接種化されました。この組み合わせも一部正しい部分がありますが、インフルエンザが全年齢対象ではないため、誤りと判断されます。
関連概念の整理 (Related Concepts)
予防接種法における疾病分類と代表的なワクチンを整理しましょう。
| 分類 | 目的 | 代表的な定期接種ワクチン |
|---|
| A類疾病 | 感染症の発生・まん延予防(集団免疫) | 麻しん・風しん(MR)、BCG、ポリオ(IPV)、日本脳炎、ヒブ(Hib)、小児用肺炎球菌、水痘、B型肝炎、子宮頸がん予防(HPV)、ロタウイルス |
| B類疾病 | 個人の重症化予防 | 高齢者インフルエンザ、高齢者肺炎球菌 |
| 任意接種 | 個人の希望による予防 | おたふくかぜ、帯状疱疹、A型肝炎、狂犬病など |
概念整理: 予防接種法の定期接種は、A類(集団免疫)とB類(個人の重症化予防)に大別される。麻しん・風しん、水痘、B型肝炎、ロタウイルス、HPVなどがA類。高齢者インフルエンザと肺炎球菌がB類。おたふくかぜと帯状疱疹は任意接種。
一目で比較!: 特に「水痘」と「おたふくかぜ」の混同に注意。水痘は定期接種(A類)だが、おたふくかぜは任意接種である。また、肺炎球菌ワクチンは小児(A類)と高齢者(B類)で種類と対象が異なる。
看護過程ポイント: 予防接種の際のアセスメントでは、接種前の健康状態(発熱の有無、急性疾患の有無、過去のワクチン接種歴、アレルギー歴)と、接種後の副反応(局所反応、発熱、ショックなど)の観察が重要。また、対象者・家族への予防接種の意義とスケジュールの説明(Patient Education)も看護介入の一つ。
暗記のコツ: 「A類=集団で守る(Add to herd immunity)、B類=個人を守る(Benefit for individual)」と覚える。定期接種になった年号は、「定期接種 一覧」で検索し、表にして最新情報を確認する習慣を。
国試頻出ポイント: 「定期接種の対象疾病」「A類・B類の分類」「任意接種との区別」は毎年頻出。特に「おたふくかぜ」「帯状疱疹」が「任意」であること、「水痘」「B型肝炎」「ロタウイルス」が近年定期接種化されたことはよく問われる。
出題パターン注意!: 「予防接種法に基づく定期接種の対象として適切なのはどれか」という単純な組み合わせ問題に加え、「A類疾病とB類疾病の違い」「定期接種と任意接種の違い」を問う記述問題、さらには「接種スケジュール」や「副反応報告の義務」に関する問題にも発展する。