核心解説
この問題は、
膵臓 (Pancreas) の機能のうち、特に
外分泌機能 (Exocrine Function) と
内分泌機能 (Endocrine Function) の違いを正しく理解しているかを問う、基礎的ながら非常に重要な問題です。膵臓は一つの臓器でありながら、全く異なる2つの機能を持つ点が特徴であり、これを混同しないことが国試対策の基本です。
1. 核心概念の分析 (Key Concept)
膵臓の機能は、解剖学的・機能的に以下の2つに大別されます。
-
外分泌機能 (Exocrine Function):
膵房細胞 (Acinar Cells) で産生される消化酵素(
アミラーゼ (Amylase)、
トリプシン (Trypsin)、
リパーゼ (Lipase) など)を含む
膵液 (Pancreatic Juice) を分泌し、
主膵管 (Main Pancreatic Duct) を通じて十二指腸へ送り込み、食物の消化を助ける機能です。
-
内分泌機能 (Endocrine Function):
ランゲルハンス島 (Islets of Langerhans) で産生されるホルモン(
インスリン (Insulin)、
グルカゴン (Glucagon)、
ソマトスタチン (Somatostatin) など)を血中に直接分泌し、血糖値の調節をはじめとする全身の代謝を制御する機能です。
2. 正解の根拠 (Answer Rationale)
選択肢④「消化酵素を含む膵液の分泌」は、膵臓の外分泌機能の定義そのものです。したがって、これが正解です。
3. 誤答の分析 (Distractor Analysis)
- ①番(インスリンの分泌)、②番(ソマトスタチンの分泌)、③番(グルカゴンの分泌):
混同注意! これらはすべて、ランゲルハンス島で産生・分泌されるホルモンであり、膵臓の
内分泌機能に分類されます。問題は「外分泌機能」を尋ねているため、これらは誤りです。インスリンはβ細胞、グルカゴンはα細胞、ソマトスタチンはδ細胞から分泌されることを併せて覚えておきましょう。
- ⑤番(胆汁の分泌):
混同注意! 胆汁は
肝臓 (Liver) で生成され、
胆嚢 (Gallbladder) で濃縮・貯蔵される消化液です。膵臓とは全く別の臓器の働きです。膵液と胆汁はどちらも十二指腸に分泌されるため、混同しやすいので注意しましょう。
4. 関連概念の整理 (Related Concepts)
- 膵液に含まれる消化酵素のうち、
トリプシン (Trypsin) や
キモトリプシン (Chymotrypsin) はタンパク質を分解します。これらは膵臓内では不活性型の
トリプシノーゲン (Trypsinogen) として分泌され、十二指腸で活性化されることで、膵臓自身が消化されてしまうのを防いでいます。この防御機構が破綻すると
急性膵炎 (Acute Pancreatitis) を発症します。
- 外分泌機能の低下は、脂肪便や消化吸収不良を引き起こします。看護師は、膵疾患患者の栄養状態や排便状況をアセスメントする際に、この知識が重要となります。
概念整理:
膵臓 (Pancreas) の二大機能:
外分泌機能(膵液・消化酵素の分泌)と
内分泌機能(ホルモンの分泌)。分泌経路の違い(導管 vs 血流)が理解の鍵です。
一目で比較!:
| 機能 | 分泌部位 | 産生物 | 分泌先 |
|---|
| 外分泌 | 膵房細胞 | 膵液(消化酵素、重炭酸イオン) | 導管 → 十二指腸 |
| 内分泌 | ランゲルハンス島 | インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン | 血中(直接) |
看護過程ポイント: 膵疾患の患者では、腹痛や背部痛、悪心・嘔吐の有無に加え、
血清アミラーゼ (Serum Amylase) や
血清リパーゼ (Serum Lipase) の値を確認することがアセスメントの基本です。また、脂肪便や体重減少は外分泌機能不全を示唆する重要な徴候です。
暗記のコツ: 「膵臓は『内』と『外』の二刀流!ランゲルハンス島が『内』(ホルモン)、膵房が『外』(消化酵素)」とイメージすると覚えやすいです。島は海(血流)に浮かんでいる、と考えれば内分泌ホルモンが血中に放出されるイメージが湧きますね。
国試頻出ポイント: 膵臓の外分泌・内分泌の区別は、毎年必ずと言っていいほど出題されます。特に、インスリンやグルカゴンが「内分泌」に分類されることは絶対に覚えてください。また、「膵液に含まれない消化酵素は?」といった逆転の発想での出題もあります。
出題パターン注意!: 単純な知識問題に加え、「慢性膵炎の患者に見られる症状は?」といった状況設定問題に発展します。慢性膵炎では外分泌・内分泌の両方の機能が障害され、消化吸収不良による下痢(脂肪便)と、糖尿病(続発性)が出現する、という流れで覚えると、より深い理解が得られます。