核心解説
この問題は、
粗面小胞体 (Rough Endoplasmic Reticulum, RER) で合成されるタンパク質の運命を理解しているかを問うています。
粗面小胞体はリボソームが付着した小胞体であり、ここで合成されるタンパク質は主に
分泌タンパク質 または
膜タンパク質 です。合成されたタンパク質は小胞体の内腔(ルーメン)に入り、
ゴルジ装置 (Golgi Apparatus) を経由して修飾・選別された後、
細胞外へ分泌されるか、細胞膜に組み込まれます。一方、遊離リボソーム(細胞質基質に浮遊するリボソーム)で合成されるタンパク質は、主に細胞質基質内で機能するか、核やミトコンドリアなどのオルガネラへ輸送されます。
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! 粗面小胞体で合成されるタンパク質の主な行き先は、
細胞外への分泌(ホルモン、消化酵素、抗体など)または
細胞膜への組み込み(受容体、チャネルタンパク質など)です。これらはすべて、小胞体→ゴルジ装置→分泌小胞または細胞膜という経路(
小胞輸送経路 / Vesicular Transport Pathway)をたどります。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! ②③④⑤のタンパク質は、主に
遊離リボソーム (Free Ribosomes) で合成されます。
②番: 細胞質基質内で酵素として機能するタンパク質(例:解糖系の酵素)は、遊離リボソームで合成されます。
③番: ミトコンドリア内で働くタンパク質は、遊離リボソームで合成された後、ミトコンドリアへ輸送されます。
④番: ペルオキシソーム内の酵素(カタラーゼなど)も、遊離リボソームで合成され、ペルオキシソームへ輸送されます。
⑤番: 核内で遺伝子発現を調節するタンパク質(転写因子など)は、遊離リボソームで合成され、核膜孔を通って核内へ移行します。
関連概念の整理 (Related Concepts):
小胞体 (Endoplasmic Reticulum) には、リボソームが付着した
粗面小胞体 (RER)と、リボソームが付着していない
滑面小胞体 (Smooth ER, SER)があります。滑面小胞体は、脂質合成、薬物代謝、カルシウムイオンの貯蔵などの役割を担います。粗面小胞体と滑面小胞体の機能の違いは、細胞生物学の基本であり、国試でも頻出です。
概念整理: タンパク質合成の場と行き先の区別
| 合成の場 | 主な行き先 / 機能 | 具体例 |
|---|
| 粗面小胞体 (RER) | 分泌タンパク質 / 膜タンパク質 | ホルモン(インスリン)、消化酵素、抗体、細胞膜受容体 |
| 遊離リボソーム | 細胞質基質 / 核 / ミトコンドリア / ペルオキシソーム | 解糖系酵素、転写因子、DNAポリメラーゼ、カタラーゼ |
一目で比較!: 粗面小胞体 vs 滑面小胞体
| 項目 | 粗面小胞体 (RER) | 滑面小胞体 (SER) |
|---|
| リボソーム | あり | なし |
| 主な機能 | タンパク質合成と修飾(糖鎖付加など) | 脂質合成、薬物代謝、Ca²⁺貯蔵 |
| 豊富な細胞 | 膵臓腺房細胞、形質細胞 | 肝細胞、筋細胞(筋小胞体) |
看護過程ポイント: 直接的な看護介入の対象となる概念ではありませんが、薬理学(薬物代謝は滑面小胞体)や病態生理(例:α1-アンチトリプシン欠乏症では粗面小胞体でのタンパク質フォールディング異常が肝障害を起こす)の基礎知識として重要です。
暗記のコツ: 「
粗面は外(分泌)と膜」と覚えましょう。粗面小胞体で作られたタンパク質は「細胞の外(分泌)」か「細胞の膜(膜タンパク質)」に行きます。遊離リボソームで作られたものは「細胞の中(細胞質基質、核、ミトコンドリアなど)」で働くとイメージすると区別しやすいです。
国試頻出ポイント: 粗面小胞体と滑面小胞体の機能の違い、分泌タンパク質の合成経路(核DNA→mRNA→粗面小胞体→ゴルジ装置→分泌小胞)の順序は、看護師国家試験の基礎医学分野で繰り返し出題される必須知識です。