看護学のコア解説
この問題は、小児の
細菌性結膜炎 (Bacterial conjunctivitis)の特徴的な臨床所見を問うています。結膜炎の原因(細菌、ウイルス、アレルギー)によって症状が異なるため、鑑別が重要です。
重要概念の分析 (Key Concept)
結膜炎 (Conjunctivitis)は、結膜(眼球の白目部分とまぶたの裏側を覆う薄い膜)の炎症です。小児、特に保育園や学校で集団生活を送る子どもでは、接触感染により容易に流行します。原因別の鑑別は、適切な治療(抗菌薬点眼の必要性の判断など)と感染予防対策の基本となります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
選択肢①「朝起きた時に、
濃厚な膿性の眼脂(目やに)があり、まつげがくっついている」が正解です。
ここがポイント! 細菌感染では、好中球などの炎症細胞や細菌の死骸が混ざり、
黄緑色や黄色のドロッとした膿性眼脂が大量に産生されます。就寝中はまばたきによる自浄作用が働かないため、分泌物が固まり、朝起きた時にまぶたやまつげがくっついて開けにくくなる「
睫毛癒着 (Matted eyelashes)」が典型的な所見です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 原因による眼脂の性状の違いをしっかり区別しましょう。
② 水様性の眼脂とかゆみ、くしゃみ:これは
アレルギー性結膜炎 (Allergic conjunctivitis)の特徴です。花粉症などに伴い、かゆみが強く、水っぽい鼻水(水性鼻漏)を伴うことも多いです。
③ 透明で糸を引くような眼脂と羞明(光をまぶしがる):
ウイルス性結膜炎 (Viral conjunctivitis)、特にアデノウイルスによる「はやり目」でよく見られます。羞明は角膜に炎症が及んでいる可能性を示唆します。
④ 眼脂は少ないが激しい眼痛と視力低下:これは結膜炎よりも重篤な状態を示します。
角膜潰瘍 (Corneal ulcer)や
急性緑内障発作 (Acute angle-closure glaucoma attack)などが疑われ、緊急の対応が必要です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
・感染予防:細菌性・ウイルス性結膜炎は接触感染します。看護師は標準予防策(スタンダードプリコーション)に加え、
接触感染予防策 (Contact precautions)を実施します。具体的には、患者の目を触った後は直ちに手指衛生を行い、可能であれば使い捨て手袋を使用します。タオルの共用は禁止です。
・治療:細菌性には抗菌薬点眼、ウイルス性には対症療法(冷却、人工涙液)、アレルギー性には抗アレルギー薬点眼が基本です。
概念のまとめ
・細菌性結膜炎:黄緑色の膿性眼脂、睫毛癒着。
・ウイルス性結膜炎:水様~粘液性の眼脂、流涙、充血が強い、耳前リンパ節腫脹。
・アレルギー性結膜炎:水様性眼脂、強いかゆみ、くしゃみ・鼻水を伴う。
一目で比較!
| 種類 | 原因 | 眼脂の性状 | その他の特徴 |
|---|
| 細菌性 | 細菌(黄色ブドウ球菌など) | 膿性(黄緑色)、量が多い | 睫毛癒着、充血 |
| ウイルス性 | ウイルス(アデノウイルスなど) | 水様性~粘液性、糸を引く | 羞明、耳前リンパ節腫脹、伝染性強い |
| アレルギー性 | アレルゲン(花粉、ダニなど) | 水様性、量は様々 | 強い掻痒感、くしゃみ・鼻水 |
解剖生理と薬理のポイント
・結膜:眼球とまぶたを繋ぎ、潤滑剤(粘液)を分泌して眼球の動きを滑らかにする。血管が豊富なため、炎症時に充血しやすい。
・眼脂:結膜の杯細胞や副涙腺からの分泌物、炎症細胞、血管からの滲出液、剥がれ落ちた上皮細胞などが混ざったもの。原因によりその組成が変わる。
暗記のコツとゴロ合わせ
「
細菌は膿(うみ)で固まる」→ 細菌性は膿性眼脂で、朝、まつげが固まってくっつく。
「
アレルギーはかゆい水」→ アレルギー性はかゆみが強く、水っぽい眼脂。
国試頻出ポイント
結膜炎の鑑別は頻出です。「眼脂の性状」と「随伴症状(かゆみ、痛み、羞明など)」の組み合わせで選択肢が作られます。小児では感染予防(隔離の必要性、家族への指導)も合わせて問われることがあります。
国試出題パターンの変化に注意!
単に「細菌性結膜炎の症状は?」と問うだけでなく、「保育園児が結膜炎と診断された。保護者への指導で適切なのは?」というように、
感染予防策や患者(家族)教育に関する実践的な問題に発展するパターンも多いです。