核心解説
この問題は、
感覚神経線維 (Sensory Nerve Fibers) の分類と、
筋紡錘 (Muscle Spindle) からの求心性情報を伝える線維の種類を問うています。筋紡錘は筋肉の長さとその変化速度(伸張反射の受容器)を感知する重要な感覚受容器であり、その情報は最も伝導速度の速い神経線維で中枢神経系に伝えられます。
最重要! 正解は
Aα線維(Ia群線維) です。
筋紡錘の一次終末 (Primary Endings / Annulospiral Endings) からの情報は、
伝導速度が最も速い (約70~120 m/s) 太い有髄線維である Aα線維(Ia群線維) によって伝達されます。これは、伸張反射(膝蓋腱反射など)の遠心性線維(脊髄前角のα運動ニューロン → 骨格筋)も同じ Aα線維 ですが、こちらは遠心性(運動性)である点に注意が必要です。筋紡錘からの求心路(Ia線維)は、脊髄で直接α運動ニューロンとシナプスし、単シナプス性の伸張反射を形成します。
正解の根拠 (Answer Rationale):
筋紡錘 (Muscle Spindle) は筋線維の長さを感知する伸展受容器です。その中心部にある核袋線維 (Nuclear Bag Fibers) と核鎖線維 (Nuclear Chain Fibers) を取り巻く一次終末(Ia群線維)と二次終末(II群線維)があります。このうち、特に伸張速度に敏感に反応する一次終末からの情報は、
伝導速度が最も速いAα線維で伝えられます。これにより、筋が急に伸ばされた際に即座に反射的な筋収縮を引き起こすことができます(例:診察時の膝蓋腱反射)。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! 各神経線維の種類と機能を正確に区別しましょう。
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② C線維: 無髄線維で、伝導速度が最も遅い。
痛覚 (Pain Sensation) や
温度覚 (Temperature Sensation) の一部(特に遅い痛み)を伝えます。
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③ B線維: 細い有髄線維で、
自律神経節前線維 (Preganglionic Autonomic Fibers) を構成します。体性感覚は伝えません。
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④ Aβ線維: Aα線維よりやや細い有髄線維で、
触圧覚 (Touch and Pressure Sensation) を伝えます。筋紡錘の二次終末(II群線維)もこのカテゴリに含まれますが、一次終末(Ia)ではありません。
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⑤ Aδ線維: 細い有髄線維で、
痛覚 (Pain)(特に速い痛み)や
温度覚 (Temperature) を伝えます。
関連概念の整理 (Related Concepts):
混同注意! 神経線維の分類 (Erlanger-Gasser分類) は伝導速度と太さに基づきます:
Aα > Aβ > Aγ > Aδ > B > C(速い→遅い)。筋紡錘からの情報には Aα(Ia)と Aβ(II)が関与し、それぞれ一次終末(動的・動的伸張)と二次終末(静的伸張)の情報を伝えます。ゴルジ腱器官 (Golgi Tendon Organ) からの求心性情報は Ib群線維(Aα線維の一部)で伝えられる点も押さえておきましょう。
概念整理:
神経線維の分類と主な機能
| 線維の種類 | 直径 (µm) | 伝導速度 (m/s) | 主な機能 |
|---|
| Aα (Ia, Ib) | 13-22 | 70-120 | 筋紡錘からの求心性情報 (Ia) / ゴルジ腱器官 (Ib) / α運動ニューロン |
| Aβ (II) | 6-13 | 30-70 | 触圧覚 / 筋紡錘二次終末 |
| Aγ | 3-8 | 15-30 | 筋紡錘内の錘内筋線維への遠心性線維 |
| Aδ | 1-5 | 5-30 | 鋭い痛み / 冷温覚 |
| B | 1-3 | 3-15 | 自律神経節前線維 |
| C | 0.5-1 | 0.5-2 | 鈍い痛み / 温覚 / 自律神経節後線維 |
一目で比較!:
筋紡錘求心路 (Ia vs II)
| 項目 | Ia群線維 (Aα) | II群線維 (Aβ) |
|---|
| 終末 | 一次終末(輪らせん終末) | 二次終末(花房状終末) |
| 感受性 | 動的伸張(伸張速度) | 静的伸張(筋長) |
| 反射 | 単シナプス性伸張反射 | 多シナプス性反射 |
看護過程ポイント: この知識は、
神経学的アセスメント (Neurological Assessment) において重要です。
深部腱反射 (Deep Tendon Reflex, DTR) の評価では、ハンマーで腱を叩くことで筋紡錘を伸張し、Ia群線維を介した反射弓の機能を確認しています。反射の亢進や減弱は、上位運動ニューロン障害や下位運動ニューロン障害を示唆するため、アセスメントの根拠として理解しておきましょう。
暗記のコツ: 「
Aα(エー・アルファ)はアスリート(速筋=高速)」と覚えましょう!Aαは最も太くて速い線維です。筋紡錘からの情報(伸張反射)は瞬時に体を守るために必要なので、最も速い線維で伝えられるのです。C線維は「
Cold(寒さ)」や「
Chronic(慢性の痛み)」と結びつけると覚えやすいです。
国試頻出ポイント: 神経線維の分類(Aα, Aβ, Aδ, B, C)と各線維が伝える感覚(触覚、痛覚、温度覚、固有感覚)の組み合わせは、毎年どこかで出題される超頻出テーマです。特に「筋紡錘の求心路 = Aα(Ia群線維)」、「ゴルジ腱器官 = Aα(Ib群線維)」はセットで覚えておきましょう。
出題パターン注意!: 単純な「線維の種類と機能の組み合わせ」の他に、「
末梢神経障害 (Peripheral Neuropathy)」の事例問題で、「どの感覚が障害されるか」を問う形でも出題されます。例えば、糖尿病性神経障害で最初に障害されるのは細い有髄・無髄線維(C線維、Aδ線維)で、温痛覚が障害されます。一方、大径線維(Aα、Aβ)が障害されると振動覚や位置覚が障害されます。