看護学のコア解説
この問題は、
急性内耳炎 (Acute labyrinthitis) の患者に対する
優先順位付け (Priority setting)と
安全確保 (Safety)に関する看護ケアを問うています。
重要概念の分析 (Key Concept)
急性内耳炎は、内耳(平衡感覚と聴覚を司る器官)の炎症により、
回転性めまい (Vertigo)、
悪心・嘔吐 (Nausea and vomiting)、
平衡障害 (Balance impairment)、
難聴 (Hearing loss)が急激に生じる疾患です。患者は「天井がぐるぐる回る」と訴え、立つことや歩くことが困難になります。この状況下で最も重大なリスクは、
転倒 (Fall)による二次的な外傷(骨折、頭部外傷など)です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
ここがポイント! 看護ケアの優先順位を決定する際には、
ABC(気道・呼吸・循環)の原則や、
マズローの欲求階層説 (Maslow's hierarchy of needs)に基づいて、生命の危険や身体的危害に直結するニーズを最優先します。本症例では、激しいめまいと平衡障害により、患者は転倒の
ハイリスク状態にあります。したがって、
転倒予防策の実施と歩行の介助が、患者の安全を守るための
最優先 (First priority)の看護介入となります。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 他の選択肢も重要な看護ケアですが、優先度は安全確保に次ぎます。
② 処方された制吐薬の投与:悪心・嘔吐は苦痛であり、脱水の原因にもなりますが、直ちに生命を脅かすものではありません。安全が確保された後に実施すべきケアです。
③ 情緒的サポートと安心感の提供:めまいは強い不安やパニックを引き起こします。精神的サポートは重要ですが、身体的危険が除去されて初めて効果的に行えます。
④ 脱水予防のための水分摂取の促し:嘔吐による脱水リスクはありますが、めまいが強い状態で無理に飲ませることは、誤嚥のリスクを高めたり、症状を悪化させたりする可能性があります。まずは安全な体位(臥床など)を確保し、状態が落ち着いてから少量頻回での水分摂取を検討します。
関連概念の整理 (Related Concepts)
めまいをきたす疾患には、
メニエール病 (Meniere's disease)(めまい、難聴、耳鳴りが特徴)、
良性発作性頭位めまい症 (Benign paroxysmal positional vertigo, BPPV)(頭の位置の変化で誘発される)、
前庭神経炎 (Vestibular neuritis)(聴覚障害を伴わないめまい)などがあります。鑑別が重要です。
概念のまとめ
・急性内耳炎:内耳の炎症 → 激しい回転性めまい、平衡障害、嘔吐、難聴。
・最優先看護ケア:
転倒予防と安全確保(マズローの生理的・安全の欲求)。
・めまい患者の基本姿勢:安静臥床、頭部固定、徐々に体位変換。
一目で比較!
| 疾患 | 特徴的症状 | 看護の優先ポイント |
|---|
| 急性内耳炎 | 激しい回転性めまい、嘔吐、難聴 | 転倒予防、安静、抗めまい薬・制吐薬管理 |
| 良性発作性頭位めまい症 (BPPV) | 頭位変換時のみの短時間めまい、聴覚障害なし | 頭位変換の指導、エプリー法などの理学療法の援助 |
| メニエール病 | 反復するめまい、耳鳴り・耳閉感、波動性難聴 | 発作時の安全確保、ストレス管理、塩分制限の指導 |
解剖生理と薬理のポイント
・内耳:
蝸牛 (Cochlea)(聴覚)と
前庭器 (Vestibular apparatus)(平衡感覚)からなる。
・治療薬:
抗めまい薬 (Antivertigo drugs)(ジフェニドールなど)、
制吐薬 (Antiemetics)(メトクロプラミドなど)。場合によってはステロイドが使用される。
暗記のコツとゴロ合わせ
優先順位の原則:「
安全第一、転倒予防は最優先」。めまい患者を見たら、まず「ベッド柵は上げたか?歩くときは介助するか?」と考えるクセをつけましょう。
内耳炎の症状:「
めまいでグルグル、音も聞こえにくい」→ めまい(Vertigo) + 難聴(Hearing loss)がキーワード。
国試頻出ポイント
「優先すべき看護ケアは?」という問題では、
患者の安全 (Safety) と生命の危険 (Risk to life) に直結する介入を常に第一に考えます。めまい患者では「転倒予防」が圧倒的に出題されます。
国試出題パターンの変化に注意!
同じ「急性内耳炎」でも、
1. 症状を問う → 「突然の回転性めまい、嘔吐、難聴」が三徴。
2. 看護ケアを問う → 本問のように「最優先」を選択させる。
3. 患者指導を問う → 発作時は「安静臥床、頭部を動かさない、明るい光を避ける」などを指導する。