看護学のコア解説
この問題は、
フィジカルアセスメント (Physical assessment)、特に
心血管系 (Cardiovascular system)の正常所見を問う基本問題です。看護師は患者のバイタルサインや心音を正確に評価し、正常と異常を鑑別する能力が求められます。
重要概念の分析 (Key Concept)
正常な心機能 (Normal cardiac function)を示す所見とは、心拍数、リズム、心音、血圧などが生理学的な正常範囲内にある状態です。特に心拍数は、成人では安静時で
60〜100回/分 (60-100 bpm)、規則正しいリズムが基準となります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
選択肢④「心尖拍動数72回/分、規則正しいリズム」が正解です。
ここがポイント! 心尖拍動 (Apical pulse)は、心臓の拍動が最も強く聴取できる第5肋間鎖骨中線上で測定し、実際の心拍数を最も正確に反映します。72回/分は正常範囲内であり、規則正しいリズムは正常な洞調律を示唆しています。これは正常な心機能の基本的な指標です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
① 心拍数45回/分、不整脈:
45回/分は
洞性徐脈 (Sinus bradycardia)の範囲であり、不整脈を伴う場合は病的な可能性が高く、正常ではありません。
② 血圧180/110 mmHgの持続:これは
Ⅲ度高血圧 (Stage 3 hypertension)に分類され、
高血圧緊急症 (Hypertensive emergency)のリスクがある異常所見です。正常血圧は
120/80 mmHg未満が目安です。
③ S3ギャロップの聴取:
S3ギャロップ音 (S3 gallop rhythm)は、心室が急速に拡張する際に血液が流入する音で、「ケンタッキー」と聞こえることがあります。若年者では生理的ですが、成人や高齢者で聴取される場合は
左心室不全 (Left ventricular failure)や心室拡張の重要な徴候であり、異常所見です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
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S4ギャロップ音 (S4 gallop):心房が強く収縮して硬い心室に血液を送り込む音で、「テネシー」と聞こえる。高血圧性心疾患や心筋虚血で聴取され、異常所見。
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心尖拍動の測定部位:成人では第5肋間、鎖骨中線上。小児では年齢により第4肋間のこともある。
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脈拍の不整 (Arrhythmia):期外収縮、心房細動など、原因を評価する必要がある。
概念のまとめ
・正常心拍数:
60-100回/分 (規則正しいリズム)
・正常血圧:
収縮期120mmHg未満 / 拡張期80mmHg未満 (成人)
・異常心音:S3ギャロップ(成人では心不全の徴候)、S4ギャロップ(心室コンプライアンスの低下)
一目で比較!
| 所見 | 正常/異常 | 臨床的意味 |
|---|
| 心拍数 72回/分、整 | 正常 | 正常な洞調律 |
| 心拍数 45回/分、不整 | 異常 | 洞性徐脈、不整脈(病的) |
| 血圧 180/110 mmHg | 異常 | Ⅲ度高血圧、緊急介入が必要な可能性 |
| S3ギャロップ音 | 異常(成人) | 左心室不全、心室拡張の徴候 |
解剖生理と薬理のポイント
・心拍動は
洞房結節 (SA node)で発生する電気的興奮により生じ、正常では規則正しいリズム(洞調律)を保つ。
・S3音は、拡張早期に血液が心室に急速に流入する際に発生。若年者では正常、成人では
心室壁のコンプライアンス低下 (Decreased ventricular compliance)や容量負荷のサイン。
暗記のコツとゴロ合わせ
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正常心拍数「ロク(6)マル(0)ヒャク(100)」:60-100回/分。
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S3音「ケンタッキー」:音のリズムが「ケン・タッ・キー」(lub-dub-*da*)。「ケンタッキーは若い(若年者は正常)、でも大人は心配(成人は異常)。」
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S4音「テネシー」:音のリズムが「テ・ネッ・シー」(*da*-lub-dub)。
国試頻出ポイント
正常範囲の数値(心拍数、血圧、呼吸数、体温)は必ず暗記。異常所見(S3, S4, 不整脈、高血圧/低血圧)とそれが示す病態(心不全、虚血など)をセットで覚えることが重要です。
国試出題パターンの変化に注意!
「正常所見を選べ」という直接的な出題だけでなく、「異常所見をすべて選べ(多選択)」「異常所見に基づいて優先すべき看護ケアはどれか」「S3ギャロップが聴取された患者の病態はどれか」など、応用形で問われることが非常に多いです。