核心解説
この問題は、
男性生殖器の解剖と生理における、
精液の構成成分と分泌器官に関する基礎知識を問うています。精液は複数の器官からの分泌物が混合されてできており、各器官の役割と分泌割合を正確に理解することがポイントです。
核心概念の分析 (Key Concept): 精液(Semen)は、精子(Sperm)と精漿(Seminal Plasma)から構成されます。精漿の大部分は、
精嚢 (Seminal Vesicle)、
前立腺 (Prostate Gland)、
尿道球腺 (Bulbourethral Gland / Cowper's Gland) から分泌されます。それぞれの分泌液には異なる生理学的役割があります。
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! 精液全体の約60~70%を占めるのは、
精嚢 (Seminal Vesicle) からの分泌物です。この分泌液は果糖(Fructose)やプロスタグランジン(Prostaglandins)を豊富に含み、精子の運動エネルギー源を提供し、女性生殖管内での精子の運動を助ける重要な役割を果たします。よって、正解は③番の「精嚢」です。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
①番
混同注意! 精巣 (Testis):精子を産生する器官ですが、精液全体のうち精巣からの分泌量はごくわずか(約2~5%)で、大部分は精巣上体で貯蔵されます。精巣そのものは精液量の大部分を分泌しません。
②番
尿道球腺 (Bulbourethral Gland):性交前に粘液を分泌し、尿道を潤滑・洗浄する役割を持ちますが、分泌量は非常に少なく、精液全体の1%未満です。
④番
精巣上体 (Epididymis):精子の成熟と貯蔵を行う器官です。分泌液もわずかに含まれますが、精液量の大部分を占めることはありません。
⑤番
前立腺 (Prostate Gland):精液の約20~30%を分泌します。分泌液は弱アルカリ性で、精子の運動性を高め、精液を液化させる働きがあります(前立腺特異抗原(PSA)が関与)。割合としては精嚢に次いで多いですが、問題文の「約60~70%」には該当しません。
関連概念の整理 (Related Concepts): 精液の各成分の役割を覚えておきましょう。
| 分泌器官 | 分泌割合 | 主な成分と役割 |
| 精嚢 | 約60~70% | 果糖(精子のエネルギー源)、プロスタグランジン |
| 前立腺 | 約20~30% | 弱アルカリ性液(酸性膣内を中和)、PSA(精液液化) |
| 尿道球腺 | 約1%未満 | 潤滑粘液(尿道洗浄・潤滑) |
| 精巣上体 | 約5% | 精子貯蔵、成熟促進 |
| 精巣 | 約2~5% | 精子産生 |
概念整理: 精液量の大部分を占めるのは「精嚢」、次いで「前立腺」であることをセットで覚えましょう。精子そのものの産生器官(精巣)と、精液量の主成分を分泌する器官(精嚢)を混同しないように。
一目で比較!: 精嚢(大量の果糖液) vs 前立腺(アルカリ性液化液) vs 尿道球腺(潤滑液)。各器官の分泌液の性質と役割を比較しながら覚えましょう。
暗記のコツ: 「精嚢=精液の『嚢(ふくろ)』。袋のように大量の液を蓄えている」とイメージすると覚えやすいです。また「前立腺=前にある線(腺)。精液を前に進める(液化させる)」と関連付けることもできます。
国試頻出ポイント: 精液の構成割合は、単独で出題されることもあれば、不妊症や前立腺疾患の病態理解の前提知識としても問われます。特に「精嚢」と「前立腺」の分泌割合と役割の違いは必須です。